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著書「サピエンス全史」で人類の発展の歴史をひもといたイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ハラリ氏が日本経済新聞に寄稿し、新型コロナウイルスの脅威に直面する世界に今後の指針を示した。人類はいま、世界的な危機に直面している。おそらく私たちの世代で最大の危機だ。私たちや各国政府が今後数週間でどんな判断を下すかが、今後数年間の世界を形作ることになる。その判断が、医療体制だけでなく、政治や経済、文化をも変えていくことになる。(以下小見出しと結論)■新型コロナ危機後は違う世界になる ■「全体主義的監視」か「市民の権限強化か」 ■「皮膚の上」から「皮下」に進む監視の衝撃 ■プディング生産の緊急規制令 ■せっけんで手を洗う ■市民が力を発揮できる道を目指すべき ■「国家主義的な孤立」か「グローバルな結束」か ■今の国際社会は集団まひ状態 米政権は自国の最も重要な同盟相手すら見捨てた。3月11日に欧州連合(EU)加盟国からの入国を全面的に禁止すると発表した際も、そのような過激な施策の実施についてEUに相談もしなければ、事前に連絡さえしなかった。また新型コロナウイスルに効くワクチンを開発中のドイツの製薬会社に対し、10億ドル(約1110億円)を提供する見返りに米国にそのワクチンを独占的に供給するよう求めたとも報道され、ドイツに大きな衝撃を与えた。米政権が今後、方針を転換してグローバルな行動計画を作ったとしても、手柄はすべて自分のものにして、問題が起きれば誰か他人のせいにする指導者に従う人はいないだろう。米国が抜けた穴を他の国々によって埋められなければ、感染拡大を食い止めるのが難しくなるだけでなく、新型コロナの感染拡大による打撃は長く国際関係に影響していくことになる。しかしすべての危機はチャンスでもある。新型コロナの流行が、グローバルな分裂が重大な危険をもたらすと人類が理解する機会になることを願う。我々は目の前には、自国を優先し各国との協力を拒む道を歩むのか、グローバルに結束していくのかという2つの選択肢がある。前者を選べば危機は長期化し、将来さらに恐ろしい悲劇が待つことになるだろう。後者を選べば新型コロナに勝利するだけでなく、21世紀に人類を襲うであろう様々な病気の大流行や危機にも勝利することができる。(* 日経 記事より)写真は今のベネチア=ロイター
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