![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/38/1082de11117bd43ec29bcc8a217d1cfc.jpg)
韓国ドラマドラマ「がんばれ!クムスン」(146)
キジョンは渡された健康診断書の結果を部屋で見た。目を近づけて見直し、暗い表情になった。
ミジャはジェヒとクムスンをどうしたものか悩んでいる。特にジェヒの言葉は彼女にショックを与えていた。
――母さんが俺を産んで本当に後悔してるなら、俺は・・・クムスンと別れる。
ミジャは今にも泣き出しそうになる。
――本当に・・・後悔してる?
部屋がノックされた。ミジャは目元を手指で軽くぬぐった。
「どうぞ」
入って来たのはウンジュだった。
「来たわね。座って」
二人はソファに腰をおろした。
「後任者に週明けからと連絡しました」
「分かった。ご苦労さま。引継ぎはすべてすんだの?」
「はい。私の出勤も今日限りです。後任者も決って――院長も店に集中できると思いますので」
「そうね。どうしても行くつもりなの?」
「はい。来週末には出発します」
「まったく――さみしくなって残念だわ」
「ジェヒさんの怪我も申し訳ありません」
「怪我のことはいいの。事故だったんだし・・・腹を立てて嫌味を言ったりしたけど、あれは事故だと思ってる。だけど・・・息子の容態を隠したあなたのお父さまには――少しがっかりしたわ」
「・・・」
「一番残念だったのは――あなたがクムスンに知らせたからよ。あれだけ念を押したのに」
「院長――もしジェヒさんに私の入る隙があれば・・・彼女には伝えませんでした。私にも苦渋の決断でした。心から彼を愛してましたから」
「なら、なぜ教えたのよ」
「院長――できれば・・・お許しください」
「ウンジュ!」
「きっと止めることはできません。最後まで反対すれば、」ジェヒさんが家を出て彼女と一緒になります」
「あなた・・・」
「お二人のためと思い、正直にお話します。ジェヒさんの決心は変わりません。簡単に心を開かない分、一度、心を開いたら相手が裏切るまでは、簡単に心変わりもしません。ジェヒさんの性格をよくご存知では?」
「・・・」
「これは――クムスンのためではありません。院長とジェヒさんが最後まで衝突し――傷つけあうのではないかと心配しただけなんです。以前の私と父のように」
「・・・もう行って」
ウンジュは頷いて席を立った。
ジョンシムが飲み物を運んでくる。
「いい香りだ。かりん茶か?」
「喉が痛いというから――喉にはかりんが効くわ」
「うむ。効きそうだな――医師だと言ったな」
ジョンシムは頷いた。
「しかも未婚で――条件からすれば言うことなしだ。もちろん人柄が重要だが」
「そうね・・・文句なしの条件ね。しかも大きい美容室の院長の息子で、その院長とかいう母親がここに乗り込んで来るのも当然だわ」
「そうだな・・・どうせならいい条件の男がいいさ」
「それはもちろんよ」
「それなら、悩むこともないだろ。クムスンが帰ったら連れてくるように言おう」
「そうね――早く嫁がせないと」
「そうしよう」
家に向かって帰ってくるクムスンを見てヨンオクは笑顔になった。しかしクムスンは下を向き元気がない。
ヨンオクの表情は翳る。
「クムスン・・・」
声をかけられ、クムスンはようやくヨンオクに気付いた。
ヨンオクはクムスンに歩み寄る。
「何かあったの? そうでしょ?」
「・・・」
「ずっと電話に出ないから心配でやってきたんだけど、何かあった?」
「・・・はい。婚家に話したんです。先生との結婚を」
「・・・そうだったの。それで何と?」
「まだ――怒ってて・・・家を出ろと。出ていって勝手にしろと・・・」
「電話すればいいのに。1人で悩んで・・・」
「いいえ――許しをもらうまで我慢しないといけないわ。3年前に夫をなくし――行き場のない私を受け入れてくれた。許してもらうまでは――家を出ないつもりです」
ヨンオクは頷いた。
「きっと許してくださるわ。いい方々なんでしょ?」
母親の言葉にクムスンの顔はほころんでくる。
「はい。だから大丈夫です。許してくれるわ。私を大切に思ってくださってるから」
頷いてヨンオクは話を変えた。
「それで、悪いんだけど・・・ウンジンが――知ってしまったの」
「・・・」
「もしかしたら、あなたを訪ねるかもしれないわ。あなたに会いたいみたい――連絡先を聞かれたから教えたの」
「そうですか」
「会いたくなければ・・・」
「いいえ――ウンジンには会ってみたかったの。妹だから・・・そうでしょ?」
「そうよ。早く入りなさい。少しでも横にならないと――疲れてるみたいだから」
「・・・」
「とても辛そうよ」
「はい」
クムスンは中に入った。
茶の間にはピルトとジョンシムが腰をおろしている。
「お帰り。少し座りなさい」
クムスンが腰をおろすとピルトは切り出した。
「面接は?」
「受けましたけど結果は分かりません」
「きっと大丈夫だろ――それから・・・相手の人は――どんな人だ?」
クムスンは顔を上げる。
「テワンの話だとまだ未婚で医師だとか?」
「はい」
「年齢は?」
「30歳です」
「そうか。それじゃ少し離れてるな。それじゃあ、時間があれば――協にでも家に呼びなさい」
「・・・」
「まずはどんな人か、会ってみないと」
「お義父さま――」
「いい縁なら行きなさい。お前もまだ若いしここから出ないと。呼んできなさい」
「お義父さま、お義母さん――ありがとうございます」
「早く、電話しなさい。シワンたちも呼んだわ」
「分かりました」
クムスンはすぐ腰をあげた。
部屋に戻るとクムスンは感激に打ち震えた。
「お義父さま、お義母さん――ありがとうございます」
二人に向かって何度も頭を下げた。
それから携帯を取り出すとジェヒに電話を入れた。
クムスンから連絡を受けたジェヒは、感激が過ぎて文句を言った。
「おい、クムスン。今日も連絡がなかったら、俺は死んでたぞ。どこだ?」
「いえっ」
大きな声になりかかって、クムスンはあやうく思い留まる。
気持ちを落ち着けてからあわてずに答える。
「家です。先生――どうしてました? 元気でしたか? もちろんです。私だって声も聞きたいし、会いたかったわ――はい。メールは見たのに、返事もせず、ごめんなさい」
「いいんだ。返事はいらない、と言っただろ。元気なのか? 大丈夫か? お前さえ元気ならいいんだよ」
「先生――お二人からお許しが出ました」
「本当か?」
ジェヒは大きな声を出した。一瞬まわりを気にした。
「今日、時間ありますか?」
「もちろん。何があっても行くさ。何時までに行けばいい?」
ジェヒは外に飛び出した。タクシーを拾って自宅に向かった。
クムスンの家族によく思われるため、最高の姿に着飾ってクムスン宅に出向いた。
ソンランは家探しで疲れ、シワンを呼びカフェラウンジで休息を取っている。
「成果はあった?」
「気に入らなくても適度に諦めないと――修繕の時間もないし、新築の中から選ぶしか・・・」
シワンは頷く。
ソンランは切り出した。
「私もしばらく仕事を休もうかしら」
「・・・」
「会社も落ち着いたし、現場は室長に任せてるから」
「ウジュのために?」
「うん。新しい環境に慣れるまで学校から帰ったら――家にいるべきだと・・・慣れるまで大変だもの」
「母さんが当たったな。お前はいい母親になりそうだ。いいんじゃないか。反対する理由はない。大賛成だ」
「ありがとう」
「休職中に子供を作ろう」
「・・・子供?」
「ああ。そろそろいいだろ。だから、避妊は解除するぞ」
「そ、そうね・・・」
「それから朗報だ。母さんから電話があったんだが――クムスンさんが相手を連れてくるから――早く戻れと」
「じゃあ、お許しが出たの?」
二人は店を出て車に乗り込んだ。そこでソンランが言った。
「私たち――子供は数ヶ月待って」
「どうして? 休職するんだろ?」
「そうだけど、ウジュがいる間はウジュに集中したい」
「・・・」
「あの子も――環境が大きく変わるから・・・父親が話すとは思うけど、私の再婚を知ってるとしても、すぐに妊娠を受け入れるのはあの子にも難しいと思う」
「・・・」
「怒った?」
「・・・」
「シワンさん」
「帰ろう。話はあとだ」
「シワンさん」
「あとで話そう。行こう」
サンドはスンジャを食事に連れてきた。生まれてくる子供のためにふんだんに肉や好きな料理を食べさせた。
「倒れてもいいから、たくさん食べて健康な子を産め」
ジョムスンはニンニクの皮を剥きながら家族の帰りを待っている。時計を見た。
「腹が減ってきたというのに、こんな時間にも帰らないで――買い物に行くと出て・・・遅すぎる・・・だけど、クムスンはどうなってるんだろう・・・私の心配を知りながら、電話もしてこないで」
その時、電話が鳴った。
「はい、アン・スンジャの家ですが――うちの嫁ですけど何のご用で?」
相手は言った。
「さきほどカルビ焼き屋に手帳を置いて行かれたので、ご連絡しました」
「何ですって? アン・スンジャがそこに手帳を? カルビ焼き屋? 分かりました。ありがとうございます」
電話は切れた。
「何? カルビ焼き屋?」
そこにスンジャたちが帰ってきた。ジョムスンは受話器を置いた。
スンジャたちの声を聞きつけてクマも出てくる。
「クマ、早かったわね」
「会食がなくなったの」
「そうだったの。お皿と箸を持ってきて」
ジョムスンはスンジャが手にした袋を見る。
「それから包丁と水も――お義母さんに御餅を買ってきたんです。好物でしょう。来る途中に出来たてのがあったのでお義母さんにと思って」
ジョムスンはスンジャをギロッと見すえた。
(あなたはカルビを食べて私には餅を食べろというわけ?)
「お義母さん――出来ました。どうぞ召し上がって」
「それはそうと」
ジョムスンは辺りを嗅ぎまわる。
「どこからかカルビの匂いがしない?」
「ええ、ほんと――カルビの匂いがするわ」とクマ。
「うん、そうだ」
ジョムスンはスンジャに鼻先を突き出す。
「カルビを食べたの?」
「まさか――カルビなんて・・・買い物に行ってどこでカルビを・・・」
「そうよね――どこから匂うのかしら?」
「あなたね? 夫から匂いがします。あなた今日、会食だった?」
「ああ、はい。カルビ焼き屋で会食を」
「そうか。お前1人で食べたのね。それなら女房にも買ってきてやらないと」
「お義母さん、私はいいんです」
「ところで買い物したのはどこにあるの?」
「それは・・・新鮮なものがなくて買いませんでした」
「それにしては時間がかかったわね」
ジョムスンはじりじりとスンジャを追い詰める。
落ち着き先の決ったやりとりはバレちゃうまで続く。
ジェヒはタクシーに乗ってやってきた。
「わあー、ク氏おじさんだ」
「生きてたか?」
「もちろんよ」
「大変だっただろ?」
「はい。今回は大変だった」
「ごめんな。何も出来ないのに余計なことをした。幼稚園の件を」
「知ってるわ。フィソンに会いに?」
「お前に会えないし、子供の白菜にでもと・・・」
クムスンは笑う。
「困っただろ?」
困ったけど、クムスンは首を横に振る。
「おおっ、ギプスが取れた。どうなの?」
「・・・完治はしてない。心配するな。よくなるよ」
「はい。必ずよくなるわ。あとで温めてあげる」
「・・・」
「手の状態も知らずに何も出来なかったのは私も同じ。ギプスを取る日。温めてあげたかったのに」
「明日から頼むよ」
「はい。任せて」
「本当に会いたかった」
「私もよ。私も会いたかったわ」
「どう、この出で立ち? 端正に見えるのを選んだ」
「ネクタイが派手すぎじゃ?」
「そう? イマイチか? 1番、無難なのを選んだんだ」
「それが無難だと? 行きましょう」
「遊び人風か? 答えろよ」
クムスンはジェヒを家族たちに紹介した。
「お義父さま、お義母さま・・・」
クムスンの言葉に続いてジェヒは頭を下げた。
「こんにちは。ク・ジェヒと申します」
「いらっしゃい。どうぞ座って」
ジェヒはクムスンと並んで円卓の前に正座する。
ピルトが言った。
「うちの嫁と結婚したいと?」
「はい」
「大体はクムスンから聞いているが――何科を?」
「外科で研修医の4年目です」
「ご両親はご健在で?」
「いいえ、母だけです」
「では、お父さまはお亡くなりに?」
「いいえ」
「それじゃ・・・ご兄弟は?」
「私、1人です」
「なら、1人息子?」
「はい」
「そうか。どうであれ、嫁をかわいがってくれてありがとう。すでに2人で結婚の意志を決めたようだし、いつまでも互いを思いやり、幸せに過ごしてほしい」
「はい。ありがとうございます」
「私たちはこの際だし、1日でも早く結婚してほしい。それからクムスン、ここからはいつ出て行っても構わない。それとフィソンは私たちが育てるから心配ないよ」
ジェヒとクムスンは意外そうにピルトを見た。テワンまで表情を変えた。
「お義父さま・・・それはどういうことですか?」
「フィソンはうちで育てる。お前は・・・ク君だったかな?」
「はい。ク・ジェヒと呼んでください」
「そうはいかないよ。そんな間柄じゃない。ク君と新たな出発をしなさい」
「お義父さま・・・」
「そうしなさい」とジョンシム。「それが2人にとってもいい」
「ダメです、お義母さん――それはできません。フィソンを置いてくなんて」
「それは出来ません」とジェヒ。「それはクムスンさんに結婚するなということです」
「お義父さま――冗談ですよね? そうですよね?」
「お前こそ、何を言ってるんだ? フィソンはうちで育てて当然だ。どこに連れてくと?」
「お義父さま・・・!」
「私が一生懸命、育てます。いい父親になります。信じてください」
「何を言ってるんだ? フィソンはノ・フィソンだ。ノ家で責任を持って育てる。ク君はうちの嫁を幸せにしてくれればいいんだ」
「お義父さま――それはできません。絶対にできません」
ジョンシムは言った。
「連れて行くつもりでいたの? ジョンワンの子を?」
そこにシワンの声がした。
「もういらしてるわ」とソンラン。
ジェヒは立ち上がった。クムスンはそばに立った。
「始めまして。ク・ジェヒと申します」
「始めまして。ノ・シワンと申します」
と右手を出す。
「すみません。怪我をしているもので」
とジェヒ。シワンは右手を引っ込める。
「どうも、ハ・ソンランです。シワンの妻です」
「ええ、ク・ジェヒです」
この時、フィソンがジェヒを見あげて呼んだ。
「パパ」
ジェヒはびっくりしてフィソンを見る。フィソンははっきりした声でもう一度呼んだ。
「パパーッ!」
ジェヒはしゃがんだ。笑顔でフィソンを抱きしめた。
あっけに取られるジョンシムとピルト。
「フィソン、元気だったか?」
「はい」
ジョンシムはあわててフィソンのそばに歩み寄る。フィソンの手を引く。
「フィソン、こっちにいらっしゃい」
フィソンを抱き上げて言う。
「違うでしょ。誰にでもパパと呼ばないの」
クムスンは見る見る表情を強張らせた。
script type="text/javascript" src="//translate.google.com/translate_a/element.js?2db9cb=googleTranslateElementInit"></script> google-site-verification: google3493cdb