藤井聡太王位 VS 佐々木大地七段
「王位戦 七番勝負」第一局から
この日も藤井七冠は佐々木大地七段の攻めを凌いで受けて勝利をもぎ取った。
う~む、って縁台将棋の自分が唸っていても仕方がない。
しかし、やっぱり唸りたくなる。
最近の藤井七冠は華麗な詰み筋で寄せ切って勝つ将棋を封印してしまったかに見える。
何か心境の変化でもあったのだろうか。
勝ち筋がちょっとした勘違いや錯覚ですべてが無に帰す将棋より、もっと堂々とした勝ち方はないだろうか、とか…。
全部読み切って勝つ将棋より、相手の攻めを見切り、受けて勝つ方が多忙さから来る疲労も軽減できるのではないか、とか…。あるいはそれとも違う理由も絡んでいるかもしれない。
このところ藤井七冠の指す将棋は”大山将棋みたい”とは先日書いた。
大山永世名人は番外の陽動作戦(戦略)もかなりのものだったと聞き及ぶ。
しかし藤井七冠は将棋を盤上だけに集中して紳士的で格調も高い。
すでに不世出の棋士へと歩み出した印象すら受ける。
先ごろ、羽生九段を破って以来、藤井七冠はこの勝ち方を続けて来ている。
羽生九段との将棋でもAIの評価値は藤井七冠が80数%の優勢の段階だったようだ。
しかし将棋は、99%の負けがAI上で確定していても、現実の将棋では思いもかけない逆転がしばしば発現する。
単純な読み違いや錯覚は一流の棋士でも起こしてしまうからだ。
佐々木大地七段は先日の藤井棋聖との対局に続き、まだまだやれる局面の段階であっさりと投了を告げた。
AIの評価値は先日同様、非勢ながら10数%の反撃のチャンスを残していたという。
一度、佐々木大地七段に苦渋の逆転負けを喫したが、最近の勝利の三局はいずれも囲碁でいう中押し勝ちで握り取っている。
よって何十何手の詰みを読み切って”勝利をもぎ取る”などの派手な見出しは踊らなくなった。
おそらく八冠に向けて負けられない戦いとなってきた藤井七冠は、強く戦って相手をねじ伏せる勝ちよりも、相手の戦意を挫く方に力点を置いて来たのだと思う。
相手の玉を詰ますよりも自分の玉を詰ませないように勝つ方が将棋の深さを味わえる。
藤井七冠の将棋が凄いのは今更の話ではないが、局後の感想戦の藤井七冠も独壇場で凄いことになっているらしい。
詰ませて勝つよりも受けて勝った方が、藤井七冠の感想戦はさらに滋養のあるものになって来るのでは?
藤井七冠が対局後の感想戦まで想定して戦っているとは思えないが、藤井七冠の将棋が奥行きを増すためには、受けて勝つ将棋が増えた方がいいかもしれない。
なぜならその対局の寄せは幾通りも出現することになるだろうから。
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