雨の記号(rain symbol)

第65回NHK杯(久保九段VS千田五段)戦から

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 第65回NHK杯、準決勝第二局は久保九段と千田五段の間で指された。
 今回のNHK杯は若手の活躍が目立つ。準決勝第一局を勝ちあがった村山慈明七段は現在B級1組に在位。竜王を長く務めた渡辺明と同い年。年下で売り出し中の広瀬八段との戦いを制して決勝に勝ち上がった。攻守自在の指し回しの渋い将棋はさらに磨きがかかってきている。

 久保九段との準決勝まで駒を進めてきた千田五段は、鬼の潜むC級1組で昇級争いを演じている。強豪久保九段を破って若手同士の決勝戦に持っていけるかどうかが今日の見どころである。
 五筋のゴキゲン中飛車から相手の出方を窺いながら、高美濃囲いを完成させ桂馬を飛んで攻勢に出る久保九段。
 千田五段は玉を深く穴倉に収めて反撃の機会を窺う。
 久保九段は角を目標に二5桂とはねだす。当たりから逃げて四4と歩頭に顔を出した角を目標に銀を繰り出していく。銀と角の交換に成功した久保九段は、桂頭に歩を打たれた瞬間、一3に歩を叩き桂馬同士の交換をすませる。
 ここで手番を握った久保九段だったが、上手い攻め筋が見つからなかったようで飛車を六8に回る。
 山崎八段の解説によるとこれは攻めの準備というより、自陣を整備した手とのこと。五5に桂馬を打たれ、角筋を止められながら六7への成りを見せられるのが嫌味と映ったのかもしれない。
 このへんのやりとりは後で話にも出ていった。このあたりでは両者とも多様の変化を読みあったみたいだ。水面下では遠い戦場での攻防も錯綜したようで非常に興味深かった。
 久保九段は息の長い戦いを潔しとせず、それを受けて千田五段も一直線の戦いに呼応したのだ。
 強気の攻めが鋭い反撃を呼び、鋭い反撃が強気の受けと攻めを呼んで玉頭戦の激しい戦いになった。
 このあたり両者が一手指すごとに指した方が有利に感じられるような山崎八段の名(迷?)解説が入りだし、戦いは混沌の様相を呈してきた。山崎八段の推奨手でない手を千田五段が続け、劣勢と見られた久保九段に一3香成りが実現した。二枚の香と飛車が俄然威力を発揮しだしたように見える。
「これで久保九段にも楽しみが出てきました」
 と山崎八段が解説した先を見据えて、千田五段はピシッと一6に歩を打つ。香の頭だ。一転、山崎八段はうなった。
 清水市代女流六段は山崎八段を見て「その心は?」の表情。
「この手はですね…」
 山崎八段は駒を動かして解説する。二5桂打ちの王手飛車取りまですいすい駒のやりとりが進められた。
 千田八段はまたも山崎八段が解説したようには手を進めず、しかし確実に久保九段の王を追い詰めた。
 山崎八段の岡目十段の解説も楽しかったが、対局者はもっと深く鋭く読んでるというのを実感できた日となった。
 いや~、この日の将棋はほんとに面白かった。
 千田五段はコンピューター将棋の観察に熱心と聞くが、そのせいかコンピューターのように冷静な手を打つ棋士だと感じた。山崎八段の熱っぽい解説のおかげもあるかもしれないが…。



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