藤井聡太竜王・名人 VS 豊島将之九段
第71期王座戦 挑戦者決定トーナメント 挑戦者決定戦から
大事な一局なのもそうだが、内容としても今年一番の名局となる予感である。
勝負の綾が目まぐるしく動く素晴らしい将棋だった。
持ち時間の長い将棋は見ているのに時間を奪われるので、いつも他のことをやりながらたまに覗くスタイルで将棋をふだんは楽しんでいる。
この対局も夕方までそんな風にくつろぎモードで観戦していたが、この将棋はほんの一時も目の離せない息詰まる熱戦となった。
ここまでの戦いになると、どんな手を指すか、指した瞬間を見ないと気が済まないからだった。
そのため、米を研いでご飯を炊くのももどかしく、パンと牛乳の夕食となってしまった。
藤井竜王が飛車を成りこんだ後、勝負は藤井竜王・名人が後手玉を寄せ切るか、豊島九段がしのぎ切るかのギリギリの戦いとなった。
スピード重視の細い攻めを敢行する藤井竜王・名人は、攻めに踏み込んだ以上、ついたスピードの足を止めるわけにいかない。
豊島九段は先手の攻めを誘引しながら、飛車を成りこませ、下段から先手に攻めさせ、上部に脱出ルートを開きながら、逆襲に転じる間合いを図る戦いである。
後手玉が1筋から上部に逃げ上がって来れるかどうかは、縁台将棋の観戦者にはまったく分からない。
どちらかと言えば先手の攻めが僅かに間に合わず、後手玉が上部へ逃げ出て来そうな気がした。
つまり、豊島九段が先手の攻めを忙しく誘って切らしてしまおう、との目論見がやや上手くいってるように見えた。
後手玉が上部に出てきていつしか秒読みの戦いとなった。
AIには人間心理の怖さがないから、ぎりぎりの時間まで鼻先をかすめる切っ先の動きをクールに読み込めるだろう。そして、時間が来たら、そこまでの最善手をさっと指す。
生身の人間にそれは出来ない。秒読みに追われ、あと10秒、5秒となれば、読むことよりこれまでの経験と重ねて、危なそうな手を最初に除去していくことになるのかもしれない。
AIは藤井竜王・名人が良しとする局面を多く示していたが、観戦する初心者としては常に先手が打開に苦慮しているように見えた。
そうして幻の5四玉が発生する局面へと将棋は展開を見せたのである。
時代劇のドラマや映画などで、手兵を率いて城に攻め入った将軍は、配下から敵の大将が「どこにもいない」と報告を受けると最初にはこう言い放つ。
「まだ遠くには行ってないはずだ。追え!」
女、子供は捕まっても助かる道がある。しかし、敵の大将は首が飛ぶ。
よって女、子供は近くの分かりにくい場所に隠れたりする場面も出て来たりする。
だが、敗軍の将はひたすら遠くへ逃げるのが定番である。たまに意気地のないボンクラ将軍が女や子供の中にまぎれて隠れる場面もあったりするが、それは笑いと風刺を狙ったものに過ぎない。
将棋界最高峰の実力者、藤井竜王・名人も豊島九段も、鬼より怖い龍が睨みを利かせ、香子一枚隔ててるだけの直通(しかも近い)場所に玉を逃げ据えることなど、考えも及ばなかったようである。
後手玉が唯一助かる手だった”幻の5四玉”については、いろんな動画がYouTubeに上がって語られている。
あの場面なら秒読みと関係なく自分も6五玉を選んだかもしれない。
龍の直通もなく、一番助かりそうな手に見えるからである。
”幻の5四玉”が大きく取り沙汰されたことでこの将棋は名局性を増した。
藤井竜王・名人も豊島九段も、人間将棋の原点(根っこ)は同じところにあるのを教えてくれた気もしている。
将棋界最高峰の実力者、藤井竜王・名人も豊島九段も、鬼より怖い龍が睨みを利かせ、香子一枚隔ててるだけの直通(しかも近い)場所に玉を逃げ据えることなど、考えも及ばなかったようである。
後手玉が唯一助かる手だった”幻の5四玉”については、いろんな動画がYouTubeに上がって語られている。
あの場面なら秒読みと関係なく自分も6五玉を選んだかもしれない。
龍の直通もなく、一番助かりそうな手に見えるからである。
”幻の5四玉”が大きく取り沙汰されたことでこの将棋は名局性を増した。
藤井竜王・名人も豊島九段も、人間将棋の原点(根っこ)は同じところにあるのを教えてくれた気もしている。
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