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中国の原子力発電所の発電容量が建設計画ベースで2030年ごろにも米国を抜き、世界一の原発大国となる見通しだ。稼働中の原発は18年に日本を上回り、米、フランスに次ぐ世界3位になった。先進国では東京電力福島第1原発事故後、新設が難しい。大規模計画を持つ中国、ロシア、インドとの二極化が進む。
世界原子力協会によると、20年4月時点で稼働中や建設・計画中の中国の原発の総発電容量は1億870万キロワットだ。米国の1億512万キロワットを超えた。運転中の原発だけをみると1位は約9800万キロワットの米国で、約6200万キロワットの仏が続く。中国は約4500万キロワットの3位だが、11基が建設中で40基超の建設計画がある。米国は廃炉が続き、建設計画も少ない。原発は一般に着工から5年前後で完成する。早ければ30年ごろに米国を抜く可能性がある。
先進国では原発への国民の懸念が強まり、建設が進めにくくなった。日本は福島事故を受けた規制基準の強化や原発の老朽化で廃炉が相次いだ。事故前は動かせる原発が50基を超えたが、24基の廃炉が決まった。もともとあった新設計画は残るものの、議論は進んでいない。これに対し、中国では福島事故後に約30基が新規稼働した。ロ・印も稼働中の容量と同程度の規模の建設計画を抱える。高速炉や小型炉など次世代原発の開発でも、これら3カ国は研究炉や実証炉の計画が目白押しだ。中国は国内での建設ラッシュにとどまらない。電力不足に悩む新興・途上国を中心に原発輸出へ営業攻勢をかけている。中国製の原発はパキスタンで4基が稼働中だ。さらにトルコなどで10基前後が建設・計画中だ。これはロシアなどに次ぐ規模だ。中国が原発を初めて導入したのは約30年前だが、「技術レベルは世界最先端に追いついた」。日本も英国やトルコなどへの輸出を目指してきたが建設費上昇などでうまくいっていない。欧米も勢いがない。10年以降に世界で稼働を始めた原発の7割超が中ロ製だ。中ロの台頭は核拡散の懸念も生む。日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターの戸崎洋史主任研究員は「中ロは日米などに比べ、原発輸出先に求める核兵器転用を防ぐ措置の条件が緩い」と話す。(* 日経 記事より)写真:中国は内外で原発の建設を続ける(江蘇省の原発)=ロイター
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