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ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◇ ガーゼのマスク

私は、北海道の日本海沿岸で幼少期を過ごした。
家から小学校まで、30分以上、歩いたと思う。
当時は防寒具もさほど進歩していなくて、ウール地のオーバーを着ていれば上等。
親が、ゴム長に厚目の中敷きを入れて、更にストーブのそばで暖めてくれた。
その長靴を履いたと瞬間の暖かさは、今でも覚えている。
でも、学校への道中、爪先が痛いほどに、泣きたくなるほどに、冷たくなる。

睫毛がしばれて、まばたきもままならない。
何重にもしたガーゼのマスクで頬を覆っている。
呼吸する息で内側は湿っているけれど、外側の表面は凍っている。

横殴りの猛吹雪の日は、母が、子どもたちにマスクをさせたあとジョーゼットのスカーフで顔を覆ってから毛糸の帽子を被せ首筋には毛糸のマフラーを三重に巻き付けた。

通学してから、授業中に猛吹雪になるときがある。
廊下に釘にかけたる外套には、窓から吹き込んだ雪がのっかている。
袖を通すと、身体の芯までに冷気がつんざく。

それでも大急ぎで、帰り仕度をして校内でもあってもゴム長靴に履き替え、体育館に地域毎に並び、先生が引率して下校した。
それでも、猛吹雪の中で、しかも家のすぐそばで、方向を見失い行き倒れになり亡くなる子がいた。

家に帰ってくると、母親が洗面器にぬるま湯を用意し、そこに私の両手をそっと入れて温めくれた。
毛糸の手袋でも指先の感覚がなくなるほど冷えていて、急激に暖めることをしてはならないのだ。

朝から、猛吹雪の日は、ポイントポイントに三角の赤旗が立って、休校になった。


今さら、なんだけど、安倍が、あのガーゼマスクをしてTVの画像に写る度に、そんな大昔の私の子ども時の記憶を甦らせた。

これから、北海道は亜寒帯の厳冬の時季に入る。
今でも、毎年のように猛吹雪のなか、人が死ぬ。

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