韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(最終話その2)
朝からクムスンの大きな声が響く。
「お義母さん、フィソン――早く起きてください」
クムスンが部屋に飛び込んでくる。
「お義母さん――フィソン、起きて。お義母さん、もう起きてください――お義母さん、フィソンも起きてます。早く起きてください」
ミジャは眠たそうに身体を起こす。
「もう少しだけ寝るわ。遅くまで映画を見てたのよ」
「ダメです。生活が不規則だから――不眠症や便秘がちになるんですよ。お義母さん、これをどうぞ」
「確かに・・・お肌のためにも睡眠を取るべきなのに・・・」
「それなら今日から早く寝てけさは青汁で肌の管理を――お義母さん、お手伝いをお願いします。朝食かフィソンの準備を」
ミジャは恨めしそうにクムスンを見つめる。はや、クムスンのペースにはまりつつあるようである。
「スーパーウーマンでもないし、家事のすべてはムリです。どちらにします?」
「あなた、本当にクムスンなの?」
「ええ、そうです」
「私には・・・私の知ってるクムスンじゃないわ」
クムスンは笑う。青汁を飲んでミジャは訊ねる。
「フィソンは・・・昨日、お風呂に入ったから顔だけ洗えばいいの?」
「はい」
「分かったわ。私がフィソンの準備をするわ。こっちにおいで」
ミジャはフィソンを抱き上げる。
「ああ、本当に眠たくて死にそうよ」
「お義母さん、よろしくお願いします。フィソン、顔を洗うのよ」
青汁を持って今度はジェヒを起こしに入る。
「先生、起きて――時間がないから早く起きて」
「う~ん、目が開かない」
「早く起きるのよ。早く」
「本当に目が開かないんだ。キスして起こして」
「起きないつもりね――私は掃除も食事の準備をして、あなたは仕事もしないで」
ジェヒは跳ね起きた。
「仕事をしてないだと? 毎日、忙しいんだぞ」
「働かないのに忙しいだなんて・・・」
「勉強もして、リハビリもして」
「それから?」
「それから・・・」
ジェヒはクムスンを見る。
「分かったよ。もう起きただろ」
「早くジャガイモを剥いて」
「結婚前はしなかった人なのに」
「だから? 今は結婚してるわ」
「手も痛いよ」
「だから、手を使えばもっと早くよくなるのよ」
「分かった。どこに行く?」
クムスンは立ち止まる。
「朝のキスは?」
クムスンは笑ってジェヒのベッドに戻る。縁に腰をおろし、ジェヒにキスする。ジェヒは一気に眠気を飛ばす。
「よく眠れた?」
「ええ。ぐっすり。先生は?」
「俺も。1度も目覚めず、朝までぐっすり」
ジェヒは両手を広げた。
「朝のハグだ」
二人が抱き合ってるところにミジャがドアを開ける。
「クムスン・・・」
入ってこようとしてすぐさま顔を背ける。
「母さん!」
ジェヒは怒る。
「それが・・・ドアが開いてて――何かするならドアを閉めるなり何なりしないと――それより、過ぎた愛情表現を自制するよう頼んだはずよね」
「お義母さん・・・ここは私たちの部屋です」
「えっ! ああ・・・」
含み笑いするジェヒ。
朝の食事が始まった。
ジェヒがフィソンを抱いて食堂に入ってくる。フィソンを座らせてから自分の席につく。クムスンがご飯を配る。
食卓を見てジェヒは不快そうにする。
「おい。また牛骨スープかよ。おかずもあんまりだ。俺たちは草食動物か?」
「お義母さんはひどい便秘なのよ」
「まあ、あなたは食事の前で」
「お義母さんがよくなるまで我慢して――それに身体にいいものばかりよ」
「しかし、俺には動物性たんぱく質が必要な時だぞ」
ミジャはジェヒを見る。ジェヒは右手を差し上げる。
「手が心配じゃないのか?」
「だから牛骨スープでしょ――それにこれは動物性たんぱく質よ。煮干し」
「まったくお前は・・・」
「ジェヒは煮干しが苦手なのよ」とミジャ。
クムスンはおかしそうにする。
「知ってますよ、お義母さん――ほら、フィソンも食べてるでしょ」
「そうね」とミジャ。「食べて」
「また、ネギを出して。食べないと」
ジェヒは顔をしかめ、ネギをどんぶりに戻す。
「お義母さん、たくさんどうぞ」
「ねえ、私の腸のことは自分で解決するから、明日からは――気にせず作って」
「ほら、先生のせいでお義母さんが気を遣って・・・」
「そうじゃなくて・・・それで――あなたはいつまで”先生”なんて呼ぶの?」
「そうだろ、母さん?」
「そうなんですけど」とクムスン。「考えてみたんですけど、適当な呼び方がないんです」
「なくはないだろ――”ハニー”と呼べばいいんだ。ハニー」
ミジャは咳払いする。
「”先生”でいいわ。食べましょう」
フィソンの手を取ってジェヒが出てくる。
そのあとからクムスンが慌てて飛び出してくる。
「遅れるわ」
「じゃあ、走るぞ――いくぞ、フィソン」
二人はフィソンの手を取って走り出す。
「ジャンプ! もう一回」
そして幼稚園に到着。
そしてクムスンの職場。
「おはようございます」
挨拶しながら店に入っていくクムスン。
自信満々で仕事をこなしていくクムスン。
そしてこっちは必死でリハビリに励むジェヒ。ジェヒの気力と闘志は凄まじい。凄まじい執念と根気で成果を積み上げていく。
1日は忙しく推移し、ジェヒはバス停でクムスンの帰りを待った。
バスが走ってくる。クムスンがバスから降りてくる。
「帰りを待ってくれてたの?」
「そうさ。仕事もないんだ。女房を迎えるくらいのことはしないと」
「待ってくれる人がいて、すごく嬉しい」
二人は腕を組んで自宅に向かう。
「あっ、そうだ。俺をほめてくれ。今日は握るのに成功したんだ」
「本当に?」
「ああ」
「ついにやり遂げたのね。本当によかったわ。毎日、ジャガイモ剥きをしたからできたのよ」
「おい。それはないだろ」
「いいえ、そうよ。じゃあ、明日からは豆もやしの根切りだわ」
「お前ってやつは・・・」
そして1年が過ぎた。
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