ホースセラピーのある
デイサービスに通っている。
一年生の頃は近づくことも
怖くて出来なかったのに
二年生の終わりごろ
なぜか急に触れるようになった。
そこから
みるみる距離が縮まり
今では乗ることも走ることもできる。
お気に入りのお馬さんがいるからだ。
名前は『ラブちゃん』
なぜかRさんは
ラブちゃんに特別な想いを寄せている。
お馬さんにあげるニンジンの数は決まっているのに
ラブちゃんにはこっそり
持っているものを全部あげているらしい。
ホースセラピーのある
デイサービスに通っている。
一年生の頃は近づくことも
怖くて出来なかったのに
二年生の終わりごろ
なぜか急に触れるようになった。
そこから
みるみる距離が縮まり
今では乗ることも走ることもできる。
お気に入りのお馬さんがいるからだ。
名前は『ラブちゃん』
なぜかRさんは
ラブちゃんに特別な想いを寄せている。
お馬さんにあげるニンジンの数は決まっているのに
ラブちゃんにはこっそり
持っているものを全部あげているらしい。
我が家でホームカラオケが流行っていた。
大好物のRさんは
永遠にマイクを離さない。
得意の
髭男『Pretender』では
「…こと〜を〜知った〜♪」の
た~♪の部分は
あえて音を入れず
吐息だけで
フェードアウトさせていくあたりは
プロも顔負けのテクニックである。
サビに入ってくると気持ちもMAXで
盛り上がりすぎて
音程など完全になくなっているが
最後まで感情のままに
歌い上げるその姿に
いつも私は
笑いと、愛おしさと、少しの感動を
おぼえるのである。
家に帰ったら
テレビでYouTubeばかり観ている。
とにかく同じのばかりを観るので
一緒にいる私たちは
たまったものじゃない。
マネするのも大好きで
だんだんとYouTuberの口調になってる。
Rさんに気に入られたチャンネルのYouTuberは
かなりラッキーだと心から思う。
こんにゃくゼリーが好きで
いつも小さいパックの
プルンとゼリーを喜んで食べていた。
あるとき、パパが
元祖とも言えるハート形の
〇ン〇ンライフのこんにゃくゼリーを買ってきた。
何人も犠牲者が出ていることを知っていたし
小さいうちは与えていなかったが
小学生になったことだし
私が付いて食べさせれば大丈夫かと思い
「このゼリーはよくカミカミしてゴックンしないとだめよ」
と言いながら、注意深く少量を与えたはずなのに
「・・・・!!!」
へんな呼吸をして目を丸くし、私のほうを見たと思ったら
みるみる顔が青ざめていって
苦しみだした。
私の方も真っ青になって
「ゼリーが詰まったーーーーーっ!!」
と大声で叫び、パパが背中をたたいたり、指を入れようとしたり
「掃除機もってきてっ!!」と言われたので
大急ぎで掃除機を引っ張り出しながら
・・・もう終わった。
今から救急車を呼んでも間に合わないし
…人ってこんな簡単に死ぬんだ。
…私の不注意でRさんの人生は
…こんなに短いまま終わってしまうんだ。
目の前で、死に向かおうとしているRさんを見て
本当に今までの出来事が走馬灯のように心によぎった。
そんな思いで掃除機のコンセントをさしていると
パパが
「でたっっっ!!!」
と叫んだ。
急いで近寄ると、Rさんの顔色に少しずつ赤みが戻り
命が蘇ったことをうかがわせた。
この一件は
私の人生の中で最も恐怖な出来事で
二度と味わいたくない体験である。
のちに、看護師である
義理の姉に対処法を教わった。
もっと早く知っておくべきだったなぁ。
何事もなく
一日が終えられるのは
ある意味 奇跡だとすら今は思える。
おにぎりと言えば
「さけおにぎり」
寝ても覚めても
朝ごはんは
「さけおにぎり」
コンビニでもスーパーでも
買い物をすれば
「さけおにぎり」
おにぎりは
断固として「さけおにぎり」しか
選ばない男である。
擦りむいたひざの傷に絆創膏を貼って
パジャマに着替えたあと
なぜか「靴下を履きたい」という。
以前パパが、かかとをケガして
ギプスや包帯を巻いていたのに憧れたのか
靴下を履いて安心するのである。
体育で
100m走のタイムを測る時
がんばって走ったら
転んでヒザとひじを擦りむいたらしい。
家に帰って
それまで元気だったのに
お風呂の時間になると急に
痛いから入れない〜っ
と泣きの芝居が始まった。
確かに汁が出て痛そうではあるが
旦那がシャワーで流してくれたので
痛い痛いと大騒ぎしながらも
何とかお風呂を終えて絆創膏を替えた。
すると
以前、パパが骨を折った時に
使っていた杖を持ち出してきた。
いやいや普通に歩けてたじゃん⁈
いま杖を取りに行くとき
むしろ走ってたじゃん⁈
杖にぜんぜん体重かかってないし
その片足ケンケン
「カーモンベイビー」って踊ってるようにしか
見えないんだけど。
小さなケガでも
大げさに装いたい年頃である。
なぜか急に
頭頂部の髪の毛を
クルクルネジネジ回すのが
くせになって
気づいたらいつも
テッペンにアンテナが
立っているようになった。
はじめは面白くて
いっぱい写真も撮ったけど
クルクルしすぎて
ねじった場所が
ごっそり抜けてしまった。
もちろんそこには
ハゲができてしまい
これはヤバい!
やめさせようと
思ったけれど
簡単にはやめられない。
仕方ないから、髪を短く切ることにした。
それ以来、手持ち無沙汰になって
髪の毛をクルクルする代わりに
今は巾着袋のヒモを
クルクルと回している。
パパが骨折して
杖を購入した。(自立タイプ)
学校から帰り
杖を見つけたRさんは
大真面目な顔で杖に一礼したかと思うと
前に立っていきなり
『えっと、今日は今から運動会を始めます』
とあいさつ。
スタンドマイクかよっ!!!
寒い冬はいつも入浴剤を入れる。
普段は、袋に一包ずつ入ったタイプのを使っていて
どの香りにするか、誰が入れるかで
いつもケンカになるのだが
主人が安くなっていたからと
缶に入った昔ながらの入浴剤を買ってきた。
さあ、もうここで想像がおつきでしょう…。
嬉しそうにそれを抱えて
一番にお風呂に入ったわけですよ、Rさんが。
・・・はい、全部入れちゃいましたー。
一カ月分を一回で全部使っちゃいましたー。
お湯は真っ白になって泡立ち
部屋中に匂いが充満してきて
ただならぬことに兄は面白がって
すぐに湯船に飛び込んだ。
「わーっ めっちゃヌルヌルーっ!!!」
私もそのあとに入ったのだが
ヌルヌルすぎて、湯船の中に座っているのが困難なのだ。
おぼれてまうわっ!!!
ある意味、貴重な体験で
少し楽しかったんだけどね。
いつからだったかは思い出せない。
小学校に上がる前だったような…。
Rさんがこのフレーズを歌い出したのは…。
『あんぽこちーんの あんぽこちゃん♪
あんぽこちーんの あんぽこくん♪』
ニコニコと首を左右に振りながら。
なんなんだろ。
まったくわからん。
私はなぜかこれを
いつか、、、のための合言葉に
使おうと決めている。
どんな時に???
どんなシュチュエーションで?!
よくわからん。
だけど、
「あんぽこちーん」ときたら
「あんぽこちゃーん」と返して
あーっ Rさんとママだねーって
わかったらいいな。
ときに甲斐甲斐しく
『ママ大好き❤
かわいい〜♡
食べちゃいたい❤️』
と猫なで声で言ってくる。
そのあとに
『包丁で切ってぇー、
鍋にいれてぇー…。』
…何とも残酷で恐ろしいのである。
からあげ好きのRさん。
でも白ごはんはもっと好き。
からあげ一個で
ご飯大盛り平らげる。
焼肉なら
一枚どころか半分で
白めし一膳なくなります。
お店ではいつもおかわり。
白めしだけは
食いしん坊の小杉にも負けないほどの食べっぷり。
Rさんのひいおばあちゃんが亡くなり
四十九日まで毎週お坊さんが
お寺でお経をあげてくれるとの事で
主人と次男と出かけて行った。
お寺での法要のあと、今は誰も住んでいない
じいちゃんばあちゃんの家に
みんなで寄ったのだが
大体にトイレに行くのが嫌いで
特に寒いときは
行きたがらないRさんは
案の定、そこでお漏らしをしてしまい
主人の車で行っていたので
着替えも持ってない。
Rさんは
バスタオルを巻いて帰ってきた。
えっ?
まさかノーパン?!
と思いきや…。
その下には
大きすぎて今にもずり落ちそうな
まぶしすぎるほど真っ白なブリーフ。
そして足にはダボダボのピンク色の大きな靴下。
パンツはひいじいちゃん
靴下はひいばあちゃんのものを
借りて帰ったらしい。
恐るべし、Rさん!!
以前、兄さんたちが言っているのを聞いていて
もちろん本家など知らないけど
ジュースを飲むたびにこう言うようになった。
『ギンギンに冷えてあがる!』