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藤井聡太棋聖 vs 永瀬拓矢王座
第93期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第4局から
相がかりの将棋となった。
後手藤井棋聖の用意した作戦は、6四の歩を食べさせる展開。
タダで歩をあげると言っているのに、それを取らない手はない。嵌め手があってどちらかが優位に展開する戦法ではない。
定跡手順の先に不明の分かれは無数にあり、どちらを持っても一局の将棋とされている。
その後の流れについては永瀬王座も十分な練習や研究を積み上げていただろう。
2筋の歩を交換した後、永瀬王座は堂々と6四の歩を飛車で取っていく。
先手の駒得、後手の手得の分かれである。
ここから中盤にかけて、初級者の目には駒得している永瀬王座の方が指しやすい形勢に見えた。
後手の藤井玉は守り駒に攻め駒も上ずり、守りはほとんどがら空き状態。
一方の永瀬玉は、中住まいながら金銀の配置は悪くもなく、比較的守りは安定している。
両者の激突は先手側から見て、優位な展開に見えた。
先手が9七桂馬から飛車交換に成功し、7一に打ち下ろされた時、後手を持ってはとても戦える気がしなかった。
しかし、局後の検討によるとこの分かれで後手は十分だったらしい。それどころか先手永瀬王座が目指した飛車交換に向かう9七桂馬が敗着だったのではないか、というのだから、プロの将棋は恐ろしい。
まさかこの時点で後手の藤井棋聖が勝ちを読み切っていたとは思えない。ただ、悪くはないと読んでいたから受け入れたと見られる。
先手の3四歩が退路を封鎖しているし、局面も忙しい。
しかし、ここから数手進んでみると後手玉はすれすれで先手の攻めを逃れているし、藤井竜王の打った6六歩打ちが超絶急襲の値千金の手になっている。
この手が見えていたから7五の桂打ちだったらしい。この一歩が寄せに働く駒だったとは…。
さらに5二銀引くが寄せと連動する落ち着いた一着だった。
してみると先手の9七桂の入手と飛車交換は、先手玉への寄せの構図が見えていたからこその決断だったらしい。
この将棋を勝ち切ったことで好調時の藤井竜王が戻ってきた印象を持った。
この棋戦の第一局を落したのがまるで夢であったかのように。
これからの藤井竜王の将棋は安心して見ていられると思ったものである。
安心して見ていられないのは続いている。だが、容易に負けない藤井将棋は戻って来たと見受ける。
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