野々宮希和子は不倫関係にある男性との子供を宿すが、堕胎。
男性の煮え切らない態度と妻からの暴言に希和子は疲弊する。
「彼らの赤ちゃんを一目見たい」
そう思い、こっそりと男性宅を訪れた希和子は赤ちゃんを連れ去ってしまう。
その日から、希和子の逃亡生活がスタートする。
赤ちゃんに「薫」と命名、我が子同然に育て、「薫」もまた、希和子を実の親と信じていた。
やがて、希和子と「薫」の時間は終わりを告げる。
逮捕された希和子は裁判で有罪判決を受け、「薫」は元の家族と新しい生活を始める。
月日は経ち、「薫」は本来の名前である「秋山恵里菜」に戻っていた。
両者と妹は何かと気遣ってくれるが、「野々宮薫」として育てられた時間は成長した恵里菜に暗い影を落としていた。