まちかどBOOK研究所

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松浦武四郎  「蝦夷漫画」

2021-10-05 16:54:48 | アイヌ語
松浦武四郎 「蝦夷漫画」
次に松浦武四郎について書いていきます。
武四郎編の第一回は蝦夷漫画について取り上げます。
幕末の探検家松浦武四郎は1818(文政15)年の2月に三重県松坂市で生まれ、
その後1845(弘化2)、1846(弘化3)、1849(嘉永2)、1856(安政3)、1857(安政4)、1858(安政5)の6回ほど北海道を探査に訪れています。
そうした探査の結果生まれた紀行文のなかからいくつか紹介していきたいと思います。


武四郎が探検後に書いた紀行文では、安政期のものがまず知られていますが、
このうち、「蝦夷漫画」では、イナヲ、マウシ、ヒンネ、マチネ、ヤンカラブテ、ヤンカラブツテ、ウムサ、ヲンガミ、キナ、マレック、イタオマチプ、タンネプ、エモシホ、シトギ、ヌサシャン、ヌシヤサン、アシンペ、イオマンテ、ニカラ、トツプ、ラツプ、トツプラツフ、キタイ、チセ、プ、カモイ、カムイ、ヤアラ、ヤラ、メノコ、カムイチセ、ヘペレセツ、
ヘペレオイペップ、シャリキ、サラキ、キ、ムンシロ、ビヤバ、ムイ、シュウ、アママ、カンタツ、カンタチ、カムタチ、イヂリ、ワッカ、オマン、シラリ、キナ、イクハシ、イクバシ、ケマウントク、ウシハチ、カックミ、セカチ、カナチ、ヘカチ、チタラペ、イナウソ、アヤキナ、キナ、タカイシャラ、タカイサラ、トウキタイチャラ、トゥキ、シントコ、キサルシパッチ、
キラウシパッチ、エトウヌプ、タプカリ、リムセ、ウホホ、サルルンタフカリ、プタウンハチ、ユトネツフ、キサラウンハチ、ケマコルシントク、マサシントク、カンタチフタ、ニシユイ、ユタニ、カリバ、カー、トンクル、ネシコニカレフ、ネシコニカレップ、ムツクリ、エタシペ、
チレカレツ、チレッテクッタル、レックタル、トマ、アンラユロ、
アンラコロ、フレイフイケ、ヘカンペ、キナ、シンシツ、シンリツ、エナヲ、
チタラベ、アヤギナ、アヤキナ、コタンコロカムイ、カムイチカップ、ノボリ、カタキ、
カマカツヒ、カマカプ、アフンカ、アフンカニツ、ベカ、ペカウンニ、ヲサ、ウオサ、
アトスペラ、イシトムシビ、イシトムシプ、アツシ、アツトシカル、アツ、トシ、カル、
アトウスィ、アツ、ルシ、アツシカラペ、チミツフ、ホシイがあり、


それぞれ日本語では
イナヲはイナウのアイヌ語をこのように書き取ったもので幣束、
マウシは願う、
ヒンネはピンネをこのように書き取ったもので男あるいは雄、
マチネはマッネをこのように書き取ったもので女あるいはメス、
ヤンカラプテ・ヤンカッラブッテはイランカラㇷ゚テをこのように書き取ったもので、こんにちはの意味、ウムサは場所請負制下の蝦夷地における儀礼であったヲムシャをこのように書き取ったもの、
ヲンガミはオンカミをこのように書き取ったもので、拝礼の意味、詳しくはアイヌ男性の礼法のひとつで、ヲムシャの際に松前藩主や幕府の役人など、身分の高い人の前に出たときのものです。

また、アイヌの女性の礼法の一つを意味するアイヌ語にはライミックとウルルイエがあります。
キナは、アイヌ語で草の意味です。
マレックは川漁でアイヌ民族が用いる漁具のこと、イ
タオマチㇷ゚はアイヌ民族独特の外洋船で縄綴じ船あるいは板閉じ船の意味、
タンネプは太刀のアイヌ語で詳しくはアイヌ語で宝刀のことのタンネプイコㇿ、
エモシホはアイヌ語で短刀の意味、
シトギはアイヌ女性の代表的な装飾品で、玉を連ねた胸飾りのこと、
ヌサシャン・ヌサシヤンはヌササンをこのように書き取ったもので、祭壇のアイヌ語です。
詳しくは、家の入口の反対側にあった神窓の外につくられ、儀式などを行うためのもの、

アシンペはアイヌ語で賠償・罰金の意味、
イオマンテはアイヌ語でクマ送りの意味で、詳しくは人間の国に遊びにきた神を神の国に返す儀礼で、ヌササンを使用した重要な例送り儀礼の一つ、
ニカラはアイヌ語で、はしごの意味、
トップはアイヌ語で笹の意味、
ラップはアイヌ語で葉の意味、
キタイはアイヌ語で葺くの意味でここでは屋根の意味も持っています。

チセはアイヌ語で家の意味、
プはアイヌ語で倉庫の意味、
トツプラツフはアイヌ語でクマザサの意味、
カモイ・カムイはアイヌ語でクマ、
ヤアラはアイヌ語で木の皮の意味、
ヤラはエゾマツ・トドマツ・キワダ等のコルク質の厚い樹皮を意味するアイヌ語で、はぎとった樹皮の意味、
メノコはアイヌ語で女の子の意味、
カムイチセはアイヌ語でクマの檻の意味、
ヘペレセツはアイヌ語で子熊の檻の意味、
ヘペレオイペップはアイヌ語で子熊の食器の意味、
シャリキはアイヌ語で芦の意味で芦の幹のアイヌ語のサラキをこのように書き取ったもの、
キはアイヌ語でアシやカヤの幹のこと、
ムンシロはアイヌ語で栗の意味でムンチㇿをこのように書き取ったもの、
ビヤバはアイヌ語で粟の意味でピヤパをこのように書き取ったもの、
ムイはアイヌ語で箕の意味、
シュウはアイヌ語で鍋の意味でスをこのように書き取ったもの、
アママはアイヌ語で飯の意味で、アマムをこのように書き取ったもの、
カンタツはアイヌ語で糀の意味でカンタチあるいはカムタチをこのように書き取ったもの、
イヂリはアイヌ語で笊の意味、
ワッカは水のアイヌ語、
オマンは入れるのアイヌ語、
シラリは粕のアイヌ語、
キナはアイヌ語で蓆の意味、
イクバシはイクパスイをこのように書き取ったもので、儀礼用の道具の一つ、
ケマウントクはアイヌ語で行器の意味で、儀式用の道具の一つ、
ウシハチはアイヌ語で耳盥の意味で儀礼用の道具の一つ、
カックミはアイヌ語で柄杓の意味、
セカチ、カナチ、ヘカチはそれぞれアイヌ語で子供、女、子供の総称の意味、
チタラペはアイヌ語で文様を編み込んだ筵の意味でイナウソ、アヤキナと呼ぶこともある。
キナはアイヌ語で筵の意味、
タカイシャラ・タイチャラはアイヌ語で天目台の意味でタカイサラをこのように書き取ったものでこれも儀礼用の道具の一つ、
トゥキはアイヌ語で盃の意味、
シントコはアイヌ語で行器の意味、
キサルシパッチはアイヌ語で耳盥の意味でキサラウンハチをこのように書き取ったもので当時のアイヌ民族が使用していた漆器の一つ、
キラウシパッチはアイヌ語で角盥の意味でこれも漆器のひとつ、
エトウヌプはアイヌ語で女性が片口でもってお酒を飲むための道具の意味、
タプカリはアイヌ語で踊りの意味でリムセ・ウホホとも呼ぶこともあるものです。
サルルンタフカリはアイヌ語で鶴の舞の意味で、現在のウポポイのプログラム等でも見ることができます。

プタウンハチはプタウンパッチをこのように書き取ったもので、アイヌ語で蓋物の意味、
ユトネツフはエトウヌプあるいはエトンヌプ、エトヌプをこのように書き取ったものでアイヌ語で片口の意味、
キサラウンハチはキサラウシパッチをこのように書き取ったものでアイヌ語で耳盥の意味、
ケマコルシントクはケマコロシントコ・ケマコルシントコとも呼ばれ、アイヌ語で脚付き行器の意味、
マサシントクはアイヌ語で曲げ物の行器の意味、
ニシユイはニスをこのように書き取ったもので、アイヌ語で臼の意味、
ユタニはイユタニをこのように書き取ったもので、アイヌ語で杵の意味、
カリバはカリンパニあるいはアイヌ語で桜の皮の意味のカリンパをこのように書き取ったものでここではカリンパニの方にあたるアイヌ語で桜の意味となっています。
このカリバ・カリンパ・カリンパニと呼ばれる桜ないしは桜の皮は、アイヌ文化では狩猟用の弓などに用いられています。

カーはアイヌ語で五弦琴の意味で、トンコル・トンコリとも呼ばれています。イラクサの皮を使用し、主に樺太や宗谷のアイヌ民族が用いていたもので、現在もウポポイ内等でその演奏を身近に聞くことが可能です。
ネシコニカレフはネシコニカレップあるいはネシコニカリプをこのように書き取ったもので、アイヌ語でくるみの笛の意味でくるみの皮をむいて巻き上げたものです。クルミの木の皮をらせん状に巻き上げたもので、戦国時代に武田信玄などが軍事作戦の合図に多用していたほら貝と似た音が出るとされています。また、シベリアの諸民族や岩手県の一部でもこれがつくらていました。
ムツクリはムックリをこのように書き取ったもので、アイヌ語で口琴の意味です。主にクマザサなどでつくられていました。
イタシベはエタシペをこのように書き取ったものでアイヌ語でトドの意味です。
チレカレツはチレッテクッタル・レックタルをこのように書き取ったもので、アイヌ語でヨブスマソウの意味、
トマはアイヌ語でエゾエンゴサクの意味です。アイヌ民族はトマの根を食料として利用していました。アンラユロ・アンラユルはアイヌ語でクロユリの意味で、アンラコロをこのように書き取ったものです。アイヌ民族はこの鱗形を食料として利用していました。
フレイフイケはフレエフイ、あるいはフレエプイをこのように書き取ったもので、アイヌ語でかたくりの意味です。アイヌ民族はカタクリを、その根からでんぷんをとりだしてそれを粥に炊き込んで食べることに利用していました。
ヘカンベはペカンペをこのように書き取ったもので、アイヌ語で菱の意味です。アイヌ民族は、ゆでて乾燥したそれを炊き、また粥にして食べたりしていました。キナはアイヌ語で草の意味、シンシツはシンリツをこのように書き取ったもので、アイヌ語で根の意味、さらに樺太アイヌ語では四月の意味でもあります。

エナヲはエナオとも呼び、イナウをこのように書き取ったもので、アイヌ語で木幣の意味で、儀式時に神の世界と人間世界をつなぐ大切な存在となったものです。
コタンコロカムイ・カムイチカップはアイヌ語でシマフクロウの意味、
ノボリはヌプリをこのように書き取ったもので、アイヌ語で山の意味、
カタキは、オヒョウからとった糸を臍巻きにすること、カマカツヒはカマカプをこのように書き取ったもので、アツシ織をする際に織機の縦糸の上下を分離するための道具、
アフンカはアフンカニツをこのように書き取ったもので、横糸を通す道具、
ベカはペカウンニをこのように書き取ったもので、アツシ織機の上糸と下糸を分けているもの、
ヲサはウオサをこのように書き取ったもので、縦糸を整える道具、
アトスペラは横糸を打ち込むへらのこと、
イシトムシビはイシトムシプをこのように書き取ったもので、尻当てのこと、
アツトシカルはアイヌ語で木皮布を織ることあるいはアットウシを織ること、アツ、トシ、カルはそれぞれアイヌ語で集まるあるいは楡皮という意味、
トシは筋、カルは造るという意味で、
ルシはアイヌ語で衣服の意味、
アツシカラペはアイヌ語で織機の意味、
チミツフはアイヌ語で衣服の意味でルシとほぼ同義、
ホシイはホシピをこのように書き取ったもので、アイヌ語で帰る、戻るの意味です。

次回は松浦武四郎の知床紀行について書いていこうと思います。


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