
スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチは、ウクライナ出身で国立ベラルーシ大学卒のジャーナリスト。
著書は、あの有名な『チェルノブィリの祈りー未来の物語』を書いた人。他には『セカンドハンドの時代ー「赤い国」を生きた人びと』などがあり、2015年に、ノーベル文学賞を受賞。
『戦争は女の顔をしていない』は、当時女性ソ連兵として最前線で戦った人たちのインタビュー記事である。
当時はスターリン独裁で、ドイツ人の少年少女がヒトラーに心酔したように、彼女たちもスターリンに心酔し、国家のためと、自ら志願して兵士となる。
しかし当時の軍隊は男性優位社会である。
立場も、戦闘服も、なにもかも女性という視点はない。
そこで、男性と同じように銃を持ち匍匐前進し、ナチドイツ軍と戦うのである。
やはりスターリングラードの戦いはソ連軍にとっても壮絶で「水も土も真っ赤」だったと記されている。
愛国心から志願した彼女たちの不幸は、軍隊では「女になにができるか」と馬鹿にされ、ほんのわずか生き残って復員した彼女たちは娼婦のように言われ、祖国のために、スターリンの言葉を信じ、志願兵として最前線で戦ったことを、隠して生きる人生だったという。
戦争というものは、まさにそういうものなのだろう。
独ソ戦、特にスターリングラードの戦いを、ドイツ側と、ソ連側の両方の資料を読んでみて、本当にヒトラーとスターリンの野望の為に、どれほどの人間たちがその人生を無にしたことか、と思う。
基、日本もまったく同じである。
<追記>
ソ連に、死の女と言われた女性スナイパーがいた。
映画『ロシアン・スナイパー』予告編