雨の記号(rain symbol)

医者連中との飲み会から








医者連中との飲み会から



 8月4日、友人らと飲み会を持った。医者4人と会社勤めの自分で計5人。一昨年あたりから2~3ヶ月に一度、千葉駅近くの居酒屋で飲み会を持つようになった。
 いずれも40年来の付き合いだ。2人とはずっと交流が続いてきた。
 友人のうち1人は千葉大を出た後、東京の病院に勤務した。その頃、自分は国分寺に住む文学仲間と東京の中野でスナックを始めた。
 「文芸スナック水時計」と看板を出した。普通の客に来られてもまともな料理ひとつ作れない。呆れられるのがオチだったからだ。
 しかし、売上がないと家賃と自分たちの生活費がひねり出せない。だから、仲間なり周囲なりに店の宣伝活動はしたわけだった。
 結果的にいうと2年で店は畳んだ。家賃分の売上は出たが、生活費はひねり出せなかったのだ。
 ただ、店は流行らなかったが、世の中の縮図を見るようないい経験はさせてもらった。中野の安アパートに住み、銀座勤めを続ける早稲田の苦学生(小説を書いていた)。テレビドラマの中だけにある世界かと思っていたら、ほんとにあったのだ。渋谷でレストラン経営をしてるとかの実業家を装い、東京に出てきて働く女子を騙して金を巻き上げていた詐欺男。投資ジャーナルに務めていたが、客を騙すテクニックがなく(?)いつも金に困っていた男(彼の話によると忘年会の日、分厚い札束をもらう者が何人もいたそうな)。仕事してる風ではなかったが恐ろしく将棋の強かった男。ちり紙交換の軽トラを周辺で走らせながら、夜はその売上でほとんど毎日飲みにやってくる六大学の中退生。毎日パチンコに明け暮れ、儲けた日だけ飲みにやってくる早稲田の理工生。要するに変わり者が自分らの店にやってきて少しの金を落としていった。
 その他、テレビで見たことのあるタレントやらイラストレーター、演劇関係の人間やらが出入りした。よほど知られた人もやってきたらしいがいずれも後で知った。
 相棒は国分寺から通って来ていたが、自分は部屋を持たず店のベッドで寝泊りしていた。ただ、そうしているのを大家に咎められ、どこかに部屋を借りなければならなくなった。
 そこで頼ったのが病院勤務する友人の独身寮だった。彼は実家のある浦和から病院に通っていた。自分は彼に合鍵を作ってもらい、そこを自分の部屋のように使ったわけだった。
 ただ、空いていた隣の部屋まで使い、管理人に見つかり追い出されてしまったわけだったが…。
 あの時は彼にずいぶん迷惑かけたのだが、むしろ友情が強まってしまった。

 医者たちとの飲み会を自分が欠かさないのは得られるものがじつに多いからだ。
 この日はどんどん出る新薬の名前を覚えるのが大変だという話で盛り上がっていた。
 たとえば似た名で薬効がまったく違うのがあったりすると扱いも油断できない。皆は頷きあっていた。横文字風の名は彼らも覚えづらいようである。
 あと、インプラントの話も聞いた。
「インプラントは絶対ダメ!」と主張するメンバーがひとりいた。口の中は雑菌だらけなので後で後遺症に悩む者がけっこういるらしい。歯の土手にねじ穴を空ける際、動脈を傷つけそれが死につながった例は知っている。
 歯科医なら誰でも講習さえ受ければ修了証をもらってインプラントの植え付けを行えるらしい。気楽にやれるせいかイージーなミスによるトラブルも多いのだとか…。これに雑菌の感染が加わるなら慎重に考えて決断した方がよさそうである。
 なお、インプラントを2本入れてるメンバーがひとりいた。
「自分には後遺症はでていない」と彼は言った。






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