第21代韓国総選挙は与党・共に民主党とその比例政党である共に市民党の記録的な圧勝で終わった。この政党が総選挙で過半数の議席を獲得したのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領に対する弾劾の逆風が激しく吹いた2004年の総選挙に続き2回目だ。共に民主党は選挙地盤である全羅道全地域をすべて掌握し、全国の議席の半数近くを占める首都圏を完全に席巻したと言える。
与党の圧勝には、総選挙のあらゆる争点をブラックホールのようにのみ込む新型コロナウイルス問題が助けとなった。国家的危機の局面では執権勢力の下で力を合わせなければならないという心理が働き、最近になって感染者が急増している欧米諸国との対比効果で得をした。新型コロナウイルス検診キットを早期に開発した民間業者と優秀で献身的な医療従事者たち、全国民が負担なく治療を受けられる健康保険システムの役割が大きかったが、これを調整・指揮した政府の功も大きい。それを国民が認めたのだ。
しかし、新型コロナウイルス効果だけで政権のこの記録的な大勝を説明することはできない。文在寅(ムン・ジェイン)政権が執権後半期に入った時点で行われた選挙で、このように大きな勝利を収めた根本的な原因は、野党の支離滅裂にある。わずか3年前に国民から「退出命令」を受けても、これといった思い切った努力もなく、あのころのあの姿のまま選挙に臨んだ野党に対する有権者の拒否反応がそのまま現政権への反射的利益となった。今、30-40代の多くの有権者は「文在寅政権もよくやったとは言えないが、(野党の)未来統合党はダメだ」と言っている。
今や共に民主党、共に市民党、正義党、開かれた民主党まで含めた汎与党政党は国会先進化法だけでなくすべての案件を単独処理できる180議席前後を占めることになった。汎与党政党が今回の総選挙の結果を自分たちに対する国民の絶対的信任だと解釈すれば、国政を一方的に勝手に処理できるという意味だ。しかも、現政権は政府、地方自治体、司法府に続き、立法府まで一手に掌握することになった。有権者たちが与党を圧勝させたとは言え、この絶対的な権力に不安を感じる国民も少なくない。
国民がこのようにある一面で不安を抱えているのは、圧勝した権力がこの3年間で見せてきた無能さと暴走ぶりのためだ。企業経営者たちの口から「これ以上、持ちこたえられない」という悲鳴が上がり、大統領の面前で自営業者は「景気がこじきのようだ」と嘆く。これに新型コロナウイルス問題まで追い打ちをかけて、これ以上経済がもつのかと多くの国民が心配している。だからこそ、今回の総選挙が「経済政策路線を転換しなければならない」という警鐘になると期待していたのも事実だ。もし、大統領と執権勢力が総選挙の勝利を、「今まで行ってきた政策に対し国民が認めてくれたものだ」と受け止めるなら、韓国経済は深刻な事態に陥るかもしれない。
新型コロナウイルスという霧に隠された蔚山市長選挙工作やチョ国(チョ・グク)問題のような違法事件も、総選挙で勝ったからと言って覆い隠そうとしてはならない。昨年末、国会で汎与党政党が野党の反対を押し切り推進した高位公職者犯罪捜査処(公捜処)新設により、尹錫悅(ユン・ソクヨル)検察チームが進めてきた捜査を阻もうとするなら、国民の分裂は再び深刻になるだろう。
力のない政権が表向きは強く出て、力がある政権が柔軟な場合もある。今回の選挙で、現政権は民主化以降、どの政権も持てなかった強大な権力を握ることになった。しばらくは対抗する野党もいない。2年後の大統領選挙でも大幅に有利な位置に立つことになった。ならば、このとてつもない力と余裕を国民のための政策転換に使ってほしい。経済は薄氷を踏むように危険な局面にあり、外交安保はどこにも助けを求められないほど孤独な状況にある。文在寅政権がこれまでの硬直した姿勢から抜け出し、柔軟な政策転換を試みるなら、国民からさらに大きな支持を得られるだろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
与党の圧勝には、総選挙のあらゆる争点をブラックホールのようにのみ込む新型コロナウイルス問題が助けとなった。国家的危機の局面では執権勢力の下で力を合わせなければならないという心理が働き、最近になって感染者が急増している欧米諸国との対比効果で得をした。新型コロナウイルス検診キットを早期に開発した民間業者と優秀で献身的な医療従事者たち、全国民が負担なく治療を受けられる健康保険システムの役割が大きかったが、これを調整・指揮した政府の功も大きい。それを国民が認めたのだ。
しかし、新型コロナウイルス効果だけで政権のこの記録的な大勝を説明することはできない。文在寅(ムン・ジェイン)政権が執権後半期に入った時点で行われた選挙で、このように大きな勝利を収めた根本的な原因は、野党の支離滅裂にある。わずか3年前に国民から「退出命令」を受けても、これといった思い切った努力もなく、あのころのあの姿のまま選挙に臨んだ野党に対する有権者の拒否反応がそのまま現政権への反射的利益となった。今、30-40代の多くの有権者は「文在寅政権もよくやったとは言えないが、(野党の)未来統合党はダメだ」と言っている。
今や共に民主党、共に市民党、正義党、開かれた民主党まで含めた汎与党政党は国会先進化法だけでなくすべての案件を単独処理できる180議席前後を占めることになった。汎与党政党が今回の総選挙の結果を自分たちに対する国民の絶対的信任だと解釈すれば、国政を一方的に勝手に処理できるという意味だ。しかも、現政権は政府、地方自治体、司法府に続き、立法府まで一手に掌握することになった。有権者たちが与党を圧勝させたとは言え、この絶対的な権力に不安を感じる国民も少なくない。
国民がこのようにある一面で不安を抱えているのは、圧勝した権力がこの3年間で見せてきた無能さと暴走ぶりのためだ。企業経営者たちの口から「これ以上、持ちこたえられない」という悲鳴が上がり、大統領の面前で自営業者は「景気がこじきのようだ」と嘆く。これに新型コロナウイルス問題まで追い打ちをかけて、これ以上経済がもつのかと多くの国民が心配している。だからこそ、今回の総選挙が「経済政策路線を転換しなければならない」という警鐘になると期待していたのも事実だ。もし、大統領と執権勢力が総選挙の勝利を、「今まで行ってきた政策に対し国民が認めてくれたものだ」と受け止めるなら、韓国経済は深刻な事態に陥るかもしれない。
新型コロナウイルスという霧に隠された蔚山市長選挙工作やチョ国(チョ・グク)問題のような違法事件も、総選挙で勝ったからと言って覆い隠そうとしてはならない。昨年末、国会で汎与党政党が野党の反対を押し切り推進した高位公職者犯罪捜査処(公捜処)新設により、尹錫悅(ユン・ソクヨル)検察チームが進めてきた捜査を阻もうとするなら、国民の分裂は再び深刻になるだろう。
力のない政権が表向きは強く出て、力がある政権が柔軟な場合もある。今回の選挙で、現政権は民主化以降、どの政権も持てなかった強大な権力を握ることになった。しばらくは対抗する野党もいない。2年後の大統領選挙でも大幅に有利な位置に立つことになった。ならば、このとてつもない力と余裕を国民のための政策転換に使ってほしい。経済は薄氷を踏むように危険な局面にあり、外交安保はどこにも助けを求められないほど孤独な状況にある。文在寅政権がこれまでの硬直した姿勢から抜け出し、柔軟な政策転換を試みるなら、国民からさらに大きな支持を得られるだろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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