『閉鎖病棟』を読み終えました。作者の帚木蓬生さんは精神科医でもあります。きっと患者さんの立場に立ちきることのできる温かい医師なのでしょう。出だしからそう感じました。閉鎖と開放。その境界線はなんだろう。誰がそれを敷くのだろう。人はなぜ愛し愛され、憎み憎まれ、はては殺し殺されるのだろう。医療の現場から今の社会像も透けて見えてきます。読後感を言えばああ自分はじぶんでいいんだってことでしょうか。人間て不完全な生き物であるってこと。誰かの助けなしでは生きられない。こんなぼくでも、遠く近くの誰かを助けているかもしれない。実はぼくも閉鎖病棟に入院していたことがあります。だから感情移入が易かったというかすっかり物語世界の住人になってしまいました。チュウさんやストさん、島崎さんに茂丸さんがまだ傍にいるようです。この本はいつかまた読み返すことになりそうです。映画でいえば「カッコーの巣の上で」、そこに自分の体験とこの本がクロスオーバーしてより深きへ、地平の向こう側へと行けそうです。あ、ベーグルはプレーンと明太子&餅です。タイトルは特に意味ありません。