雨の記号(rain symbol)

ときわ荘のぼんくら談義⑱

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  KARAの解散⑱


「他にどんなアイドルって…いきなり何だ? それはさっき説明したろ」
「話を脱線させるから流れ出ちゃったよ。ただ」
「ただ、何だ?」
「ブラウン何とかっての…ここの後ろの海馬にちょっぴり反応があった」
「…」
「不思議だな…電流みたいのがピッと反応したんだ。こう~腕組んで踊ってる連中の黒い衣装がさ…ほんと耳の後ろだった…集中するとどんな風に記憶が飛び出してくるかよく分かる。ちっちゃい光の粒が一瞬でぱっと広がるんだ。映像をつくりながらね」
「ほほう…」
「ずいぶん前にMV見せてくれたことがあっただろ? セクシーだが妙にカッコいい女たちだった」
「…とぼけた反応だったから、やっぱり忘れてるか、と思ったが、そうか思い出したか…それはよかった。けっこうなことだ。じゃあ、次いくか」
「おいおい、何が次だ。ブラウン何とかってグループ、こっちは思い出したといってるんだ。せっかくだからユーチューブで引っ張り出してみようじゃないの」
「彼女らを?」
「ああ。どんな音楽でどんなダンスやってたかを確かめたい」
 ボンタは顔をしかめる。
「確かめてどうする? 申し訳ないがもう終わってるグループだよ。俺はもうアダブラカダブラはさんざん視聴して卒業しちゃってるんだ。今更見てもしようがないよ。どうしても見たいなら、ユーチューブで呼び出してやるから。後で一人で視聴してみてくれ」
「一人でか? 見る気が起きるかな…」
「そんなのこっちの知ったこっちゃない。見たくなければ見なけりゃいいだけの話だ。言っとくが彼女らはもうおばさんだ。ガインの一人を除いてはね。もちろん、俺たちから見ればうんと若いんだけどね」
「分かってるよ」
「最近、ちょっといい曲出したんだが、話題になったのは少しの間ですぐ引っ込んだ。自分的にはそう悪くない、と思ったんだが、アクセスが伸びなかったのを見ると、さすがに往年の冴えはもうないかなって思った。この人たちを夢中で見てたのはもう5年も前の話だ。ここへきてワンダーガールズでさえもう視聴しなくなった。若手ガールズの楽曲が軒並みいいと来てるから、そっちの面倒だけで手いっぱいなのさ。お宅を相手に懐メロに浸ってる暇なんてないんだ。俺が引き揚げた後、一人でゆっくり彼女らの動画に浸ってやれ」
「わかったわかった。KARAの話を続けてくれ。ただし、あんまり話を脱線しないでくれ。そのへんはしっかり頼む」
「その前にトイレだな」
 立ち上がったボンタのズボンから音楽が流れ出した。ボンタは携帯をポケットから引っ張り出した。
「ああ、俺だ。どうした?」
 女の声がシャカシャカ漏れ出てくる。
 電話をすませてボンタは言った。
「悪いが出かけなきゃならなくなった。続きは今度やろう」
 クラヤはニヤニヤして応じた。
「ゴングに救われたな。話のネタはもう尽きてたんじゃないのか?」
 ボンタはクラヤを見つめ返した。
 二度ばかり頷いて小さな声で歌いだしながら玄関に向かった。

ラーラ ランランラン♪ 
ラーラ ランランラン♪ 
ワンツスリフォー…! 
友達以上 恋人未満~♪






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