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韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(143)
「聞いてるのよ。なぜ答えられないの?」
「よしなさい。クムスン」とビルト。「ここに座りなさい。お前も座って――2人とも座って」
クムスンとジョンシムは腰をおろす。
ピルトが話し出す。
「今日の昼間、美容室の院長が来た」
俯いていたクムスンはピルトを見る。
「その写真も息子の部屋で見つけたそうだ」
「・・・」
「院長の話だとお前が息子と交際してるそうだ。それは事実か?」
クムスンは答えられない。
「答えなさい。事実か?」
「・・・はい、お義父さま」
「・・・」
「すみません。本当にすみません」
「すまない?」
「お義母さん――言い訳のようですが、今日、話すつもりでした。お義姉さんの問題が解決したら話そうと。本当に私から――私の口でお二人に話すつもりでした」
「あなた・・・ただ単に前もって言えず悪かったと?」
「違います。違うんです」
「違うなら? 何が悪かったと? だから、ずっと私たちを騙して会ってたのね」
「・・・」
「考えてみたら――前から会ってたわよね。文房具点に行くと出ていった時から。いや、夜中に美容室で働く男性からの電話で――私が出たら切られた時から、すでにその男との交際は始まってたんでしょ?」
「・・・」
「それなのに何? 義姉の問題で――話せなかったと? それがいつのこと? 嘘をつかないで」
「・・・」
「呆れるわ。何てことなの。良心はあるの? 他の男に会っていながら、この家で眠れた? 私たちの前でご飯がちゃんと喉を通った? 一緒に笑ってお茶を飲みながら――よくもできたわ。平気だった?」
「お義母さん・・・」
クムスンの目からは涙が溢れ出している。
「お義母さんと呼ばないで――どうして・・・フィソンまで連れて行くなんて」
「・・・」
「あなた――だから、お金の返済を? 後ろめたい気持ちから、問題になる前に返そうと?」
「お義母さん・・・お金って? 何のことだか・・・」
「今日の昼間、叔母さんが貸した5千万を持ってきた」
「違います、お義父さん――私は何も知らないことです。本当です。お義母さん、私は何も知りません」
「その言葉を信じろと?」
「お義母さん、本当なんです。私は何も知りません」
クムスンは必死に弁明する。
「お義母さんなんて言わないで。私たちの家にいて、ジョンワンの家で暮らして――男に会うからとお金も、貸し借りをさっさと清算するのね? そのお金もお金持ちの母親からでしょ? そんなに計算高くて抜け目ない子だった?」
「お義母さん、ほんとに違うんです」
「何が違うの。じゃあ、あのお金は何なの?」
「いい加減にしろよ、もう!」とテワン。「それにジョンワンが生きているの?」
「テワンは黙ってろ」
「間違った話か? クムスンさんは男と交際してもいいんだ。ジョンワンは死んだんだ。死んでいないのに」
「お前は黙れ」
「・・・」
「黙るんだ」
ピルトは立ち上がって部屋に消えた。
クムスンを睨みジョンシムも、そしてシワンもひと言も口にせず部屋に消えた。
苛立った表情でテワンも消え、クムスンはリビングにひとり取り残された。
部屋に入ったピルトとジョンシムはずっと黙り込んだままでいた。
シワンの部屋では、ソンランが何か言いたそうにしていたが、それも言葉にはならなかった。
クムスンも立ち上がって部屋に向かう。義父母の部屋をしばし気にかけたが、力ない足取りで部屋に入った。
部屋ではフィソンが深い寝息を立てていた。
ジェヒはミジャに帰宅の挨拶をする。
「夕食は?」
「・・・」
「もうすんだの? 俺はまだなのに」
ミジャは雑誌から目を離す。
「私もまだよ。着替えて、準備するわ」
「はい。久々に一緒の食事だな。すぐ着替えるよ」
部屋に入り、机上に携帯と財布を置いて着替えようとしたジェヒは、違和感を感じて机の前に戻った。
そこでようやくクムスンらと3人で撮った写真がないのに気付いた。書棚や引き出しも探したが、机上に置いた記憶が戻ってくる。
ジェヒは着替えないまま食堂に出ていった。
「母さん――俺の写真をどこに?」
「知らない」
「じゃあ、写真はどこに? なくなってるんだけど」
「私は知らないわよ」
「母さんが知らなきゃ誰が知ってる?」
「・・・」
「母さん! 俺じゃなければ母さんだろ。写真が勝手に歩いて行ったとでも?」
「・・・」
「母さん――写真はどこに?」
「・・・」
「母さん」
「そうよ。私が処分した。写真のあるべき場所に渡したわ」
「どういうこと? ”写真のあるべき場所”?」
ミジャはジェヒを見た。
「昼間にナ・クムスンの婚家に行ってきた」
「母さん・・・」
「行って写真を私、お宅の嫁がうちの息子と交際してると知らせたの」
「母さん――正気なの? どうかしてるよ」
「大声を出さないで、聞こえてるわよ」
「母さんがそうさせるんだ。なぜ行った。何のつもりなんだ? どうかしてるよ。母さんは理性を喪失したの?」
「そうよ。私はおかしくなったの。そうさせたのは誰? 他に方法がある? あなたは尋常じゃない。私が理性を保っていられると思う?」
「・・・」
「あなたは尋常じゃない。おかしくなったのよ。あなたは正気じゃないから、クムスンの息子に会うのよ」
「・・・」
「私じゃなくて、あなたがおかしいのよ」
「・・・」
「言葉が出ない? そうよ。私も同じよ。でも私は、もっとひどいことも出来る。あなたのためなら何でもするわ。私の息子が子持ちの寡婦に人生を惑わされているのに私が出来ないと思う?」
「母さん・・・本当に俺の母親か?」
ジェヒはミジャを睨みつけ食堂を出ていった。
部屋に戻ったジェヒはすぐ携帯を握った。しかし、クムスンにはこちらから連絡するまで待っててくれと言われている。
電話するのをとりやめる。
妊娠したと知って、サンドはスンジャの身体をいたわりだした。今も身体をもんであげている。
「お前も約束どおり、食堂をやめるんだぞ」
「もう話したわ。ああ、いい気持ち。いい気分だわ」
ジョムスンは二人のアツアツぶりに当てられ続けている。息子の愛情をぜんぶ彼女に奪われてしまったようで面白くなかった。
朝の支度を始めていると、ジョンシムがやってきてクムスンに言った。
「こんなことしないで。私がするからどいて」
「お義母さん・・・」
「どきなさい。向こうに行って」
ジョンシムはクムスンに代わり、流しの前に立つ。米を研ぎ始める。
冷蔵庫を開けて中の物を取り出そうとしてもすぐさまとがめだてする。
「しないでって言ってるでしょ。きこえないの?」
振り返るとジョンシムは釘を刺した。
「この家ではもうしないで」
「・・・」
「あなたがする理由も必要もないわ。入れなさい」
「・・・」
「戻しなさい」
「お義母さん・・・」
「聞こえないの?」
ピルトが姿を見せた。クムスンが歩み寄って挨拶しても、顔を見ただけで外へ出ていった。
シワンが部屋から出てきた。クムスンの朝の挨拶にやっぱり声も返さず、トイレに入ってしまった。
すぐソンランも部屋から出てくる。
「おはよう。よく眠れた?」
彼女との間でようやく会話が成り立つ。
ネギを刻みながら無視されるクムスンを背中で感じていたジョンシムは、”おや?”とばかり振り返った。
目が合うとソンランが挨拶をしてよこす。ジョンシムは反射的に目を背ける。
「私がやります。こちらに」
ジョンシムは黙ってネギを刻む。
「・・・じゃあ、スープの下準備を」
ソンランが冷蔵庫を開け中の物に触れてもジョンシムは何も言わない。
それを見てクムスンは疎外されだしている自分を感じた。
朝食が始まった。クムスンは身を小さくして食事に手をつける。
フィソンを保育園に送った後、クムスンはジョムスンに電話を入れた。
「おばあちゃん、聞きたいことがあるの。叔母さんがお金を返済したの?
おばあちゃんがさせたことなの?」
「ええ、私がさせたのよ」
「おばあちゃんったら――なぜ聞かずにそんなことを・・・」
「えっ? クムスン、どうしたの?」
クムスンは泣きながらジョムスンのやった行為をとがめた。
「何でそんなことしたの? 前もって言ってよ。何も知らなかったから・・・いいえ、泣いてないわ――おばあちゃん、今は忙しいから、あとで電話するわ。ええ。じゃあ切るわ」
電話がすんだジョムスンにスンジャが訊ねた。
「クムスン、何ですって?」
「何でもないわ」
「だって、泣いてる、とか何とか言ってたじゃないですか」
食事の席に戻ってジョムスンは言った。
「返済したお金のことで何か問題が起きたようだ」
「問題ですか?」
「分からないわ――そんな気がするの。なぜ、勝手に返したのか、と言ってた」
「私もそんなことになりそうな気がしてました」
「どういうこと?」
「婚家の立場で――クムスンに男が出来たのを知ったら、どうなります。嫁が浮気をして・・・」
「何が”浮気”だっていうんだ。ジョンワンがいる時、クムスンが他の男に会った?」
「お義母さん――婚家の立場からですよ。向こうの立場でなら――どうであれ、姑と嫁の関係で婚家なんですから、姑の立場からクムスンは浮気した嫁ですよ」
「だから?」
「あのお金は――ありがたいどころか、むしろ計算ずくと思われるということです」
「・・・」
「だから、急がない方がと・・・いまさら仕方ないですけど」
「・・・」
サンドがスンジャに腕を小突いた。
「何てこと言ってるんだ。母さん、大丈夫ですよ。悪い意図があったわけじゃなし、そこまで思わないよ」
「そうでもない」とクマ。「ママの話が客観的に合ってるわ」
シワンの上着を手にしながらソンランは言った。
「機嫌を直して出勤して」
「・・・」
「ずっと弟嫁を縛り付けておくつもりだった?」
「誰も縛り付けてなんかいない――父さんも母さんもだ」
「・・・」
「彼女の口から聞いたら、ショックだったり裏切られたとは思わなかった」
「私はクムスンの言葉を信じるわ。私のせいで・・・それに私の問題が解決してから話すつもりだったはずよ。なのに男性の母親が先に・・・」
「どうであれ俺たちは院長の母親から話を聞いたんだ」
「そうね、そのとおりよ。結局、結果が大切よね。私の離婚歴と子持ちが問題」
「また、お前は・・・」
「誰もクムスンさんを縛り付けなかったと? 彼女を出そうという人もいなかったのに――娘でもそうかしら。”実妹みたいな弟嫁”? 本当の妹ならそうしたかしら?」
「そうだ・・・お前のいうとおりだ。実妹みたいなだけで、妹とは違うよ。どうであれ、先に死んだ弟を思った――この話はやめよう。まだショックで生理がつかない・・・少し考えてから」
「そうね。分かるわ。当然だと思う」
ジェヒの包帯が取れた。
「どうだ? 見せてみろ」とキジョン。
「まだ、あまり・・・」
「見せてみろよ」
ジェヒは腕を引っ込めて答える。
「よくなってから見せます。今は――嫌です。すみません」
「・・・わかった。焦らずに動かして、よく温めるんだ。あるのはその方法だけだ」
「はい。焦りません」ジェヒは明るい声で答える。「今年ダメなら、来年に受験します」
キジョンは頷く。
「一生の仕事です。1年遅れてもいいと思うことに」
「最近のお前の中で、一番いい話だ」
「・・・」
「そうだ。外科医をするのに1年くらい何てことない」
「聞こえなかった?」
ウンジンの部屋にウンジュが入ってくる。
「起きなさい。食事はしないとダメでしょ」
「・・・」
「ウンジン。言うことを聞きなさい」
「・・・」
「何なの?」
「・・・」
「お姉さん。連絡先を教えて。お願いよ」
「・・・」
「ママには聞きたくない」
食堂に戻ってきたウンジュは言った。
「クムスンの連絡先を教えたわ」
ヨンオクは黙っている。
「かなり、気になるみたい。姉妹なんだから会わないと」
「・・・そうね。私も話すつもりだったの」
「幼い頃の私のような反抗はないし、大きな心配はしないでいいと思うわ。あの時と状況も違うし」
ヨンオクは頷く。
クムスンは食事を作ってピルトたちの部屋に運んだ。
「何のつもり?」とジョンシム。「朝、言ったわよね」
「義姉がいないので私が準備を・・・」
「下げて。大きな声を出す前に」
ピルトはジョンシムを見て言った。
「持って出なさい。必要ない」
「はい・・・」
クムスンが食膳を下げた後、ピルトは言った。
「でも何か食べよう」
「私はけっこうよ」
「出よう。外で簡単にすませよう。これじゃ病気になる。早く、行くぞ」
ピルトたちに拒まれ食膳をそのまま下げたクムスンはショックで床に座りこんだ。落ち込んでいるとピルトたちの気配がした。
外出のいでたちで部屋から出てきた。
クムスンは見送りに立った。
「お出かけですか?」
ピルトたちは返事もしないで出かけていった。
再々ショックに見舞われても、クムスンはノ家の一員として家事に精出した。
床拭きをやっている時にピルトたちは帰ってきた。
「お帰りなさい」
クムスンの労もねぎらわず、二人は黙って部屋に引っ込んだ。
クムスンは部屋で疲れよりも滅入った気分を抱え込んだ。そして時間は流れ、クムスンは決意した。
ピルトの部屋を叩いた。
「お義母さん、お話があります」
「・・・」
「お義父さん、お話があります」
ジョンシムは目を開け、身体を起こした。
「それなら、座れ」
「はい」
「・・・」
「本当に――本当にすみません。院長を家にまで来させ、それと、お二人を辱めてしまったこと――本当にすみません」
その話は聞きたくないとばかり、ジョンシムは顔を背ける。
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