
★脱原発北信濃ネットワークの解散
僕が原発問題に興味を持ったのは、86年4月のチェルノブイリ原発事故。79年のスリーマイル島原発事故の当時は、高校生だったし、少なくとも放射性物質が広範囲に拡散するような事故ではなかったから、記憶そのものがない

チェルノブイリは、文字通りの核爆発。これを機に全国で反原発運動が燎原の火の如く広がっていく。その中で、運動の中核にいたのが故・高木仁三郎氏と作家の広瀬隆氏。広瀬氏の講演録を基にした『危険な話』は、ベストセラーに

明日にも大事故が起きる。首筋にナイフを突きつけられるような記述に背筋が寒くなって、広瀬氏が、88年の10月に長野市市民会館に講演にやってきた時は、仕事を大急ぎで切り上げ、会場に向かった

予定時刻を大幅に超過し、3時間にも及んだその講演の内容にただ呆然として、講演終了後、広瀬氏の本を買い漁った。それから23年・・・。

その講演会の実行委員会が「脱原発北信濃ネットワーク」と名前を変え、長野県の北信地域の脱原発運動の“核”となって活動を続けてきた。そのネットワークが、家族の介護や、高齢化などを理由に解消。その活動停止を伝える“山国の反原発だより”最終号を、今日の市民集会「脱原発2011in信州」の会場で手にした。
★旧態依然の組織動員
長野市内で開催される脱原発の集会は、ネットワークや原水禁が中心となった実行委員会の主催で毎年行われていたらしい。僕が参加したのは、広瀬氏の講演会を除けば、90年代末の伴 英幸氏(原子力情報資料室)と、去年11月の西尾 獏氏(同)の話を聞きに行っただけだ。
集会の感想は、「コアな市民と労組の動員で広がりがないなぁ」というものだった。原発立地と無縁で、関心の薄い長野県では、“普通の市民”が振り向くようには思えず、集会の雰囲気にも馴染めない、と参加した日のブログには書いた覚えがある

3.11という転換点を経ての今日の集会には、70人ほどが集まった。前回が30人前後だったから、倍以上。とは言っても、新聞の小さな告知だけで明らかに宣伝不足。正直な話、ちゃんと告知をすれば、会場を埋めるだけの参加者は集められたはず。運動のスタイルが、旧態依然。やっぱり旧来の運動の枠組みが制度疲労を起こしてるって感じは否めない


★河田昌東氏は語る
講師を務めるのは、NPO法人チェルノブイリ救援・中部の河田昌東氏。3.11以降、ネット動画にはしばしば登場してたし、チェルノブイリの土壌浄化にかかわってる人だってことくらいは僕も知ってはいる。
ただ、一般的には、ほとんど無名

おそらく、広瀬隆氏なら、地震列島でいつ大地震、大津波が起きて、破局的事態が起きるってことを、一方的に喋り尽くすだろう。
武田邦彦氏ならば、どこで仕入れたか分からないような情報や数値を得意の弁舌を使って煽り続けるだろう。

原発反対という立ち位置で言えば、河田氏も、今挙げた2人とそう変わりはしない。放射能の瓦礫は福島に封じ込めるべきと語っていたし、ICRPは内部被爆を無視してるという主張は、織り込まれていた。だけれども、除染の必要性や、その限界を丁寧に説明。
野菜や果物によっては、福島県産のものでも、十分安全と話していた。少なくとも、広瀬氏や武田氏、あるいは小出裕章氏よりは、賛同できると、僕には感じられた。
★これから行われる脱原発イベント
会場では、これから行われる講演会やシンポジウムなど数多くのチラシが用意されていた。簡単に紹介したい。
・緊急映画上映会「100000年後の安全」、10月18日(火)塩尻レザンホール PM6:00開場、6:30上映(500円)
・「六ヶ所村ラプソディ」上映会、10月22日(土)安曇野市穂高交流学習センター「みらい」10:00~、14:00~ 大人前売800円(当日1000円)以下略・・・
・講演 小出裕章氏「未来のために!福島原発事故が教える現実」11月6日(日)10:00~ 長野大学 500円
・広瀬隆さん講演会+武本和幸氏「原発と放射能ホントウの話」神宮寺アバロホール(松本市浅間温泉)11月19日(土)13:30~17:00 1000円
・基調講演:安斎育郎氏 パネルディスカッション:安斎氏、菅谷松本市長、中馬清福氏(信濃毎日新聞主筆)「おびやかされるいのち 平和に生きる・・・を考えるシンポジウム」11月27日(日)松本文化会館大ホール 12:30~16:00 一般1000円、以下略。
