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X線で胃がん検診を受けたのは一月の始めだった。平日にはなかなか時間が取れず、ひと月後の今日、ようやく病院に出向いた。
受診の予約時間は十一時半。先方に指定されたわけだった。診察券の提出時間リミットがこの時間までだから、つまりは受診する患者の最後の者として予約をとったことになる。
仕事を休み、ゆっくり病院に出かけていった。病院は車で20分(混めば違ってくる)ばかり走った場所にある。
市街区から郊外に向かって指折りの混雑街道沿いにある病院である。病院の駐車場はほぼ満杯状態で誘導員が雨の中で動き回っていた。
中はどの科も座る場所がないほど混んでいた。
大半がお年寄り――つまり、自分と同世代の者たちである。
僕は軽いめまいのような幻想に沈んだ。
(若い頃、銀座や新宿の繁華街を歩き回っていた男女が今はこの場所に集まってきている)
同じ外科の診察を受けにきたらしい夫妻(たぶん)が癌の話をしている。夫が早期発見について一説ぶっていて、夫人は話にじっと耳を傾けている。
「早くに発見して患部を切り取りさえすれば、今の医学では97パーセント治るんだそうだ」
「・・・」
97パーセントという数字はどこから来たのだろうと考えているとその人たちの名が呼ばれた。二人は一緒に連れ立って診察室に入っていった。
僕の番になった時、待合の長椅子は空席が目立ち出していた。
呼ばれて10番の部屋に入っていった。待っていたのは自分より一回りは若そうだが、しかし、やはり白髪の医師だった。
僕が丸椅子に腰をおろすと医師はおもむろにコンピューターのモニターを立ち上げた。僕の胃のレントゲン映像が浮かび出た。
「うむ。特に問題はなさそうですね」
医師はステッキを持って胃の上部あたりを指し示した。
「この辺にいくつかポリープが見られるが、胃のポリープは大腸と違ってそんなに問題ではないでしょう。はい、大丈夫でしょう」
僕がお礼をいうと医師は頷きながら言った。
「少し待たされたようですが、できれば11月くらいまでに申し込んで来られた方がいいでしょう」
医師の話に「おやっ?」と僕は思った。
こんな話をするのは今やインフォメーションの人だけではないようである。
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