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第5回ABEMAトーナメント(チーム羽生VSチーム三浦)から




第5回ABEMAトーナメント(チーム羽生VSチーム三浦)から



予選リーグAリーグ




 一進一退の激しいチーム戦を制したのはチーム三浦だった。
 結果は以下の通りである。
 
第1局 佐藤紳哉七段 vs 池永天志五段 先手 佐藤紳哉七段の勝利
  (矢倉戦)                (1勝)
第2局 佐藤紳哉七段 vs 伊藤匠五段 先手 伊藤匠五段の勝利
  (相がかり戦)              (1勝)
第3局 中村太地七段 vs 三浦弘行九段 先手 中村太地七段の勝利
  (横歩取り)               (1勝)
第4極 羽生善治九段 vs 池永天志五段 先手 池永天志五段の勝利
  (相居飛車の力戦)            (1勝)
第5局 中村太地七段 vs 伊藤匠五段 後手 伊藤匠五段の勝利
  (角換わり戦)              (2勝)
第6局 羽生善治九段 vs 三浦弘行九段 後手 羽生善治九段の勝利
  (相がかり戦)              (1勝)
第7局 中村太地七段 vs 伊藤匠五段 先手 中村太地七段の勝利
  (相がかり戦)              (2勝)
第8局 佐藤紳哉七段 vs 三浦弘行九段 先手 三浦弘行九段の勝利
  (相がかり戦)              (1勝)
第9局 羽生善治九段 vs 池永天志五段 後手 池永天志五段の勝利
  (矢倉戦)                (2勝)




〇 Aリーグ予選


 強力な布陣を誇る「チーム永瀬」が「チーム羽生」と「チーム三浦」を退けて先に予選突破を決めた。
 残るひとつの椅子をめぐって「チーム羽生」と「チーム三浦」が激突した。


 ABEMAトーナメントは、持ち時間が5分、一手指すごとに5秒が加算される超早指し戦である。
 早指し戦である分、先手を持った方が局面をリードしやすいようである。
 それは今回の対戦でも結果に反映してるようだ。
 後手番を持って勝った棋士は三人いる。
 第5局で、対中村太地七段 に勝利した伊藤匠五段。
 第6局で、対三浦弘行九段に勝利した羽生善治九段。
 第9局で 対羽生善治九段に勝利した池永天志五段である。


  第6局のリーダー対決は相がかりの戦いに進んだ。序盤、7四歩を食べさせて手を稼いだ羽生九段が先に好形を築くが、そこを三浦九段が巧みに崩していく。だが相手の強引な攻めに乗じて羽生九段も接近戦に持ち込んで先手の玉頭を圧倒し始める。4筋と5筋の中央に厚みを築いた羽生九段の好形が、三浦九段の玉頭圧迫に役立ってきたのだ。
 三浦九段は飛車を玉の近くに寄せて防戦に努めるが、攻め手が遠のいて勝ち味は乏しくなった。三浦九段は無念の逆転負けとなった。


 羽生九段の勝利で3勝3敗となって勢いを得た「チーム羽生」は続く第7局、ABEMAトーナメントで活躍の続く伊藤五段に中村七段が相対した。
 この一戦も相がかり戦となり、伊藤五段の猛攻を凌ぎきった中村七段が勝利をもぎ取った。4勝3敗で逆にチーム三浦を追い詰めたのである。
 
 ABEMAトーナメントでは対局者が決まった後、作戦会議というのがある。相手の作戦にはまらないための簡単な話し合いである。やりとりなどを聞いていると、棋士たちはABEMAトーナメントを将棋愛好者に対する娯楽の姿勢を優先しているのが伝わってくる。
 どんな作戦があるか、どんな戦略でいくか、というのもあるが、いろんな戦いをあえて見せてくれている趣も強い。


 練習将棋ではこんな風にバラエティに富んだ将棋をやることはないだろう。バイオリニストが練習をする時、弾きなれた曲をまるごと弾くなんてのを滅多にやらないのと多分同じだ。
 よって棋士たちは我々のやる縁台将棋を、勝ち負けも大事だが、それと同じくらい面白さも大事だ、として、縁台将棋の気分で指してくれていると考えてよさそうである。
 
 第8局は今回のトーナメントで不振の続く三浦九段は背水の陣で佐藤七段との対局に臨んだ。
 ”相がかり制してこそ次の展望も見える”。3局連続で相がかり戦になったのは、両者ともに本気モードが強まったからと見てよさそうだった。
 両者、一歩も引かない強気の応酬が続いた。しかし、一本道の戦いとなっては先手の押しの強さが一歩優った。後手は受ける展開に追いやられ、玉頭を制圧されて押し切られてしまった。
 三浦九段からすれば右肩上がりの完勝となった。


 これで双方が4勝4敗。後は天王山の戦いを残すのみ。最後の戦いは
羽生善治九段 対 池永天志五段の戦いとなった。
  
 第9局は先手の羽生九段が矢倉囲いで戦いを進めた。池永五段は藤井竜王を思わせる中住まいで玉を雁木で囲って対抗した。
 序盤から中盤にかけては玉頭の模様を広くとって、先手が有望に見えた。しかし、後手はその網を破って形勢を挽回した。
 戦いが終盤に近付いてみると、後手陣を圧迫する玉頭の模様の広さが仇となってしまった。
 堅固に見えた羽生陣を池永五段は歩の垂らしや突き捨てで切り崩してしまった。まるで往年の羽生九段を見るような見事な手順と切り崩しだった。
 後手に8筋から破られてしまったので、結果から見れば矢倉の下に7九玉と囲っていった羽生九段の指し手がたたってしまったように思える。それらの手をどこに使ったらよかったのかは縁台将棋の人間にはさっぱり分からない。


 前半の流れを見ると羽生九段が勝つと見えただけに、どうしてあんな風に崩れて負けたのか、と不思議だった。NHK杯を連破してた頃の羽生九段なら間違いなく勝ってたに違いない、とも思いながら…。



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