じつは私の娘も建築士を目指しています。
将来的に一緒に仕事ができたらうれしく思います。
反面、一緒に仕事をすることになったら難しい面もあるだろうなぁ、と感じています。
私のように設計の仕事をしておりますと、工務店さんなどの事業継承の話をお聞きする場合があります。
その中で私が個人的に感じたことをお伝えしたいと思います。
・親子経営でみかける課題点:ホウレンソウができない。話し合いができない。世代間ギャップがある。
親は子を愛しています。子も親を尊敬しています。しかしその中でも身内という関係で、大切なコミュニケーションが不足していると思うのです。
私は父がおりません。ひとを助けようとして亡くなりました。
そのような経験をしている私からしますと、喧嘩ができる、一緒に仕事ができることがなんと素晴らしいことか、と思ってしまいます。
確かに毎日顔を合わせて四六時中一緒に仕事をしていれば、不満もあるでしょう。
しかし、例えば、通常の会社を想像してみてください。
どんなに気の合わない上司にでも、仕事に関する報告や連絡、相談はしなければなりません。
それは会社のために必要な条件です。
しかし親子経営の場合、身内がゆえの甘えがでていないでしょうか?
世間一般の会社であれば、通常行う、報告、連絡、相談(ホウレンソウ)をするところを、曖昧にしていないでしょうか?
また世代間ギャップがあっても、他人なら決して口にしないことを口に出してしまっていないでしょうか?
それともうひとつ。もしも親が、または子がいなくなってしまったら、と想像してみてください。
会社を飛び出し別会社に就職する、それでも年に一度でも顔を合わせることができればよいですが、そのまま音信不通になってしまう、など想像してみてください。
親がいなくなってしまった状態で、また子がいなくなってしまった状態で、いまの会社をひとりで、または従業員と経営していくことができるでしょうか?
いなくなってはじめて気づくこともあるのではないでしょうか?
いなくなってから気づいては遅いのです。
私がおススメしたいのは、素直な気持ちを一度きちんと伝えてはどうかな?ということです。
自分がいかに親を、子を愛しているか?
自分の素直な気持ちをまずは伝えてみてはいかがでしょう?
そして、どうしても耐えられないこと、改善してほしいことも素直に伝えましょう。
その際には感情で伝えるのではなく、なぜ耐えられないのか、改善してほしいのか、きちんと理由を丁寧な言葉でわかりやすく伝えることが大切と思います。
その上でこれからどのように一緒に働いていきたいか、理想の未来像についても伝えてみてはいかがでしょう?
最初から、ことばでの話し合いは難しいかもしれません。
まずは手紙で伝えてみてはいかがでしょう?1通で足りなければ、2通、3通とお伝えしてみてはいかがでしょう?
お互いが素直に、感情でぶつからない状態になってから、話し合いをしてみてもよいかもしれません。
と申しますのも私が実際に実践したことなのです。離婚を機に娘とは疎遠になっておりました。感情的で話をすることもできない時期もありました。
私も瞑想などに出会うことができたことも大きな要因ですが、娘も大人になり、とあるきっかけで、いまの素直な気持ち、過去の私の後悔や謝りたかったことなどを素直に手紙で伝えました。
そしてできれば今後はこうなりたい、という気持ちも素直に伝えました。
しばらくはもちろん急激な変化はありませんでしたが、いまではお互いが素直に話し合うことができるようになりました。娘も相談などがあると気軽にLINEを送ってくれる関係になれました。
しかしこれから一緒に仕事をすることになったら、毎日顔を合わせて、同じ空間に四六時中いることになったら、また身内の甘えが出てしまうかもしれません(笑)
そのような中でも娘がいることの喜びを感じながら過ごしていきたいと思います。
ひと・すまい・くらし
新井 伸宏