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キムヨナの演技とステップ



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浅田より怖い?キム・ヨナがソチで会う10代選手たち


オリンピックや世界選手権など重要な大会のたびにキム・ヨナが最も警戒したライバルは浅田真央だった。いまや状況が変わった。浅田だけを念頭に置いて2014年のソチ冬季五輪を準備してはいけない。

キム・ヨナが“フィギュアクイーン”として華麗に復帰した2013フィギュア選手権大会で注視すべきポイントがある。ティーンエージャーの躍進だ。トップ10に10代の選手が6人も布陣した。日本の村上佳菜子(当時18)と中国の張可欣(当時17)の2人だけが10位に入った昨年の世界選手権とは異なる様相だ。世代交代の信号弾がさく烈したわけだ。6位のグレイシー・ゴールド(18・米国)と7位の李子君(17・中国)、8位のケイトリン・オズモンド(18・カナダ)、10位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(17・ロシア)など、ほとんど今年初めて世界選手権大会に参加した選手らが覇気を前面に出し世界の舞台に華麗に登場した。

ゴールドとオズモンドは同い年のライバルだ。両選手とも容貌に優れ基本技もしっかしている、オズモンドはショートプログラムでパワーとリズム感あふれる演技で減点なしのクリーン演技を見せた。ゴールドはフリースケーティングでトリプルルッツとトリプルトウループのコンビネーションジャンプをきっちりとこなし5位を記録した。総合順位ではオズモンドを押さえた。大韓スケート連盟のチョン・ジェウン理事は、「オズモンドとゴールドのように基本技が良ければ非常に早く成長する」とし、ソチ五輪の期待株に選んだ。

中国の新鋭李子君も目立った。李子君はフリースケーティング「眠れる森の美女」で清純な容貌に見合った優雅な演技でスタンディングオベーションを受けた。この日スタンディングオベーションを受けたのはキム・ヨナと李子君だけだった。

トゥクタミシェワもダークホースだ。ジュニアからシニアにきて体形変化に適応できなくなっているが来年のソチでは開催国の利点を狙える。10代の選手は日ごとに技量が成長する時期のため油断はできない。

キム・ヨナは19日に帰国し次のシーズンの構想に入る。五輪で演技するプログラムは10ごろに公開される予定だ。ソチ冬季五輪は来年2月7日開幕する。あと325日、もう1年も残っていない。
(フィギュアスケートニュースより)

 4年前の世界選手権はアメリカのロサンジェルスで行われた。バンクーバーを一年後に控えた大会である。この時、ジョアニー・ロシェットや安藤美姫らのベテランを押さえ、若手選手代表としてバンクーバーのヒロイン候補筆頭に名乗り出たのはキムヨナだった。
 4位になった浅田真央もキムヨナと同じ18歳。上記で取り上げられ、注目されだしている選手らとほぼ同じ年頃だった。
 ただし、置かれていた状況は今とはぜんぜん違う。17歳から18歳にかけてのキムヨナや浅田真央は向かうところ敵なしだった。キムヨナらはバンクーバー五輪を目指しベテラン勢の牙城を崩しながら着実に実績を積み上げていた。
 しかし、先日の世界選手権はベテラン勢(キムヨナ、カロリーナ・コストナー、浅田真央)が表彰台を独占した大会となった。


 若手選手は一角にも食い込めなかった。2009年当時のキムヨナや浅田真央に比べ、引っさげていた実績も乏しかった。村上佳菜子は別にして、グレイシー・ゴールド、ケイトリン・オズモンド、李子君といった選手は自国の代表選手としてやっと売り出したばかりである。
 いわば、世界の有力選手を相手に自分の力を試す場となったわけだ。
 結果はどうだったのか? レベルの底上げには大きく寄与したと言える。ただし、頂上決戦に加わるには全体の力がもうひとつ及ばなかった。元気はあったが技術は不足した。ジャンプや演技は随所で光ったが、出来にムラもあった。SPとFS、二本のプログラムをまとめきれた選手がいなかったのだ。
 その意味で、村上佳菜子、グレイシー・ゴールド、ケイトリン・オズモンド、李子君といった選手の演技は惜しかった。


 表彰台に乗った三選手のうち、完璧な演技を披露して優勝したキムヨナはともかくとして、カロリーナ・コストナー、浅田真央の両選手は決して好調とは言えなかった。
 カロリーナ・コストナーはSP、FSでジャンプ転倒があったのに高得点をもらって2位に入った。得意とは言えないジャンプが決まった時、スピン、スケーティングはスピードもあるから演技には見栄えが出る。得点も伸びる。しかし、二本のプログラムともジャンプが決まらなかった。今回は200点に迫るスコアを叩き出したとはいえ、寂しい表彰台である。ジャンプではキムヨナや浅田真央に勝てないと見て、スピン、スケーティングのスピード化、ヨーロッパ型のクラシックスタイルの表現アップに努めたのが功を奏して(スコアを引き出すのに)いるのかもしれない。
 浅田真央には再びスランプに陥る兆候を感じなくもない。
 この大会の演技はSP、FSともいいように感じなかった。ジャンプにミスが出たせいもあるのだろう。FSは後半からよくなってくるが、全体としてリズムに乗れていたとは言えない。四大陸選手権までは安定していた。大きな大会にくるとこれが出る。どうしてなのだろう?
 専門家でないのでGOEは持ち出さない。あくまで印象批評でしかない。李子君の出したフリー得点127.54 に比べると、両選手のフリー得点は5点くらい高いように感じる。すなわち、浅田真央は130点前後、カロリーナ・コストナー は李子君の下にくる126点前後の得点といったところである。そうすれば若手選手らともそう差がついていないことになる。


 キムヨナも差し引くと143点といったところか。
 ただし、キムヨナの演技はフィギュアスケートという競技を超脱してしまっている感がある。160点が出ても仕方ないと思うし、120点に終わっても”そうなのかなあ”と思う。どっちのスコアにしろ、彼女の演技は僕に強烈な印象を残してしまう。ビールマンスピンを残したビールマン選手のようにだ。彼女は大きな国際大会に出てメダルを取るほどの選手ではなかったが、過去の多くのメダリストより強烈な印象を残している。そんな風にだ。
 キムヨナの場合はどうしてそう感じるのか? 彼女の演技を見ていると、いつしか足元など見なくなっていってしまうからだ。彼女の演技全体に釘付けになっていってしまうからだ。
 彼女の演技に対するコメントで”何でこんな点数が出る? ただ滑ってるだけじゃないか”というのがあった。
「なるほどね」
 と僕は思った。別にその意見に感心したからじゃない。こと彼女の演技に対し、そんな見方が出てきても不思議ではないと考えたからだ。彼女の演技全体に釘付けになる自分も彼女の足元は滑っているとだけしか感じないのは確かである。
 しかし、ここにこそキムヨナワールドの真骨頂がある。 
 たとえば氷の上でなく、我々が普通に動き回る地上においても色々のパフォーマンスがある。演芸、スポーツ、その他、多種に及ぶが、優れた表現を前にして”ここはこうした方がいい””それではダメだ”というのはほとんど意味を持たない。スポーツでも”より速く、より遠く、より高く”の原則があるけれど、その次を考えれば”より美しく”となるだろう。
 氷上で行われるフィギュアスケートもスポーツであるから、”より速く、より遠く、より高く”の原則に従っている。個別に集中する競技は他に出来ているので、フィギュアスケートはジャンプやスピン、スケーティング等、表現技術を競うスポーツとして発展してきた。

――氷上のオペラ

 そういわれる所以だ。
 フィギュアスケートは滑りやすい氷の上をどう克服(コントロール)するかの競技だ。そのためいろんなステップ、ジャンプが課題として用意され、それらのレベルを押し上げながら今日まで発展してきた。
 そして今やすごいレベルに達している。とうとう足元を意識させない(氷上の演技を堪能させてくれる)キムヨナのような選手まで登場させるに至ったというわけだ。

「ただ滑ってるだけじゃないか」
 という。

 ではその人に訊ねたい。
 スピードスケートの選手にあんな演技が出来るであろうか。いや、この際フィギュアスケートの選手でも誰でもいい。あんな演技まで達する選手が他に一人でもいるであろうか。まるで地上の舞踏のごとくリズムにのって氷上で舞える選手が他にいるだろうか?
 足元を感じさせないというのは足元を疎かにしているというのではない。あの演技は、いろいろの課題に見合ったステップやスケーティングを磨きあげたからこそ出来る業に違いない。彼女の自在の表現力を支える足元は高度のステップをさまざま踏み、瞬時には相当高いレベルのステップを踏んでると見た方がいいのではなかろうか。

 
 ソチオリンピックのメダル争いはキムヨナ中心となるのがこれではっきりした。よほどのアクシデントに見舞われない限りキムヨナが負けるとは考えにくい。破る選手が現れるとすればジャンプとスピードがずば抜けた若手選手ということになろうか。技術の力でキムヨナを超えるのは至難だ。ジャンプ、スピード、スタミナをアピールして彼女を凌駕していくしかなさそうである。





女子総合結果

順位 名前 国名 SP FS Total リンク先

1 金妍兒[キム・ヨナ]
(Yuna KIM ) 韓国 69.97 148.34 218.31 SP/FS/EX
2 カロリーナ・コストナー
(Carolina KOSTNER ) イタリア 66.86 131.03 197.89 SP/FS/EX
3 浅田真央
(Mao ASADA ) 日本 62.10 134.37 196.47 SP/FS/EX
4 村上佳菜子
(Kanako MURAKAMI ) 日本 66.64 123.09 189.73 SP/FS/EX
5 アシュリー・ワグナー
(Ashley WAGNER ) アメリカ 63.98 123.36 187.34 SP/FS/EX
6 グレイシー・ゴールド
(Gracie GOLD ) アメリカ 58.85 125.40 184.25 SP/FS
7 李子君[リ・シクン]
(Zijun LI ) 中国 56.31 127.54 183.85 SP/FS/EX
8 ケイトリン・オズモンド
(Kaetlyn OSMOND ) カナダ 64.73 112.09 176.82 SP/FS/EX
9 アデリーナ・ソトニコワ
(Adelina SOTNIKOVA ) ロシア 59.62 116.36 175.98 SP/FS
10 エリザベータ・トゥクタミシェワ
(Elizaveta TUKTAMYSHEVA ) ロシア 54.72 119.52 174.24 SP/FS
11 マエ=ベレニス・メイテ
(Mae Berenice MEITE ) フランス 56.90 108.13 165.03 SP/FS
12 鈴木明子
(Akiko SUZUKI ) 日本 61.17 103.42 164.59 SP/FS
13 アレーナ・レオノワ
(Alena LEONOVA ) ロシア < 56.30 102.76 159.06 SP/FS
14 ビクトリア・ヘルゲション
(Viktoria HELGESSON ) スウェーデン 58.36 100.44 158.80 SP/FS
15 ナタリア・ポポワ
(Natalia POPOVA ) ウクライナ 51.67 103.85 155.52 SP/FS
16 エレーナ・グレボワ
(Elena GLEBOVA ) エストニア 54.59 97.90 152.49 SP/FS
17 モニカ・シマンチコワ
(Monika SIMANCIKOVA ) スロバキア 51.18 97.84 149.02 SP/FS
18 ヴァレンティナ・マルケイ
(Valentina MARCHEI ) イタリア 50.41 96.82 147.23 SP/FS
19 ナタリー・ヴァインツィアール
(Nathalie WEINZIERL ) ドイツ 48.14 94.34 142.48 SP/FS
20 ジェナ・マコーケル
(Jenna MCCORKELL ) イギリス 51.23 91.04 142.27 SP/FS
21 ブルックリー・ハン
(Brooklee HAN ) オーストラリア 50.62 91.26 141.88 SP/FS
22 ソニア・ラフエンテ
(Sonia LAFUENTE ) スペイン 52.44 87.22 139.66 SP/FS
23 張可欣[クーシン・ザン]
(Kexin ZHANG ) 中国 88.61 96.82 137.41 SP/FS
24 ケルシュティン・フランク
(Kerstin FRANK ) オーストリア 49.66 78.32 127.98 SP/FS
25 イサドラ・ウィリアムズ
(Isadora WILLIAMS ) ブラジル 46.63 SP
26 アニタ・マドセン
(Anita MADSEN ) デンマーク 46.16 SP
27 カロル・ブレッサヌッティ
(Carol BRESSANUTTI ) イタリア 44.51 SP
28 カート・バン・ダーレ
(Kaat VAN DAELE ) ベルギー 42.51 SP
29 エレーネ・ゲデバニシビリ
(Elene GEDEVANISHVILI ) グルジア 42.40 SP
30 ティナ・シュタージンガー
(Tina STUERZINGER ) スイス 42.36 SP
31 ユーリア・トゥルッキラ
(Juulia TURKKILA ) フィンランド 40.70 SP
32 アンネ・リネ・ヤシェム
(Anne Line GJERSEM ) ノルウェー 38.53 SP
33 インガ・ジャヌレヴィシウテ
(Inga JANULEVICIUTE ) リトアニア 36.79 SP
34 パドリツィア・グレシュチッチ
(Patricia GLESCIC ) スロベニア 36.66 SP
35 アリーナ・ヒョードロワ
(Alina FJODOROVA ) ラトビア 36.44 SP
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