そんな本だった。

ほぼ、角野栄子の自伝のような内容だと思う。
「ここではない どこか別の場所」を、探し続ける人である。
私も、日本海の海辺で育ち、いくつぐらいのころからだろう。
「いつか、海のむこうに行ってみたい」と思って、いつも海を眺めていた。
ここではない、どこかに、海のむこうに、いつか、いくのだと思っていた。
ある時、台所に立っている母に「海のむこうにどんな国があるの?」と問うた。
母は、「みんなが平等で自由な国があるらしいわ」と言った。
あの頃の時代は、普通の庶民でも、あのスターリンのソ連を、そのように思っていたのだろうか。
そして、私が高校3年生ぐらいになると、70年代の学生運動がますます激しくなり、札幌の私の回りも、そんな空気が満ちていた。
角野栄子が、戦後の歌声喫茶での熱気に、「あそこは奇妙な力が支配していた」と記している。(p.243)
それが、よく分かる。
あの時代も、同じように、頭の先から、足の先まで、なにか奇妙な力が、支配しようとしていた。
私は、頭の先から、足の先まで、埋まっていたその場から、ようやく抜け出して、なにやら息もできなくなりそうなほどの濃い熱気ではなく、知らない国の知らない風景を見に出掛けることの方が、きっと楽しいと思った。
「ここではない どこか別の場所」
私の旅は、まだ続いている。
でも、なにか、少しだけ、分かってきたような気がする。
旅で、見て、感じて、出会って、知って、解ったことが、更に私の好奇心を増幅させてくれる。
「ここではない どこか別の場所」を探して、生き続けていることが。
知らないことを、知りたいという気持ちが、むくむく湧いてくるのだ。
きっと、死ぬまでかも知れない。
追記
からくさんのブログに大好きな曲がupされていた。
なんか、良いことがあったなぁと思った夜。
なんか、嬉しい。
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SCARBOROUGH FAIR - A TRADITIONAL FOLK SONG from England