終盤の状況分析…政策対応に奔走
現場では文大統領と当選者の電話会談に神経を尖らせる
4年前は日本が早期の電話会談、会談まで
大統領選直後のカン・ギョンファ外相の訪米日程に注目
米国の第46代大統領選挙が翌日に迫り、韓国政府も緊張の手綱を引き締めている。まだ終盤の状況分析、シナリオ別点検をまとめている段階だが、勝敗の輪郭が明らかになった瞬間に、世界最強の大国である米国の次期大統領に対する世界各国の熾烈な外交戦の幕が切って落とされることになる。
2日、外交部内外ではバイデン前副大統領の当選の可能性が高いと見ている。だが、下手な予断は避ける雰囲気だった。ドナルド・トランプ大統領の追撃の勢いが明確な上、4年前の「シャイ・トランプ」有権者たちがもたらした大逆転を考慮して慎重を期しているようだ。4年前の2016年には外交部次官補主宰、北米局主管のタスクフォース(TF)がトランプ候補の勝利の可能性を予測したとして話題になっている。
今年も外交部は、8月から米大統領選挙に備えたタスクフォースを設置し、米大統領選挙の動向と選挙後の韓国政府の対応方針についての論議を本格化している。4年前より位置付けを高め、チェ・ジョンゴン第1次官が会議を主宰し、北米局、朝鮮半島平和交渉本部、両国経済外交局など、韓米関係に関連のある部署が広範に参加している。米国内の公館には大統領選挙担当官を置き、本部と画像でコミュニケーションを取っているという。誰が米国の次期大統領になるかによって朝鮮半島平和プロセスをはじめ、韓米戦時作戦権転換、防衛費分担特別協定などの大型の外交・安保懸案が影響を受けざるを得ないからだ。
最初のボタンをきちんとかけなければならず、スタートが肝心だとも言う。外交も同じだ。
米国の第46代大統領当選者との「最初のボタン」は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談となる。それに先立ち大統領は当選者に祝電を送り、政府は声明を発表するが、これは準備した通りに実行すればよいだけなので、注目度は高くない。各国が神経を尖らせているのは、当選者との電話会談のタイミングだ。よく知られているように、米大統領選挙は州ごとの集計によって当選者が決定され、最終の開票完了までには時間がかかる。そのため慣例上、選挙の大勢が判明すれば行われる「敗北宣言(concession speech)」を起点として、当選者に対する外交戦が始まる。
2016年11月、あらゆる予想を覆してトランプ大統領が当選した時、素早く動いたのは日本だった。安倍晋三前首相は、トランプ氏の当選が確定した翌日の10日午前7時55分から、約20分にわたってトランプ氏と電話会談を行った。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が電話会談を行ったのは、安倍前首相の2時間後の午前9時55分からで、通話時間は10分だった。当時、大統領府は、韓国大統領が米大統領当選者と最も早く電話会談を行ったと発表した。米CNN放送によると、その日、エジプト、オーストラリア、アイルランド、イスラエル、カナダ、メキシコ、サウジアラビア、トルコなどの首脳がトランプ氏と電話で会談したものの、順番は確認されていないとのことだった。別の外信は、エジプトのシシ大統領とオーストラリアのタンブール首相が、トランプ氏と最初に電話で会談した首脳だと報じた。
問題はその後だった。安倍前首相が1週間後の17日に米ニューヨークでトランプ氏と会うことを約束したことで、外交界隈は大騒ぎとなった。オバマ政権にとっては、当選者が就任するまでは米国の大統領は現職一人しかいないという、いわゆる「ワン・プレシデンシー・ルール(One Presidency Rule)」を無視した措置だった。その他の国の立場からすると、日本に先手を取られた格好だった。オバマ政権の反対にもかかわらず日本が協議を進めたことで、11月のAPEC首脳会議を目途に開催が論議されていた米日首脳会談は流れたことが分かった。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長も、任期を終えて帰国を控える中、トランプ氏との会談を模索していたものの、オバマ政権の反対により実現しなかったという。ある政府当局者は「今(担当局では)少なくとも日本よりは早く電話会談を行わなければならないという考えで進めているはず」と述べた。
当選者側との接触の第一線には在米韓国大使館がある。トランプ大統領が再選された場合は、既存の政府ラインを通じて協議が行われることになる。一方、バイデン前副大統領が当選した場合は、民主党の上下両院議員から補佐陣にいたるまで、あらゆるラインを使って接触を試みる予定という。選挙期間中、バイデン陣営は国外の関係者とは一切接触していないため、最初の「アウトリーチ」は民主党周辺の関係者をはじめ、韓国系の有権者団体などを通じて多方面から行われる見通しだ。
その次の段階で重要なことは、早ければ来週にも行われるカン・ギョンファ外交部長官の訪米だ。マイク・ポンペオ米国務長官の10月の訪韓が実現しなかったために決まったものだが、米大統領選挙直後という「微妙な時期」だけに、政府でもこれを活用する方策に苦心しているという。バイデン前副大統領が勝者になった場合、いかなる形であれ接触を試みるものとみられる。外交部当局者は「現職に非礼にならない程度に、民主党側関係者と懇談会などを通じて韓国政府の立場を伝え、コミュニケーションを取るきっかけを作ればよいだろう」と述べた。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/968220.html?_fr=st1
現場では文大統領と当選者の電話会談に神経を尖らせる
4年前は日本が早期の電話会談、会談まで
大統領選直後のカン・ギョンファ外相の訪米日程に注目
米国の第46代大統領選挙が翌日に迫り、韓国政府も緊張の手綱を引き締めている。まだ終盤の状況分析、シナリオ別点検をまとめている段階だが、勝敗の輪郭が明らかになった瞬間に、世界最強の大国である米国の次期大統領に対する世界各国の熾烈な外交戦の幕が切って落とされることになる。
2日、外交部内外ではバイデン前副大統領の当選の可能性が高いと見ている。だが、下手な予断は避ける雰囲気だった。ドナルド・トランプ大統領の追撃の勢いが明確な上、4年前の「シャイ・トランプ」有権者たちがもたらした大逆転を考慮して慎重を期しているようだ。4年前の2016年には外交部次官補主宰、北米局主管のタスクフォース(TF)がトランプ候補の勝利の可能性を予測したとして話題になっている。
今年も外交部は、8月から米大統領選挙に備えたタスクフォースを設置し、米大統領選挙の動向と選挙後の韓国政府の対応方針についての論議を本格化している。4年前より位置付けを高め、チェ・ジョンゴン第1次官が会議を主宰し、北米局、朝鮮半島平和交渉本部、両国経済外交局など、韓米関係に関連のある部署が広範に参加している。米国内の公館には大統領選挙担当官を置き、本部と画像でコミュニケーションを取っているという。誰が米国の次期大統領になるかによって朝鮮半島平和プロセスをはじめ、韓米戦時作戦権転換、防衛費分担特別協定などの大型の外交・安保懸案が影響を受けざるを得ないからだ。
最初のボタンをきちんとかけなければならず、スタートが肝心だとも言う。外交も同じだ。
米国の第46代大統領当選者との「最初のボタン」は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談となる。それに先立ち大統領は当選者に祝電を送り、政府は声明を発表するが、これは準備した通りに実行すればよいだけなので、注目度は高くない。各国が神経を尖らせているのは、当選者との電話会談のタイミングだ。よく知られているように、米大統領選挙は州ごとの集計によって当選者が決定され、最終の開票完了までには時間がかかる。そのため慣例上、選挙の大勢が判明すれば行われる「敗北宣言(concession speech)」を起点として、当選者に対する外交戦が始まる。
2016年11月、あらゆる予想を覆してトランプ大統領が当選した時、素早く動いたのは日本だった。安倍晋三前首相は、トランプ氏の当選が確定した翌日の10日午前7時55分から、約20分にわたってトランプ氏と電話会談を行った。朴槿恵(パク・クネ)前大統領が電話会談を行ったのは、安倍前首相の2時間後の午前9時55分からで、通話時間は10分だった。当時、大統領府は、韓国大統領が米大統領当選者と最も早く電話会談を行ったと発表した。米CNN放送によると、その日、エジプト、オーストラリア、アイルランド、イスラエル、カナダ、メキシコ、サウジアラビア、トルコなどの首脳がトランプ氏と電話で会談したものの、順番は確認されていないとのことだった。別の外信は、エジプトのシシ大統領とオーストラリアのタンブール首相が、トランプ氏と最初に電話で会談した首脳だと報じた。
問題はその後だった。安倍前首相が1週間後の17日に米ニューヨークでトランプ氏と会うことを約束したことで、外交界隈は大騒ぎとなった。オバマ政権にとっては、当選者が就任するまでは米国の大統領は現職一人しかいないという、いわゆる「ワン・プレシデンシー・ルール(One Presidency Rule)」を無視した措置だった。その他の国の立場からすると、日本に先手を取られた格好だった。オバマ政権の反対にもかかわらず日本が協議を進めたことで、11月のAPEC首脳会議を目途に開催が論議されていた米日首脳会談は流れたことが分かった。潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長も、任期を終えて帰国を控える中、トランプ氏との会談を模索していたものの、オバマ政権の反対により実現しなかったという。ある政府当局者は「今(担当局では)少なくとも日本よりは早く電話会談を行わなければならないという考えで進めているはず」と述べた。
当選者側との接触の第一線には在米韓国大使館がある。トランプ大統領が再選された場合は、既存の政府ラインを通じて協議が行われることになる。一方、バイデン前副大統領が当選した場合は、民主党の上下両院議員から補佐陣にいたるまで、あらゆるラインを使って接触を試みる予定という。選挙期間中、バイデン陣営は国外の関係者とは一切接触していないため、最初の「アウトリーチ」は民主党周辺の関係者をはじめ、韓国系の有権者団体などを通じて多方面から行われる見通しだ。
その次の段階で重要なことは、早ければ来週にも行われるカン・ギョンファ外交部長官の訪米だ。マイク・ポンペオ米国務長官の10月の訪韓が実現しなかったために決まったものだが、米大統領選挙直後という「微妙な時期」だけに、政府でもこれを活用する方策に苦心しているという。バイデン前副大統領が勝者になった場合、いかなる形であれ接触を試みるものとみられる。外交部当局者は「現職に非礼にならない程度に、民主党側関係者と懇談会などを通じて韓国政府の立場を伝え、コミュニケーションを取るきっかけを作ればよいだろう」と述べた。
キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/968220.html?_fr=st1
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