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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「アイリス」最終話 後半感想

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反乱組織「IRIS――アイリス」の頭脳

 大統領が記者会見場に現れた時、民主主義国家の知性と理性であるはずのチェ・スンヒ(ヒロイン)の心にも、大統領に向けて銃の照準を合わせ、復讐の炎が一瞬ながらメラメラと燃え上がった。気持ちが微妙に揺れた後、彼女は結局アイリスの狙撃手を撃ったのだったが、胸底で眠る怨念や憎悪は常に人の理性や良心を脅かす大いなる不安定要素であるということだ。
 今回の場面でもっとも印象的な場面は、ヒョンジュンとサウの人質解放交渉で、すべてそちらの条件を呑むから女と子供を解放してくれ、とヒョンジュンが要求を出したのに対し、指揮権を持っているはずのサウがそれを了承し女子らを解放しようとしたところ、配下がそれに従わず、交渉が決裂して銃撃戦になったことだ。しかし、このことによってサウはアイリスの呪縛の外へ出ることはできた。時すでに遅しの感はあったけれど・・・。
 韓国ドラマは中心的役割の人物には必ずふさわしい花道が用意される。サウは最後の最後で共通の敵を相手にヒョンジュンと共に戦うことが出来たのだった。
 ここまできてもまだ「IRIS――アイリス」という組織のイメージはこれといった像を結んでこない。今回の作戦で傭兵を登場させ、世界的なネットワークを持つ組織であるのはわかったが、ここであいまい性も深まった。
 アイリスの配下としてペク・サンの取った行動は忠誠心に溢れていたが、彼から指揮権を譲り受けたサウの絶対的(?)命令に傭兵らは従わなかった。
 世界の戦地を潜り抜けてきた傭兵たちを送り込んできた時点で、作戦行動の指揮権はペク・サンラインと傭兵ラインとに分かれていたことになる。それはいずれもミスター・ブラックからふた系統で発動されていた。こういうマキャベリズムが平然とまかり通る組織では、末端辺りでは疑心暗鬼に包まれているのが普通だろうが、ペク・サン、スジン、ビックらからその片鱗すら読み取ることはできなかった。洗脳と言ってしまえばそれまでだが、ひたすら目的遂行に励む一貫性しか感じられなかった。
 
 ここまで書いてきて、ひとつたどり着いた。反乱組織「IRIS――アイリス」の頭脳にはたして人としての赤い血は流れているだろうか、という疑問である。
 近頃は人類対進化したコンピュータの戦いがよく映画になったりしているが、あそこに出てくるホストコンピュータが「IRIS――アイリス」の実体と類似しているような気がしてくる。

 ヒョンジュンの活躍でアイリスの陰謀はひとまず一蹴された。
 人類を敵にする進化型コンピュータなら間違いなくヒョンジュンの遺伝子を絶つことから戦いを開始するだろう。ヒョンジュンの有能な二世が五人も世に出てこられては謀略がやりにくくなるから、と。
 ヒョンジュンを撃ったことでアイリスの陰謀は進行形で続いている。がん細胞に似た「IRIS――アイリス」との戦いは終わりがないようである。
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