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URAKARA9話(4)
URAKARA episode 9 (4)
「だから、一人でも傷つけたら、私、絶対許さなーいっ!」
ギュリらも前に歩を踏み出した。ハラと肩をならべ強い眼差しを男に向けた。
ハラたちの絆の強さに犯人の心は動いた。彼も人の子だ。家族がある。両親を失ってはいても血を分けた弟がいる。病弱の妹がいる。二人は自分にとってかけがえのない家族だった。
ハラは妹のジヨンを庇った。そのハラを姉たちも身を呈して守ろうとした。
彼は妹を思い浮かべた。年少の彼女も自分を父や母のように慕ってくれている。
「もし・・・妹さんのこと、ほんとに思っているなら、こんなことやめてください」
「・・・」
彼は突きつけていた銃を静かにおろした。
後ずさりして言った。
「じゃあ・・・どうすりゃいいんだよ!」
弟が涙に暮れながら兄のそばへ歩み寄った。
その時、出入り口をふさいだシャッターが音を立てた。ガシャガシャと立て続けに大きな音を立てた。
「あかん、警察や」関西のぞみが叫んだ。
警察の突入を感じて彼は膝からその場に崩れ落ちた。
「もう、だめだ・・・!」
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二人が観念したその時、傍らにいた支店長が元気よく手をあげた。
「はい、私に、いい考えが!」
「えっ?」
ハラたちは首をひねった。どんな・・・?
支店長の方策はどんなのだったか・・・
警察突入を前にした状況で、行内にいた者たちは急に悲鳴をあげてあたりを逃げ惑いだした。いっせいに下にうずくまると、ハラを人質にとって銃を連中に向けている二人の姿が浮かび上がる。
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・・・のも束の間、すぐに銀行の裏口の方から私服刑事らが銃を構えて飛び込んでくる。
「おとなしくしろーっ!」
背後から踏み込まれて二人が面食らったようにしていると、刑事らはたちまちのうちに二人を取り押さえた。
「何だよ」
組み伏せられた二人は下から叫んだ。
「どけ!」
「放せ!」
「こらっ!」
この時、
「テッテレーッ」の声とともに支店長が看板を肩の上に掲げた。「ドッキリ、大成功!」
その声に行内にいた者は歓声をあげ、手を叩いた。
支店長は「ドッキリ、大成功!」の看板を持って銃を構える刑事のもとへ歩み寄った。
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「あっははは、あっははは、あっはははは」
「はあ? なんだ、これ?」
駆けつけた刑事は狐につままれた顔をする。
支店長は調子よく答える。
「ドッキリですよ、ドッキリ。ねえ、みんな」
「はぁーい」
歓声と拍手。
「はい。ドッキリ番組の収録です。ほら、台本も・・・あれ? 本物の警察来ちゃった?
あっははは」
「来ちゃったよ」
KARAのメンバーたちほかも楽しそうに大笑い。
それを見て刑事は支店長に訊ねた。
「お前、ここの責任者か?」
「はい。支店長です」
「ああ。ちょっと、署まで来てくれるか」
刑事は支店長の肩を叩いた。
「ゆっくり話を聞かせてもらおうじゃないか。なっ」
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歩き出しながら支店長の上着の襟元をつかんだ。引っ張って歩き出した。
「ああっ、ああーあっ」
おかしさをこらえられないKARAのメンバーたち。
刑事に引っ張って行かれながら、支店長はKARAたちの方を振り返った。手を振りかざして叫んだ。
「僕は、君のためなら何でもできる。たとえば明日、死ねる」
「何言ってんだ。早くこい!」
そんな支店長を見てギュリは言った。
「いい人だったけど・・・」
ニコルも同調した。
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「かなり、あぶない・・・!」
ハラは二人の背中に声かけた。
「そろそろ行った方が・・・」
二人はハラの方を向き直った。
「俺たち・・・俺たちもう少しで・・・」
ハラは彼らに歩み寄った。二人の手を取った。笑顔で励ました。
「ファイティーン!」
「・・・ありがとう」
二人はハラに深々と頭を下げた。兄が弟を促すようにして銀行を出て行った。
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二人を見送ったハラは充足の笑みを浮かべた。
そのとたん、緊張の糸が切れたようにハラはそこに崩れ落ちた。
メンバーはあわててハラのそばに駆け寄る。
「お姉ちゃん」
ハラは顔を上げた。
ギュリはハラをだきしめた。ギュリの腕の中でハラは声を震わせた。
「怖かったよーっ!」
その様子を見つめながら社長2号は思った。
「この子たちがこれほどまでに成長していたとは、私にも計算できませんでした」
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彼女らはほんとの家族のように絆を深くしていたのだった。
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この様子を社長2号の目を借りて見ていた山本局長は謎の男に訊ねた。
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「今回のおたわむれの意味は?」
「試してみたくなったんだよ。スターになりうる者だけが持つ運の強さを・・・!」
ここから謎の男の企んだ筋書きが山本局長の話としてカットバックされる。
☆☆☆
――銃を売り、
「この銀行はセキュリティーが甘いから、襲うならここだよ」
――そして、私を使って番組を中止させ、カラ具合の銀行を襲わせた。警察にも通報して。恐ろしいお人だ。
ギュリの声でKARAの歌が流れ出す。
「すべて、私の計算どおり。あっははは、あっはははははは」
☆☆☆
兄妹の貼り絵を手に妹は深い眠りについている。そこへ戻ってきた強盗になりかかった兄二人。一人が妹の手からそっと抜き取って貼り絵を手にする。そして妹の前でかたく誓うのだった。
「お前は・・・俺たちが、絶対に守るから!」
その頃、KARAのメンバーは団欒のひとときを持っていた。
ハラがひらがなを覚えようとしている。
「くはら」と書こうとしているのだが、「は」の横棒が一本はいっていない。
ギュリがそこを指摘する。
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「違うよ、一本足りない」
ハラは一本入れるが右側が「よ」になってしまう。
「ここだ」
ジヨンが変なところに一本入れてわけのわからない字になった。
「ほんとにもう、左だって」
「ここ?」
ハラが「く」の左側にタテに棒を入れて「K」になってしまった。さすがにハラは笑ってしまった。
「横よ」
「横」
「もう、私が教えてあげる」
ギュリがマジックを手にすると、他の者も「私が」「私が」と言い出して収拾がつかなくなる。
ハラは両耳を押さえて叫んだ。
「もう、いいからほっといてよ!」
KARAの「今、贈りたい 「ありがとう」」の歌が流れ続けている。
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