
その他ニュース
(イラスト Ingram Pinn/Financial Times)
新たな「ボン共和国」(旧西ドイツ)は「ドイツの欧州」を目指す国家主義的な野望を一切捨てるべきだ――。ノーベル賞作家のトーマス・マンは1953年、ドイツの将来の道筋をこのように示した。自国を近隣諸国と結びつけて「欧州のドイツ」を築くところに未来があると力説した
70年近く時計の針を進めた現在、再統一された今日のドイツは、どちらを選ぶべきかまだ決められずにいるようだ。今月5日、強大な権限を持つドイツ連邦憲法裁判所(本部カールスルーエ)は欧州中央銀行(ECB)に法的な攻撃を仕掛けてドイツの国家主義的な側面を見せつけた。そのかたわら、メルケル独首相は18日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で最も大きな打撃を受けた欧州連合(EU)加盟国を支援するため、5000億ユーロ(約59兆円)規模の復興基金を立ち上げることでマクロン仏大統領と合意した。
ECBの量的緩和策を一部違憲とした連邦憲法裁判所の判決は、ドイツの判事らがドイツとEUの管轄権の線引きを書き換えようとする長年の試みの一環で、単一通貨ユーロを管理するECBの活動に致命的な打撃を与えかねないとする声もある。
(以下 小見出し と 文末)
■「ドイツの欧州」避けられず
■戦後世代の指導者、実利主義で欧州統合訴える
■EUの存続、ドイツの動向にかかる
コール氏が欧州統合に向けたような愛着を、メルケル氏が見せたことはあまりない。ドイツは危機時にEUを救済するために必要なところまではやるが、それ以上はしないという基本原則を掲げてきたようにみえる。18日のマクロン氏との共同記者会見でのメルケル氏の語り口は、この原理が変わったかもしれないことを示唆した点で目を引いた。この3年間、マクロン氏の提案の大半を拒否し続けた末に、メルケル氏はEU史上最大の危機に対して「反撃」する時が来たと宣言し、「ドイツとフランスは欧州の理念のために一緒に戦っている」と述べたのだ。(中略)
いずれにせよ、EUはドイツが望む場合のみ機能する、というのが逃れられない真実だ。そのためには、他の欧州諸国が「ドイツの欧州」に適応しようとするなか、ドイツの政治家は「欧州のドイツ」が何かを新たに定義する必要がある。
(*日経 FT記事より)
その他ニュース(05/27_朝) | ||||||||
国際 | ||||||||
企業 | ||||||||
科学 | 06_世界を変えたネット広告(8) 「『スラムダンク』1億冊感謝記念広告」<映像> | |||||||
国内 | ||||||||
市場 | ||||||||