スポーツ界出身の与党議員、突然「保守的スポーツ界」のせい
野党・マスコミ・米国など「他人のせい」…180議席与えた「国民に責任あり」という主張も出かねない
韓国与党・共に民主党のイム・オギョン議員は、故チェ・スクヒョンさんの同僚と電話で話し、故人の側にも責任があるような発言をしたという。こうした内容が報道されると、イム議員は「保守的なスポーツ界とこれに結託した保守的なマスコミに深い遺憾の意を表する」と反発した。
与党関係者が自分に不利な内容が報道されると「保守メディア」うんぬんと言って他人のせいにするのはよく見られる光景だ。しかし、「保守的なスポーツ界」とまで持ち出すとは思わなかった。ボールの扱い方や戦術によって進歩や保守がどう分かれるのか、聞いたためしがない。与党全体に広がった「他人のせいにするウイルス」が、今では生涯スポーツにのみ没入してきたイム議員にも浸透してしまったようだ。政治とはこのように伝染力が強い。
文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足初期に「積弊政権」のせいにするのを見ながら、それもありかと思った。保守政権だった時代、左派政権のせいにばかりしていたのも思い出された。しかし、政権の折り返し地点を回っても、経済・安保・政治のあちこちで水漏れがあり、欠点が発生しているにもかかわらず、他人のせいにばかりしているのを見ると、これは一時的な症状ではなく「慢性疾患」のように見える。
不動産問題を巡り金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部(省に相当、以下同じ)長官は前政権が規制を全て解除したとして前政権のせいにし、チュ・ミエ法務部長官は「検察が新天地イエス教会の家宅捜索のゴールデンタイムを逃した」とし、コロナもユン・ソクヨル検察総長のせいにした。仁川国際空港公社の問題を巡っても、非正規職と正規職の間の対立を助長した「偽のニュース」のためだと言った。韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相が建設業者から9億ウォン(約8000万円)を受け取って有罪判決を受けたのも検察と裁判所のせいだそうだ。チョン・セヒョン民主平和統一首席副議長が「北朝鮮の核も米国のせい」と話すくだりを耳にしたときは、さすがに足の力が抜けてしまった。「ハノイのノーディール(米朝首脳会談決裂)」もボルトンと日本の仲違いのためだそうだ。
「他人のせいにする」ことで政権任期の5年を浪費することが懸念される中、国民は前回の総選挙で与党に180議席を与えた。政権が責任を持って国政を運営し、野党のせいにするのはやめろ、といった意味合いもあるだろう。しかし、大統領府と与党による「他人のせいにするウイルス」は、総選挙以降も終息する気配がなく、悪性の変種を生んでいる。
文在寅大統領は最近、大統領府の会議で不動産対策について指示し、「国会」という単語に15回も触れた。22回に及ぶ対策についても、なぜ家のある人もない人もいら立ちを覚えているのか、それに対する自省や謝罪は一切なかった。「他人のせいにするウイルス」の震源は大統領府だった。大統領府と与党は、これまで不動産暴騰の原因を多住宅者に転嫁し、結局のところ多住宅問題が足かせとなってしまった。大統領には、対北政策や所得主導成長、脱原発、不動産など問題のある政策と路線を、修正する考えはなさそうだ。「このままでは皆滅びる。今からでも変えよう」と警告を発するスタッフはおらず、沈黙だけが政権を支配している。
ナチス時代を経験したドイツの宗教関係者は「ナチスが共産主義者を、労働組合員を、ユダヤ人を連行したとき、私は沈黙した。私が共産主義者、労組員、ユダヤ人ではなかったためだ」と語った。彼は「最後に彼らが私の近くにやって来たとき、私のために言ってくれる人は誰もいなかった」と沈黙と傍観をざんげした。
政府が積弊、野党、マスコミ、米国、日本のせいにするとき、多くの人は沈黙するか同調した。気乗りしなくても人ごとだと思った。それが今では責任を転嫁する攻撃対象を見つけることが容易ではなくなった。今後は一体誰のせいにするつもりなのだろうか。政権が軌道を逸脱しても、所得の二極化がさらに拡大しても、青年たちが雇用問題で嘆いていても、なぜ『ムチ』の代わりに圧倒的支持を示してくれたのか、といま一度自問自答すべきだ。私たちを怪物に仕立て上げたのは結局あなたたちではないか、と責められる時が近づいているのだ。
チョン・ウサン政治部次長
野党・マスコミ・米国など「他人のせい」…180議席与えた「国民に責任あり」という主張も出かねない
韓国与党・共に民主党のイム・オギョン議員は、故チェ・スクヒョンさんの同僚と電話で話し、故人の側にも責任があるような発言をしたという。こうした内容が報道されると、イム議員は「保守的なスポーツ界とこれに結託した保守的なマスコミに深い遺憾の意を表する」と反発した。
与党関係者が自分に不利な内容が報道されると「保守メディア」うんぬんと言って他人のせいにするのはよく見られる光景だ。しかし、「保守的なスポーツ界」とまで持ち出すとは思わなかった。ボールの扱い方や戦術によって進歩や保守がどう分かれるのか、聞いたためしがない。与党全体に広がった「他人のせいにするウイルス」が、今では生涯スポーツにのみ没入してきたイム議員にも浸透してしまったようだ。政治とはこのように伝染力が強い。
文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足初期に「積弊政権」のせいにするのを見ながら、それもありかと思った。保守政権だった時代、左派政権のせいにばかりしていたのも思い出された。しかし、政権の折り返し地点を回っても、経済・安保・政治のあちこちで水漏れがあり、欠点が発生しているにもかかわらず、他人のせいにばかりしているのを見ると、これは一時的な症状ではなく「慢性疾患」のように見える。
不動産問題を巡り金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部(省に相当、以下同じ)長官は前政権が規制を全て解除したとして前政権のせいにし、チュ・ミエ法務部長官は「検察が新天地イエス教会の家宅捜索のゴールデンタイムを逃した」とし、コロナもユン・ソクヨル検察総長のせいにした。仁川国際空港公社の問題を巡っても、非正規職と正規職の間の対立を助長した「偽のニュース」のためだと言った。韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相が建設業者から9億ウォン(約8000万円)を受け取って有罪判決を受けたのも検察と裁判所のせいだそうだ。チョン・セヒョン民主平和統一首席副議長が「北朝鮮の核も米国のせい」と話すくだりを耳にしたときは、さすがに足の力が抜けてしまった。「ハノイのノーディール(米朝首脳会談決裂)」もボルトンと日本の仲違いのためだそうだ。
「他人のせいにする」ことで政権任期の5年を浪費することが懸念される中、国民は前回の総選挙で与党に180議席を与えた。政権が責任を持って国政を運営し、野党のせいにするのはやめろ、といった意味合いもあるだろう。しかし、大統領府と与党による「他人のせいにするウイルス」は、総選挙以降も終息する気配がなく、悪性の変種を生んでいる。
文在寅大統領は最近、大統領府の会議で不動産対策について指示し、「国会」という単語に15回も触れた。22回に及ぶ対策についても、なぜ家のある人もない人もいら立ちを覚えているのか、それに対する自省や謝罪は一切なかった。「他人のせいにするウイルス」の震源は大統領府だった。大統領府と与党は、これまで不動産暴騰の原因を多住宅者に転嫁し、結局のところ多住宅問題が足かせとなってしまった。大統領には、対北政策や所得主導成長、脱原発、不動産など問題のある政策と路線を、修正する考えはなさそうだ。「このままでは皆滅びる。今からでも変えよう」と警告を発するスタッフはおらず、沈黙だけが政権を支配している。
ナチス時代を経験したドイツの宗教関係者は「ナチスが共産主義者を、労働組合員を、ユダヤ人を連行したとき、私は沈黙した。私が共産主義者、労組員、ユダヤ人ではなかったためだ」と語った。彼は「最後に彼らが私の近くにやって来たとき、私のために言ってくれる人は誰もいなかった」と沈黙と傍観をざんげした。
政府が積弊、野党、マスコミ、米国、日本のせいにするとき、多くの人は沈黙するか同調した。気乗りしなくても人ごとだと思った。それが今では責任を転嫁する攻撃対象を見つけることが容易ではなくなった。今後は一体誰のせいにするつもりなのだろうか。政権が軌道を逸脱しても、所得の二極化がさらに拡大しても、青年たちが雇用問題で嘆いていても、なぜ『ムチ』の代わりに圧倒的支持を示してくれたのか、といま一度自問自答すべきだ。私たちを怪物に仕立て上げたのは結局あなたたちではないか、と責められる時が近づいているのだ。
チョン・ウサン政治部次長
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