「日本の敵」速報(海外の反応特化)+新型コロナウイルス関連海外の反応等

「日本の敵」&「新型コロナウイルス」に関する情報をまとめていきます

【#CNN.co.jp】新型コロナ封じ込め、独裁は民主主義にまさるのか

2020-03-27 02:49:41 | 海外の反応
(CNN) 各国の人々が感染拡大の封じ込めに苦慮する新型コロナウイルス。目下のパンデミック(世界的な大流行)がまるで新たな時代の出発点であるかのような様相を呈する中、政治の世界ではもう一つの戦いが繰り広げられている。つまり、問題解決に向けてより適合的に機能し、終息後に勝者として台頭するのはどの国の政治体制なのかという争いだ。

果たして今回のパンデミックが示すのは、独裁体制の優位だろうか? 片や民主主義はこの難局に対応できるのか? そうした問いの答えを中心に据えた組織的な言論活動が、現在ひそかに世界中へ浸透しつつある。足並みをそろえたこの取り組みの目的は、民主主義を劣ったシステムとして描き出すことにある。

こうしたプロパガンダによる戦いを仕掛けているのが中国だ。同国の指導部はパンデミックを利用して現政権の体制を擁護、宣伝し、危機が去った後の世界における地位向上を画策しているように思われる。

国際メディアの報道は米国による危機対応の問題点に関するものであふれているが、このような状況が中国政府のプロパガンダを勢いづかせている。米国が重大な誤りを数多く犯したことに疑問の余地はないものの、中国政府の管轄するメディアはそれについて実に詳細に論じる一方、複数の中国人ジャーナリストが謎の失踪を遂げたことには触れようとしない。これらの記者たちは、中国国内の状況について独自に取材しようとしたところ相次いで消息を絶った。

こみ上げてくる笑いをこらえつつ、中国政府がその機関紙の紙面で並べ立てるのは、米国による新型コロナ対策の失敗の数々にとどまらない。そこでは米国の政治システム自体をやり玉にあげ、国内に存在する人種差別と格差、政治的分断が当然の帰結として対策を妨げていると指摘する。

環球時報は「事実、米国のシステムは効率性において中国のシステムに遠く及ばない」と言い切る。

彼らはまた、この機に乗じて西側諸国も非難。恐るべき人権侵害の実態に対するこれまでの批判を軽んじる姿勢を示す。

キャンペーンを強化するべく、中国は感染が広がった国々へ支援物資を送り、その取り組みを大々的に宣伝している。高い国力を持ち、有効な政策を打ち出すことができ、しかも寛大にふるまえる超大国として印象付ける狙いがそこにある。中国が関係強化を図る国々は米国の同盟国だが、各国と米国政府との関係は現政権下で緊迫したものとなっているのが実情だ。

これまでのところ、民主主義を掲げる西側が新型コロナ対策に躍起になる中、中国政府はほぼ一人勝ちと言える状態にある。そこからさらに踏み込み、根拠のない主張を展開し、単純に他国とは一線を画す、より高いレベルでの疫病封じ込めに成功しているとアピールする。

やはり独裁国家はその性質上、パンデミックの際により的確な対応ができるということだろうか?

答えは単純にノーである。専制政治が厳格な措置を多くの国民に対してより容易に課すことができるのは間違いないが、開かれた社会の方が疫病の蔓延(まんえん)を予防しやすいということもまた否定し得ない事実だからだ。

武漢における初期の感染拡大の規模を隠蔽(いんぺい)することで、中国はその抑圧的な政策を実行に移す。実際この措置によって、新型コロナウイルスは1つの都市に根を張り、続いて省全体に定着した。そこからものすごい速さで感染を広げ、今や地球上のほぼすべての国で猛威を振るうまでになっている。すでに詳細が報じられた通り、中国の研究者らは武漢で未知の病原菌に感染した患者がいると警告を発していた。しかし当局はこれらの研究者を拘束し、非難を浴びせ、その口を封じたのだった。

中国の独立系メディアによると、新たなウイルスの存在を確認した研究所に対しては「検査を停止してサンプルを破棄し、情報を隠蔽するよう」命令が下ったという。一般に流れる情報は前向きな内容でなくてはならず、いかなるものであれ体制のイメージを損なう可能性のある情報は受け入れられないのだ。医師の李文亮氏は関連する情報を拡散しようとしたところ、うわさをまき散らしたとして拘束され、当該のウイルスによる感染症にかかって先月死亡した。

一方、米国でも、新型コロナ対策におけるもっとも重大な失策のいくつかが、文字通り独裁主義的な衝動の結果として生じたのは偶然ではない。そこでは事実の封殺や情報の操作が行われていた。トランプ大統領が数カ月を費やし、米国民に対して心配いらないと言い続けていた時、同氏はウイルスが国民の間に自由に広まるのをほとんど黙認していたも同然だった。それが危機をより深刻なものにしたのだ。天然痘の根絶に貢献した疫学者のラリー・ブリリアント氏は、トランプ氏の虚偽の発言について「選挙で選ばれた役職者のものとしては、これまでの人生で目にした中で最も無責任な振る舞い」と批判した。

つまり、民主主義の下ではパンデミックが防げないということなのだろうか? もちろんそうではない。民主主義には有能で信頼できる指導者が必要だという話だ。

とはいえ、ひとたびパンデミックが起これば、独裁者の方が容易に厳格な対策を施行できるのは事実だ。今回の危機を認識した中国は、高圧的なキャンペーンを立ち上げて隔離や移動制限を行った。一部の住民は隔離センターへの収容を強いられたほか、当局による威圧的な対応に関する報道もあった。

こうした手法は功を奏したようだ。中国政府によれば国内での新たな感染者は現時点でごくわずかな人数にまで減少した。

しかし民主主義陣営も同様に成功を収めている。韓国や台湾などでも感染者数は急速に低下したが、それを可能にしたのは世界的に認められた疫病抑止のための施策であり、人間の自由に対する苛烈(かれつ)な侵害行為ではなかった。それどころか経済活動においてすら、極端な縮小は行われなかったのである。

感染が拡大する中、人権に種々の制限をかけざるを得ない現状は、開かれた社会にとって胸を締め付けんばかりのジレンマを生み出している。独裁国家がこうしたジレンマに直面することはない。

公共の利益と個人の自由のバランスをいかにとるかは、民主主義社会が常に抱える問題だ。パンデミックの最中は、公共の利益の比重がはるかに高まる。こうした状況にあっては、政府当局もより積極的な役割を果たすことが求められる。専制政治の場合、独裁者はここぞとばかりに人々への締め付けを強化する。民主主義国家においてはそこに軋轢(あつれき)や不安が生まれ、自由と民主主義を守ろうとする反発が起こる。

よい例がイスラエルだ。同国の政府は他に先んじて新型コロナの対策を打ち出した国のひとつだ。今や世界中で共通の措置となった感染率の高い国への渡航禁止や国外からの旅行客の隔離などを早々と実施していた。しかしネタニヤフ首相については、ただ国民を守るために行動しているとの本人の主張とは裏腹に、批判の声が浴びせられる事態となっている。危機的状況を利用して汚職疑惑からの保身を図り、イスラエルの民主主義を危険にさらしているというのがその理由だ。

民主主義国が抱える課題は、自分たちの価値観を守りながらパンデミックと闘わなくてはならないという点にある。各国はボトムアップの意思決定方式によって社会的な制約を実行しようとしている。望ましいのは、国民がリスクを理解したうえで制約に応じてくれるという流れだ。悪意ある執行機関が否応なしに制限を押し付けるのでは意味がない。

以上の理由から、行政の当局者は問題に関する事実を率直かつ明瞭に伝えなくてはならない。実態を取りつくろって見せたり、矛盾するメッセージを送ったりするのは禁物だ。それを守ってはじめて国民は政府を信用し、専門家のアドバイスに従うようになるのである。これ以外に民主主義の政治システムが機能する方法はない。これ以外のやり方で臨めば、独裁国家がそうであるように、あらゆる規制は抑圧的にならざるを得ないだろう。

独裁者たちが世界の人々に求めるのは、新型コロナウイルスの問題が専制政治の優位性を証明しているという認識だ。独裁体制こそがより優れた、未来のシステムなのだと思わせたいのである。こうしたいかにも無理のある主張には全力で反論させてもらう。国民の健康を守るのに独裁は必要ない。

パンデミックに対して効果的に立ち向かうため、民主主義国は民主主義国らしく振る舞わねばならない。開放性と誠実さが重要だ。結局のところウイルスとの闘いとは、国民による、国民のための闘いに他ならないのである。



著者のフリーダ・ギティス氏は世界情勢を扱うコラムニストです。CNNのほか、米紙ワシントン・ポストやワールド・ポリティクス・レビューにも寄稿しています。記事における意見や見解は全てギティス氏個人のものです。


コメントを投稿