韓国ドラマ「がんばれ!クムスン」(21)
クムスンに、ノ・ピルド、ジョンシム、テワンの厳しい目が注ぐ。
「どこへ行ってたのか、早く答えなさい」
問い詰めてくる家族に、クムスンは答えられないでいる。家族が留守の時に、事故を起こし警察に拘束されていたなんてとても言えそうにないのだった。
クムスンのその態度は家族の疑念をさらに膨らませる。
「早く答えろ、クムスン」とノ・ピルドも苛立って言った。
「それは・・・」
「はっきりしなさい。なぜ答えられないの」とジョンシム。
「それは・・・」
「ずっとそうしているつもりなの? なぜ答えられないの」
答えないとその場は収まりそうにない。
クムスンは仕方なく答えた。
「警察署にいました」
ジョンシムは驚いた。
「えっ? どこですって?」
「警察署だとさ・・・」テワンが説明する。
クムスンはスクーターで自分が人を撥ねた話をした。
示談で話がついたことも話した。
「それならよかったわ」
ジョンシムは話を決着させようとするが、ノ・ピルドはいきなり怒鳴った。
「何がよかっただ!」
クムスンを睨みつけた。
「それだったら、なぜすぐに連絡しないんだ。警察署で夜を明かすなんて」
「今日、お帰りだと聞いていたから・・・」
クムスンはおそるおそる答えた。
「お前がそんな目に遭ってればいつだって駆けつけるさ。当然だろ」
「心配されるかと思って」
「子供に何かあったら心配するのが親というもんだ。心配しない親がどこにいる!」
「・・・」
「お前にはがっかりしたよ。そんなことがあったなら、電話すればいいだろが。お前は俺たちを何だと思って一緒に暮らしてきたんだ?」
「・・・」
「お前にとって俺たちは何なんだ?」
クムスンはうなだれた。自然と涙ぐんでくる。
「なぜ泣くんだ!」
ノ・ピルドは怒鳴った。
「言われたことが腹立たしいのか?」
「いいえ」
クムスンは頭を振った。
「違います、お義父さん・・・嬉しくて、とても嬉しくて」
三人はクムスンを見つめた。
クムスンは流れ出る涙を拭おうともせずに言った。
「実の父親に怒られているみたいで・・・こうして怒っていただくと、私も大切な家族の一員だと思っていただいてるのだな、って・・・ありがとうございます、お義父さん・・・これからは必ず連絡するようにします」
無断外泊の疑いも晴れ、クムスンはすがすがしい朝を迎えた。
クムスンの事故のせいで、結果的にノ家は家族の絆を深めたようだった。
仕事に出かける支度のできたノ・ピルドはクムスンに言った。
「たくさん食べろよ」
ジョンシムとクムスンは仕事に出かけるノ・ピルドを見送った。
朝食を取るクムスンを見てジョンシムは言った。
「ご両親は・・・いつ、亡くなったの?」
今まで聞こうともしなかった話だった。
「父は私が生まれる前だと聞いてます。母は私が生まれて数ヵ月後です」
「・・・じゃあ、顔も覚えてないのね」
「はい」
「・・・食べて」
フィソンを迎えにいく話になった。この時、配達の仕事が残ってるとクムスンは言った。
ジョンシムは答えた。
「了解が必要なの? 好きにしなさい」
クムスンは嬉しそうに頷いた。
クムスンはジョムスンに配達の仕事をすませてからフィソンを迎えに行くと伝えた。
チャン・ウンジュはオ・ミジャに気に入られようと必死だった。部屋に彼女の好きなペパーミントの鉢植えを置いた。
ウンジュの差し出した鉢植えの匂いを嗅いでオ・ミジャはうっとりした表情になった。
「私はペパーミントの匂いが一番好きなのよ」
ウンジュは満足そうに頷く。
「あなたのお母さんは幸せ者ね。気の利く夫に可愛くて優しい娘がいて」
ここぞとばかりウンジュは言った。
「私が院長の娘になります」
「嬉しいこと言ってくれるわ」
オ・ミジャは大喜びだ。
「市場調査と顧客アンケートの結果です」
ウンジュは取りまとめたデーターを院長に見せた。
「それね」
「このデーターから当店の運営状況と不振の原因などを分析中です。結果は後日に」
「ええ、期待してるわ」
ウンジュは立ち上がろうとする。
「そうだ、ウンジュ」
オ・ミジャは切り出した。
「昨日、ジェヒとデートしたの?」
「・・・はい」
「やっぱりそうなの? そんな気がしたけど、いつからそういう仲に?」
「昨日からです。ジェヒさんからでなく、私の方から誘いました」
ク・ジェヒは病棟を歩いていて、例のおばあちゃんを見かけた。目を止めたのは後輩医師が彼女の何か渡しているからだった。
ジェヒは二人に近づいて行った。
「今までの青汁代だとあのお嬢さんから預かりました」
おばあちゃんは驚いて返そうとする。
「こんなの受け取れないよ」
「だけど、無理に売る気はなかったから、そう思ったなら申し訳ないからお返ししたいと」
「どうして受け取るのよ」
おばあちゃんは苛立った。
「これをもらえば、私は悪いばあさんになっちゃうじゃないの」
二人のやりとりを聞いて、ク・ジェヒはクムスンの言っていた言葉を思い出した。
――お金は稼ぎたいけど、お金と健康を引き換えにはしません。
彼女の言っていたのは単なる弁解やごまかしではなかったのだ。
「・・・」
後輩医師はジェヒのところに戻った。ジェヒは二人を従えて歩き出した。
階段をおりてきたジェヒの前にヨンオクが歩いてきた。
彼女は怪我の心配をした。
「大丈夫です。すぐ治りますよ。今日は定期健診ですか?」
そこにチャン・キジョンが姿を見せる。
「来たか」
ジェヒはチャン・キジョンに言った。
「先生、金曜日の資料をお部屋に」
「ああ、見たよ。作り直せ」
「・・・」
「もっと簡潔に書けんのか。肝硬化の手術で肝不全で死亡する可能性を知らない者はいるか? 周知の事実だし、図表は複雑過ぎる」
ヨンオクはキジョンを見た。夫はク・ジェヒに厳しすぎると感じた。
「スライドを見るだけで分かるように整理しなおせ」
ク・ジェヒは頭を下げた。
「あと、今朝、資料も見当たらなかった。指を怪我しても事前にチェックはできる」
言いたいことを言って、チャン・キジョンはヨンオクを促した。
二人が行った後、ジェヒは後輩に文句を言った。
チャン・キジョンの部屋に落ち着いた後、ヨンオクは夫に言った。
「私の思い違いかしら? あなた、ジェヒさんに感情的じゃない?」
「何を言ってる。当然の指摘をしたまでだ」
「今日だけじゃないわ。実は昨夜もそう感じたのよ。ウンジュのせい?」
クムスンは青汁の配達で走り回った。
配達が終わった後、ミカンを買ってフィソンを迎えにいった。
待っていたかのように、スンジャはクムスンに不満を並べた。
「姑も面倒見ないのに、どうして遠い親戚の私が面倒見なきゃいけないのよ」
ジョムスンがそれに反発し、クムスンの前で二人は言い争いを始める。
これも覚悟の上で頼んだことだ。
祖母の見送りを受け、クムスンはフィソンをおぶって笑顔で帰路に着く。
クムスンを後姿を見てジョムスンはグスグスと涙を流した。
街に出たジョンシムは携帯電話を売る店に立ち寄った。
「最新ではなく、基本機能を備えた携帯電話でいいんですけど・・・」
「これを使え」
家ではノ・ピルドがクムスンに携帯電話機を差し出していた。
クムスンは恐縮した。
「お前が家にいる時は問題もなかった・・・いや、前から買ってやろうと思っていたんだ。見てみろ」
クムスンは感激した。
「ありがとうございます」
横からテワンが言った。
「父さん、俺の携帯も古いからそろそろ取り替えないと」
「お前もクムスンみたいに早起きして・・・何の配達だ?」
ピルドはクムスンを見る。
「青汁です」
「青汁配達を真面目にしたらすぐ最新のを買ってやる」
そこへジョンシムが帰ってきた。
クムスンが携帯を握って嬉しそうにしている。
三人はジョンシムに気付くのが遅れた。目の前に立っている彼女を見て、クムスンはあわてて立ち上がる。
「お帰りなさい。お義母さん、お義父さんにこれを買ってもらいました」
ジョンシムは複雑な表情で立っている。
「母さん、これは何だ?」
手にした袋を見てテワンが訊ねた。
「いいのよ」
テワンの手を振り切って彼女は部屋に消えた。
様子が変なのでノ・ピルドはジョンシムに続いて部屋に入ってくる。
「それは何だ?」
洋服ダンスの奥にしまってからジョンシムは答える。
「何でもないわ」
夫を見てもう一度いう。
「何でもないってば」
「そうか。あれは高い携帯じゃないぞ」
ジョンシムは苦笑する。
「何も訊いてないでしょう」
「うん、そうだな。お前が高い物買ったから怒ったかと思って」
ジョンシムは黙って部屋を出て行った。
ノ・ピルドは気になって洋服ダンスの中を調べた。
食事の後、クムスンは義父母に切り出した。
「もう一年、フィソンを育ててから美容室に就職します」
「その代わり、配達の仕事だけは許してください。あの子を保育園に通わせたいし・・・携帯の料金もありますから」
「どうして急にそう決めたんだ?」
「一番の理由はフィソンのためです。美容室もぜんぶ落ちてしまいました」
「・・・」
「それに・・・事故を起こしたのも、心配ばかりかけて罰が当たったんだと思うんです」
ノ・ピルドはジョンシムを見た。
ジョンシムは訊ねた。
「美容室はなぜ落ちたの?」
「わかりません。年齢のせいか、他の理由なのか・・・事故で、理由を聞きに行けなくて」
「年齢の問題なら、来年はもっと大変なんじゃないか?」
「でも正確なことはわからないので・・・」
クムスンは立ち上がる。
「麦茶をかけてたので」
ノ・ピルドとジョンシムは顔を見合わせた。
「何?」
「いや、別に・・・」
キッチンでクムスンは思わず涙ぐんだ。思い通りにいかない悔しさが彼女の中でたぎっているようだった。
そこへジョンシムがやってきた。
「麦茶を1杯ちょうだい」
この時、ジョンシムは涙ぐんでるクムスンを見た。
ハ・ソンランは女友達の集まりに出た。
「遅れてごめんなさい」
「やあ、来たか」
友人の婚約者も同席している。
他の友人も配偶者を連れて出てきている。
一人でやってきたソンランに女友達は言った。
「男をつかまえてくると言ったのにどうなったの」
「それだけど」
ソンランは笑って返す。
「昨日、捜してみたの。そしたらね、みんな私を見て驚くの」
「どうして?」
「理由はトイレにいって気づいた。鏡を見て気絶しそうになったわ。目の前には老いたおばさんがいるじゃない」
みんなどっと笑った。
ソンランは説明した。
「事務所には若くて可愛い子ばかりだから、自分もそんなつもりでいたのよ」
「・・・」
「たまには鏡を見るべきね。現実から目を背けてはダメなのよ」
友人の婚約者が慰めた。
「ソンランさんはお若いですよ」
ソンランは照れた。
「お世辞でも嬉しいわ。それじゃあ、ミニョンの結婚を祝して乾杯」
ソンランの先導でグラスを重ねた。
時間は過ぎた。トイレから戻ってきたソンランは、自分たちの席を見た時、そこがいかに仲睦まじい場所なのかを感じ取り、寂しさを覚えた。
友人たちと別れ、家に向かう時、ソンランはこのまま帰りたい気分ではなくなっていた。
誰かに会いたくなって携帯を取り出した。電話を入れた相手はノ・シワンだった。
電話を受けたシワンは夢中で夜の街に飛び出していった。
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