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韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(49)
4人は会食を終えて出てきた。
シワンとソンランは難題を抱えて気分はもうひとつ晴れないが、顔には出さない。
ピルトとジョンシムは上機嫌だった。
「タクシーで帰ろうか」
ジョンシムがソンランに気を遣って言う。
「とんでもありませんわ」とソンラン。
「なら、言葉に甘えてシワンの車で帰ろう」
ピルトはジョンシムを見て言った。
「何だか寂しいわ。早いうち一度遊びに来てね」
「わかりました」
ジョンシムはピルトに笑顔を向けた。それからソンランの手を取った。
「今日は嬉しかったわ。新しい家族が増えるんだものね。シワンの嫁として大歓迎よ」
「・・・」
「俺もだ、ソンラン」
二人に歓迎された分、ソンランの気持ちは複雑だった。憂うつで、惨めになっていく部分を抑えようがないからだった。
「ちょっとそのままで」
ソンランはジョンシムの足元にしゃがんだ。ジョンシムの緩んだ靴紐を結わえなおしてあげる。
ジョンシムは感激し、シワンを見た。あなた幸せね、と言いたそうな表情になった。
それを感じてシワンも複雑な気分に落ちた。
家に向かうシワンたちの車の中はジョンシムやピルトの笑い声で溢れた。
両親を家に送り届けたシワンはソンランのところに駆けつけた。彼女の手を取って屋上に連れて行き、力いっぱい抱きしめた。
シワンに抱かれたソンランは最初戸惑ったもののシワンの愛情を感じて嬉しさが溢れた。
キジョンの部屋がノックされる。
ジェヒが入ってきた。
二人は高級料亭の座敷で向かい合った。
患者の話をした後、キジョンは本題に入った。
「一昨日、ウンジュが来てたが、携帯を切ってたのか?」
「はい
「今まで二人の関係には見て見ぬ振りをしてきた。だが、娘が結婚の話を口にしたんだ」
「・・・」
「ウンジュの提案に対し、考えると答えたそうだが――それは本当か?」
「はい・・・」
「結論は出たのか? それとも思案中か?」
「昨日・・・今は結婚する気がないと伝えました」
キジョンはジェヒを見た。しばし考えて言った。
「なら不要だと思うが、せっかくだから言う。俺は2人の交際に最初から反対した。理由は」
「・・・」
「2人は似ているからだ」
「・・・」
「誤解しないでくれ。俺が再婚したことでウンジュは傷ついている。傷ついた獣は――常に周囲を警戒し、ピリピリしているものだ。人も同じだろう。だから結婚相手には――傷ついていない、大らかな人がいいと思ってる。
ウンジュを深く愛し、包み込んでくれる人だ」
「・・・」
「学生時代から見てきたが、君は神経質だ。完璧主義で強がっていたが――危なっかしくて寂しく見えた。だから目につき気遣ったのも事実だ」
「・・・」
「酒の席で、愛人の子だと聞かされた時――そういうことだったのか、と得心がいった」
「・・・」
「愛する娘と大事な教え子が結ばれればこの上ない。だが、君たち2人はあまりにも似ている。だから、君の話が出ても――知らん振りを通し、心の中で否定してきた。娘の心を奪った君が父親として憎くもあったしな・・・だが、ここに来て、それを考え直そうと思った」
「・・・」
「娘がそんなにも愛してるのなら――俺が間違ってるのかもしれん。取り越し苦労だと思って、心から祝福するつもりだったんだ」
「・・・」
「だが・・・ウンジュと結婚する気はないと?」
「・・・」
「なら、どんなつもりで交際してきた? 何も考えてないわけじゃないだろう」
「すみません」
「・・・この状況で謝るというのはどういうことだ? 申し訳ないと思うなら、黙っていろ。君らしくない」
「・・・」
「心に決めたのなら、一つだけ言わせてもらう。今後はしっかり判断し、行動を慎むことだ。いいな。これ以上、娘を傷つけるな。哀れな娘なのだ。師としての頼みであり、娘の父としての警告だぞ」
クムスンがフィソンを連れてスンジャの家にやってきた。
挨拶に出てきたクマをスンジャはすぐ勉強部屋に追い返す。
病院に向かう時、ジョムスンは事情を話す。
「クマが? 教師になるのは夢だったのに?」とクムスン。
二人はいろいろやりとりしながら病院に向かった。
クムスンは清算書をもらった。支払いをするためジョムスンを待たせようとしたらジョムスンは、トイレに行ってくる、と言い出す。
「分かった。支払いすませておくから、早く戻ってきて」とクムスン。
ジョムスンはトイレを探して歩き出した。
すると前方からヨンオクが歩いてくる。
ヨンオクが先に気付いた。足を止めてジョムスンを見ていると、ジョムスンは見られているのに気付いた。顔を向けてきた。
目が合った瞬間、ジョムスンはヨンオクの視線を拒んだ。背を向けて一目散に歩き出す。
ヨンオクはあわてて追いかけようとする。
「お義母さん! お義母さん!」
しかしジョムスンは振り返らない。逃げるように歩き去ろうとする。
「お義母さん、待って。待って!」
ジョムスンは足を止めた。くるっと向き直って言い放つ。
「人違いだよ!」
ジョムスンはスタスタ歩き去った。
追いかけようとしたヨンオクはその場に崩れ落ちた。
驚いて人が駆け寄り、彼女はストレッチャーで運ばれていった。
ヨンオクから逃れたジョムスンもショックを受けていた。見たくない人に会った気分で長椅子にへばりついた。腰をおろした。悪い夢でも見たように出てきた方角に目をやった。
クムスンが出てくるとジョムスンはすぐ彼女の手を引っ張って歩き出した。一歩でも早くそこを離れたいようだった。
ヘミはクムスンの残した電話番号に興味を覚え、その一つに電話を入れてみた。そこから彼女はクムスンに子供がいるらしいのを知った。
「クムスン、あんた見てらっしゃい!」
キジョンは倒れたヨンオクのもとに駆けつけた。担当医に訊ねた。
「どういうことだ?」
「ロビーで倒れたんだ。前触れはなかったか?」
「昨日は何ともなかった」
「透析ができないぞ。困ったな」
「・・・」
ジョムスンの様子がおかしい。その理由に誰も行き着かない。
「クムスン・・・もう、帰りなさい」
気の抜けたような声でジョムスンは言った。
ソンランに好感触を得て、ピルトとジョンシムはご機嫌である。
ちょっとした言い争いも楽しい時間となっている。
紳士服売り場でミジャはウンジュと偶然会った。
見立てで考えが合うとウンジュは言った。
「この服、私がジェヒさんに買ってあげたいのですけど、いいですか?」
「フィソン・・・」
寝ているフィソンに向かってクムスンはつぶやいた。
「ママが妊娠した時ね・・・いい母親は無理でも――遊んであげる自信はあると言ってたのよ。でも、その約束を守れてないみたい・・・ごめんね、フィソン・・・この通り、お前に謝るわ」
クムスンはフィソンの顔にキスした。
美容院に車を乗りつけたジェヒは店の中にクムスンを捜した。しかし、そこに彼女はいない。
クムスンに電話しようか迷った末、電話せずに車を走らせていると、偶然、彼女を見つけた。ジェヒは嬉しくなった。
――今日はツイてるぞ。
ジェヒは車からおりた。
クムスンはしきりに電化店の中を覗きこんでいる。
何か気になるものがあるようだ。ジェヒは後ろからショーウインドを覗きこんだ。
クムスンが自分に気付かないのも楽しい。
ジェヒに声を出され、クムスンはびっくりした。
「どうしたんですか、もうーッ!」
「何を見てる?」
「あなたは?」
「必ず質問で応じるよな」
「デジカメの値段を見てました」
「デジカメ、ないの?」
「はい」
クムスンは中を指差した。
「あれなんか、どうですか? 少し古いんですけど・・・デザインはかわいいし、値段も大きさも手ごろだし」
クムスンは指折り数えだす。
「来月、再来月、その次の次かな・・・その頃には買えるはず」
「・・・」
「値段が下がってくれればいいなあ・・・きっと安くなりますよね」
同調を求められ、ジェヒは渋い顔をする。
「俺がわかるわけないだろ」
「ところで何をしに?」
「俺?」
ジェヒは中を見た。
「電池を買いに・・・ここにはなさそうだ」
クムスンを見て訊ねる。
「デジカメで何を?」
「用途は決ってるでしょ」
クムスンは呆れた顔でジェヒに向ける。
「写真を撮るんです。美容師さんは――かわいい髪形を見たら撮ったりしてます」
「撮るだけでいいならうちのをやろうか」
クムスンは怪訝そうにする。
「古くて大きいが、撮るのには困らない。いる?」
「ただ(無料)で?」
「”売る”とは言ってないだろ」
「どうして私にくれるんですか?」
「嫌ならいいさ。使ってないから言っただけだ。じゃあな」
クムスンはすかさず引き止める。
「ください。ほんとにもらっていいなら」
ジェヒはちょっぴり気取ってうなずく。
「いいよ。明日、病院にくればいい」
クムスンは喜ぶ。
「ええ。帰りに寄ります。何時頃がいいですか?」
「メシを食いながら話そう」
「・・・」
「腹が減ってるんだ」
「美容院で練習しないと・・・」
「冷たいやつだな。何度メシを誘ってもそっけなく断るんだから。”飢えた人に逆らうな”というだろ」
「そんな言葉があるの? ただ私は・・・」
ジェヒの腹が鳴った。ジェヒは顔をしかめた。
「明日、病院に来い」
「付き合います、食事に。でも、お金はありません」
「一緒に食ってくれればいい。1人で食うのは一番嫌いなんだ」
ジェヒは笑顔になった。
「行こう」
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