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【社説】原発捨てた台湾が背負う重い課題 byWSJ日本語版より転載

2014-05-08 06:05:53 | (英氏)原発・エネルギー問題

【社説】原発捨てた台湾が背負う重い課題

 

 

[image] Agence France-Presse/Getty Images

鉄道駅のデモ隊を排除する警官(4月28日、台北)

 福島の原子力発電所事故から3年、東アジアにおける原子力の将来がみえてきた。どこでも有権者はその安全性に神経をとがらせているが、日本と韓国は原発への投資を続けている。例外は台湾だ。原発を放棄することにより、経済・戦略的なぜい弱さがたちまち増幅する可能性がある。

 

 大規模なデモと72歳の元野党主席によるハンガーストライキを受け、台湾政府は先週、台北から20マイル(約32キロ)に位置する原発の建設を停止した。30年前から建設しているこの原発は90%以上が完成しているが、台湾は環太平洋の地震地帯にあるため地震に脆弱だ、と反対派は訴えている。

 

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 台湾にある3基の原発は長年安全に運転されてきたが、原発反対派は、これらを建設したのが海外企業だと指摘する。議論の的になっている第4原発は、公営の台湾電力公司が建設を進めてきた。

 

 馬英九総統は原子力を支持しているが、力を失っている。支持率は10%前後で、肝いりだった「サービス貿易協定」は、学生中心のデモ隊が立法府を占拠したことで頓挫した。11月に重要な地方選を控えていることから、馬氏には反原発の動きを無視する余裕がない。

 

 馬氏は、住民投票の形でこの問題を有権者の判断に委ねたいところだろうが、投票の規則について野党からの合意が得られていない。野党は今のところ、一段の抗議活動を表明している。第4原発の撤回のほか既存の3基を前倒しで閉鎖することを求めるものだ。

 

 台湾電力公司は、90億米ドル(約9100億円)以上を費やした第4原発が運転されなければ破綻すると訴えている。この原発は台湾の電力の最大10%を賄う予定だった。原発は台湾の電力源の18%を占めている。

 

 政府の試算では、原発が4基とも運転されなくなれば、石炭、天然ガス、石油の輸入が増え、電力料金が40%上昇する。太陽光や風力など再生可能エネルギーが電力全体に占める割合は2%に満たず、ほとんど助けになりそうにない。

 

 脱原発した台湾はまた、中国の高圧的な措置(戦争になった場合の封鎖や台湾への石炭輸出禁止など)に耐える力も衰えることになる。この島が現在持つ戦略エネルギー備蓄は約2週間分だ。

 

 台湾の一般市民が原発を避けようとする動きは、2011年に悲惨な経験をした日本よりもずっと強いようだ。日本政府は福島原発事故への当初対応として、国内原子炉50基の運転を停止。デモを受け、事故前に30%を占めていた原発からの脱却を打ち出した。

 

 しかし、原発抜きの最初の2年で燃料輸入額が9兆2000億円増えたことから、日本政府は考えを変えた。12年以来、有権者は原発閉鎖を繰り返し拒否してきた。政府は現在、独立性を増したとされる新たな原子力規制当局からゴーサインが得られ次第、休眠中の原子炉の一部を再稼働させる計画だ。

 

 一方、韓国は1月に新たな原子炉2基の建設を承認した。福島の事故後では初めてだ。部品の性能証明書偽造をめぐり昨年運転を停止していた3基も運転を再開した。韓国政府は電力に占める原子力の割合を、現在の約33%から35年までに45%に引き上げる方針だ。

 

 これは福島事故前に目標としていた59%より低いとはいえ、そのためには原発の能力を現在の2倍に増強し、向こう20年で原子炉16基を新設する必要がある。韓国の原発支持率が福島事故前の水準(70%超)に戻れば、電力の半分以上を原発で担うという韓国政府の壮大な計画も復活するかもしれない。

 

 それらすべてが台湾の経済競争力と政治の両方が直面する課題となる。日韓両政府は規制面の改革と均衡したエネルギー構成を追求しているが、台湾政府はますます過激化するストリートポリティクスと脱原発に向かって動いている。これは、どんな国にとってもリスキーな領域だ。中国の影に縛られている場合は言うまでもない。

 
 

 


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