黒猫チャペルのつぶやき

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海の男!①

2006年08月15日 | みのりのつぶやき-旅行
 8月5日から13日まで、四国、関西を旅した。私にとっては初めての、長期に渡る旅行であり、ホテルや民宿などに何泊もするのもやはり初めての体験であった。父殿母殿の趣味で、飛行機や鉄道を使った方が早いところを幾度も船に乗り、たっぷりと海の上の時間を過ごした。顛末を記す。

 5日夜19:30東京フェリーターミナルをオーシャン東九フェリーの船で出港。乗客の大半は車を伴っての乗船で、旅客だけで乗り込む物好きは稀である。二段ベッドのある個室をあてがわれ、居住環境は大変によろしい。荷物を部屋に置いて甲板に出てみる。海面が遥か下に見える。甲板の周囲の柵は結構間隔が広く、私などがうっかり歩いてバランスを崩すとたちまち転落しそうなので、父殿、母殿に代わる代わるしっかり抱かれて海原を眺める。

 風呂が空いている内にと、父殿に連れられ展望浴場に行く。服を脱いでいる内に出港になり、体を洗ってもらって浴槽につかると、もう窓の外の景色はどんどん動いている。幸い波もほとんどなく、水面を滑るように船は進んでいる。存分に眺めを楽しむ。

 入浴を終え、食事。この船はカジュアルフェリーと呼ばれる若い人向けの設備で、フォーマルなレストランなどはなく、自動販売機でカレーや、チャーハンや、麺類などのレトルト食品を買って電子レンジで温めて食べる。乗船時に購入用のプリペイドカードが支給され、まず十分な食事はできる。食品の中には握り鮨などというものもあり、みんな珍しがって食べている。私もハヤシライスなど取って貰っていただく。食後、また少し夜の海、遠くの陸の光や時折側を通る船の灯りなど眺め、母殿のベッドで眠った。

 翌朝結構早く目を覚ます。依然として波はさほどなく、船は静かに海の上を進んでいる。母殿はやや船酔い気味にて、父殿と一緒に、今度はチャーハンをいただいた。食欲は大いに盛んで、冷凍食品とは言えなかなか美味に感じられたっぷりと食べ、父殿の分がいくらも残らぬこととなった。最上層デッキにはカーペットを引いた広間があり、靴を脱いで寛げるスペースになっている。子供が幾人も、それぞれ親に伴われやってきて入り混じって遊んでいる。私も年長の子供たちに交えていただき、盛んに走り回ったり枕を積み上げたりして遊んだ。あっちゃん、ともちゃんという姉弟が特に私を可愛がってくれて、抱っこしていただいたり枕を積んでお城を作るのを手伝わせてくれたりした。

 13:30徳島港入港。南国の陽射しが強く照りつける。バスでJR駅に向かい、幾らか買い物などした後吉野川に沿って走る徳島線に乗り込む。車窓から見下ろす川は、かつてみたいずれの川よりも流れが澄んで、豊かである。時折小さな船を浮かべて、鮎か何か獲っている人の姿が見える。両岸は緑の濃い丘陵である。ゆったりした気分になれる風景であり、こんな場所で暮らしてみたい気がする。

 阿波池田駅で下車。この地のユースホステルに投宿する予定となっており、父殿が電話をかけると駅前まで車で迎えに来ていただけるとのことだった。待っていると一台の乗用車が止まり、降りてきたのは袈裟をきたお坊様であった。うかがってみると、ユースホステルと繋がった建物のお寺があり、住職は宿泊客の送迎を受け持っていただいているとの由。早速乗せていただき、深い水をたたえたダムの側を通り、急な坂道を登り宿にたどり着く。かなり広い座敷を私たち家族用に空けていただいていた。荷物を入れ、立派な不動明王像などを拝観し、庭先から吉野川や、剣山につながる山々の風景を眺める。お食事も、素朴な家庭風のもので、ご飯が格別おいしく感じられた。

 翌朝また住職(この度は平服。昨日は檀家回りの帰りだったそうだ。)に送っていただき、池田のバスターミナルに大きな荷物を預け、バスで観光に赴く。祖谷川の流れをさかのぼり、始めに訪れたのが大歩危峡である。道路側のドライブインから谷底に階段を下り、遊覧船に乗り込む。水がかなり深いのに、澄み切っていて底まで見通せる。いくらも魚が泳いでいるのが見える。日本にはこんなところもあるのかと、旅の感慨ひとしおである。船頭さん竿を操り器用に船の向きを操り、小さなエンジンで川を下りまたさかのぼり、周囲の風景について講釈をきかせてくれる。水面を覗き込み、幾度も落っこちそうになるのを父殿につかまえられ、川遊びを堪能する。

 続いてまたバスに乗り山を分け入り、たどり着いたのが有名なかずら橋である。平家落武者の郷とされる。バス停から渓谷への階段を下り、抱っこ紐でしっかりと母殿に抱かれ、切符を買って橋に至る。なるほど、話に聞くだけあって面白いもので、植物の蔓で編まれた橋の歩くところも、間隔がかなり開いていて遥か下の流れが見下ろせる。母殿途中で足がすくんでしまって立ち往生、やむなく途中で写真だけ撮って恐々元の側に戻る仕儀となった。近くの滝を見物し、滝の飛沫をあびる茶店で食事し、川原に下りてちょっと水に足をつけてみたりして遊ぶ。

 時間の関係で、次の目的地祖谷温泉まではタクシーを利用。土産もの屋さんの店先でタクシーを頼むと、身内らしい女性のマイクロバス運転手さんがが他のところに行く途中の別のお客さんを乗せたまま店先まで迎えにきてくれて、楽しく温泉までの山道を運んで下さった上、帰りの車の手配もしていただけた。温泉は、祖谷川の遥か高い断崖上に立つ一軒宿で、川原に近い源泉まで恐ろしく急勾配のケーブルカーで下る。しかもそのケーブルカーは特に運転士がおらず、乗客自身がエレベーターにでも乗るように運転操作をするというもの珍しい仕組みである。何百メートルだかを一気に下り、硫黄の香りの強い温泉を川の流れを眺めつつたっぷりと味わう。

 迎えにきていただいた別のタクシーの運転手さんのお世話になり、温泉の少し先にある小便小僧像など見物させてもらう。母殿は先ほどのかずら橋を渡れなかったのが嘘のように小便小僧とならんで崖に突き出た岩に登って写真など撮ってもらっている。大歩危の駅まで送り届けていただき、バスに乗り換え池田まで帰り、預けていた荷物を受け取って今度はJRで阿波路を後にし、一路高松へ。高松ではビジネスホテルに投宿し、夕食は近くのイタリアンレストランで結構なパスタやリゾットなどを賞味し、盛りだくさんで大満足の一日を終える。

 翌朝、港まで歩き、またここから船に乗るのである。目指すは瀬戸内海に浮かぶ小島、直島である。

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