その他ニュース
米国・オーストラリアと中国の対立構造がレアアース(希土類)市場でも鮮明になっている。生産大手の豪ライナスは米国防総省の資金援助を受けて米国内に生産工場を建設する。米国は安全保障の観点からレアアース調達網における脱・中国への歩みを急ぐ。市場は成功例が少ない「ノン・チャイナ」のレアアース生産の行方を注視している。
「米国防総省との契約締結を非常にうれしく思う。重希土類は高性能磁石に不可欠で、ライナスは資源と知的財産、実績がある」。同社のアマンダ・ラカーズ最高経営責任者(CEO)は7月27日発表の声明でこう述べた。ライナスは米ブルーラインと共に、高性能磁石に使うジスプロシウムなど重希土類の生産工場を米テキサス州に建設する。米国防総省からの資金は交付金として受け取り、市場や戦略の調査、工場建設の計画策定や設計作業にあてる。
レアアース市場に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの清水孝太郎主任研究員は「重希土類の生産工場が中国外にできることに大きな意義がある」と評価する。
レアアースは17元素の総称で、原子量の大小で大きく軽希土類と重希土類に二分する。ジスプロシウムなどの重希土類は特に生産の中国依存が高く、市場シェアは9割にのぼるとの見方がある。分離・精製の技術や生産コストで競争力が群を抜いているためだ。清水氏によると、過去にはフランスで重希土類の生産プロジェクトが進んだが、コスト面の問題などから実質的に頓挫した。ライナスの生産プロジェクトは中国外で、中国資本が参入しない唯一の「ノン・チャイナ」工場になる見通しだ。高性能磁石はモーターの部品として戦闘機などに使う。米国は安全保障を念頭に、レアアースのサプライチェーン(供給網)から中国を排除する意向だ。ライナスとしても生産プロジェクトに資金援助がつくメリットは大きい。
ライナスが米国防総省の資金援助を発表した7月27日から2日間にわたり、米豪は外務・防衛担当閣僚協議をワシントンで開催した。両国は共同声明で中国の強権的な行動を批判。官民の両方で「米豪対中国」の構図を鮮明にしている。ただ、市場では脱・中国への歩みは一筋縄ではいかないとの声が目立つ。
(以下略 原文をお読みください。)(*日経 記事より)写真:重希土類のジスプロシウムは高性能磁石に欠かせない。
その他ニュース(08/18_朝) | ||||||||
国際 | ||||||||
企業 | ||||||||
IT 科学 | ||||||||
国内 | ||||||||
市場 | ||||||||
09_なぜ株価はV字回復? コロナショックを分析しよう | ||||||||