――眠れない午前二時、特に苛立ちがドアを叩いたりしないが。
「…………」
皆さんは、ふとした拍子に真夜中に目が覚め、そして再び眠りにつこうと思いつつも眠れない。 そんな経験があると思う。
実に今、そんな状態に俺は居るのだ。
起床予定時刻まで五時間弱、このまま起きてるのは流石に辛い。 何より本日も平日であるからして早朝から恒例の地獄のハイキング・コースが待ち構えてるので、此処で体力を補って置かないと。
ちなみに現在は高校二年の五月末。 ゴールデン・ウィークもハルヒ以下SOS団に振り回され……結果として楽しかったと言うのは否定しないで置くが……五月病などと言う言葉はすっかり俺の辞書から欠落する程に充実した生活を送ってる反面、己の学力レベルは更なる低空飛行を描いていたのであった。
「しかし、眠れん」
止めに今夜は満月らしく、カーテン越しに煌々と月明かりが照らされる。 それが余計に睡眠を阻害する要因となって居た。 いや、それだけではない。
何となく、ムラムラして来た。
何せ思春期真っ只中のこの身故、色々な意味で此処で『抜いて』置けばスッキリして眠りにつけるかも知れない。 そう言えば確か保健体育の授業で女子の生理現象が月の引力で左右されると習った気がするが、実は男も同様なのだろうか?
狼男、月に吠える。 ってのも意外と自然の摂理に適ってるのかもな。
「なんてな」
こんな無駄な思考を繰り広げてる間にも時は過ぎ行く。 いかん、早く作業を終わらせ眠らねば。
登校、即睡眠なんて言った日には学力低下に拍車が掛かるぞ。
そんな訳で何時もの様にベッドの下に左手を伸ばし、我が愛読書に手を掛けようとした、その瞬間
「…………」
電気をつけなければならん事を思い出した。
第二次世界大戦中の灯火管制じゃあるまいし、別に自室の照明を点けた所で特に誰かしらに迷惑を掛ける訳ではないが、万が一、そう万が一に我が妹がトイレに起きた拍子に明かりに気づき「キョン君、何してるの~?」なんて来た日には……未だにノックもせず俺の部屋に入って来るからな、あいつは。
年頃なんだし、良い加減プライバシーと言う物を理解して欲しい所だ。
「ぷらいばしー? 何それ、新しいデザートの名前なの!?」
――そんな台詞が脳内で再生されたと同時に左腕を布団の中へ戻す。
しかし、そうなって来ると収まらないのが我が恋人・右手の存在だ。 既に下半身に伸びた右手は、今か今かと命令が下されるのを待機して居る。
残念ながら彼女居ない歴、イコール自身の年齢である俺にとって、右手以外の恋人は当分見つかりそうにない。 SOS団の活動で、彼女を見つける暇なんて無いも同然だしな。
仕方ない
「……想像でするか」
何時もなら、そこで想像するのは普段から『お世話に』なってるモデルやグラビアアイドルの登場と相成る訳だが
「SOS団? そうだ、あいつでシテみるか」
自称・崇高にして神聖なるSOS団団長・涼宮ハルヒで、だ。
何を隠そう、実は俺、ハルヒの事が最近気になって仕方ないのだ。 ってそこ、笑うなよ。
身近なクラスメイトであり、同じ部。 いや団の仲間として一緒に居る時間が長ければ長い程、ハルヒの良さに惹かれてるのが解る様になって来たのだ。
そして何よりも
「さりげに良いカラダ、してんだよなぁ」
今年の春先のチャイナドレス姿にしかり、去年の文化祭でのバニーガールやら。 実は朝比奈さんよりコスプレが似合ってるんじゃないのか、とも思わせる――あぁ、漲って来た! これは使える!!
しかし、もしハルヒを『対象』にシタってバレたら
「バカキョン! アホキョン! こんのエロキョン!!」
いかん、まるで今、ハルヒが耳元で怒鳴ってる台詞が再生されたぞ。 う~む、折角漲って来たのが一気に萎えて来てしまったではないか。
仕方ない、ハルヒは止めておこう。 では、誰にする?
「……朝比奈さん?」
SOS団のマスコットキャラにして唯一の上級生、朝比奈みくる先輩だ。
ロリで巨乳で校内一の美少女とくれば、相手にとって不足は無い。 あぁ、あんな女性と色々出来るならどんなに幸せか。 そしてコスチュームのバリエーションにも事欠かないしな。 何時ものメイド服、バニーにナース、そして映画の時のウェイトレス……よし、良いぞ良いぞ。 高ぶって来た……
が、待てよ
「どうも汚してはいかん気がして来た」
『えっちなのは、いけないと思いますぅ』
なんて声が聞こえて来た訳では無いが、愛おしさ故に手を出すのを憚られる気がして来たのだ。
あぁ朝比奈先輩、どうか貴女だけは汚れを知らず無垢なままで居て下さい。 って
「朝比奈さん(大)を見る限り、少なくとも相応の色気が出て来るから無垢じゃ居れんだろ。 やれやれ」
汚しちゃならん、と言う意味では長門も同様か。 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース……だっけか。 最近では無機質さが減少して来た気がするし、『感情』も身につけて来た気がする。 普段から世話になりっぱなしだが、それ故に、こんな事で世話になって貰っても困るだろう。 色々な意味で。
等と思考の海を彷徨って更に無駄な時間を過ごしてる場合では無いぞ。
起床予定時刻まで残り時間が四時間になろうとしていると言うのに、何をやってるんだ俺は。
早く寝ねば、と焦れば焦る程に眠気は比例して遠ざかり、更に比例してムラムラが増して行く。
「しかしなぁ」
冷静に考えれば北高に進学して約一年一ヶ月。 知り合いと呼べる女子など両手で数える程も居るだろうか。 ましてや俺の性的な琴線に触れる様な女子なんて。
鶴屋さん? 喜緑さん? 確かに可愛らしい上級生ではあるが、何か違うな。
佐々木? あいつはあくまでも『親友』だ。 異性として見た事は殆ど無いな。
橘? 外見は良いが、深い付き合いで無いから何とも言えん。
周防に至っては問題外だ。 無機質さが不気味であるし、しかも長門を苦しめた張本人だしな。 おかげで朝倉が……ん?
「朝倉?」
朝倉涼子。 俺を何度も死の淵へ追いやった奴だが、見た目は谷口曰くAAランクプラスの評価通りの奴だったな。
スタイルも中々。 ハルヒと同様に出ている所は出ているし、麻薬的な匂いが正直堪らなかった。 何も知らない奴ならナイフを使わなくてもイチコロだろう。 勿論、違った意味でだが。
そう言えば体育の時にしてたポニーテール姿はグッと来る物があったな――よし、段々漲って来たぞ!
いや、いっそ復活して貰って直接朝倉に『筆おろし』をして貰っても良いかも知れん。
以前クラスメイトの榊が童貞捨てた、なんて噂を小耳に挟んだが、俺もそろそろ……なんて思う事もある訳で、高校二年・思春期真っ盛りだし、持て余した俺の
「ねぇ」
こんな夜中に誰だか知らんが、何だ? 俺は忙しいんだ。 早く身体をスッキリさせて眠らなければならん。
では視覚的にイメージし易い体育の時のポニーテール姿で行こうか。 よし、段々思い出して来たぞ。
一年前、谷口と一緒に女子の100m走を見た時の記憶が、こんな時に生かされるとは思わなかったぞ。
ブルマから伸びる眩しい太もも、激しく上下に揺れる胸、たなびくポニーテール……所で何で北高は未だにブルマなんだろうか?
「知らないわよ。 それよりさぁ」
……何故だろう、先程から妙にリアルな朝倉の声が脳内再生されてるが。 まるで俺と普通に会話してるみたいじゃないか。 いや、多分気の所為だろう。
「気の所為じゃないわよ」
そうか、気の所為じゃないのか。 確かにそうだ、耳元で息が掛かるのが解る程の至近距離で話し掛けられてるからな。 先述の通り、麻薬的な匂いまで漂って――って、待てよ。 待て待て
「朝倉か?」
「そうよ、さっきから呼んだりしてるじゃない」
この様に文章で表現する分には冷静に聞こえるかも知れないが、今、朝倉に対して答えた俺の声は他人でも解るであろう程に上ずって居たに違いない。
朝倉が復活しただと!? これはビックリだ。 驚愕だ。 アンビリーバボーだ。
シングルベッドの上で布団を掛け、壁に対して背中を向けて居る俺の背後に、朝倉はくっついて布団に入って居るのか。
「何時の間に現れた!」
妄想に夢中で気付かなかったぞ
「貴方がわたしを呼んだからよ」
「と言う事は長門に緊急事態があった訳では無いんだな」
「そうよ」
どうやら本当に、俺が願ったと言う理由で復活したらしい。 やれやれ、何て事だ。 遂に俺にも願望実現能力が身についたらしい。 ハルヒが知ったら、どうなる事やら。
「良いじゃない、涼宮さんに知れても。 しかも、わたしが復活した理由がエッチしたいから、なんて」
「いや、止めてくれ」
「何で? 面白いじゃない。 涼宮さんが、どう反応するか」
急進派としてはそうかも知れんが、俺が困る。
「つまんないの。 それよりさぁ」
「何だ朝倉」
「良い加減こっち向いてよ。 前回なんて顔向けてくれなかったし」
そうだな、前回と違って今回は俺が呼んだ訳だし……しかし先程から背中で感じる、この、何と言うか柔らかい二つの膨らみの感触を堪能したいのだが
「ねぇ、もう」
「うわっ」
結局、強引に朝倉に寝返らされ、向き合う事になった。
「ふふふ、改めまして。 久し振りね」
「お、おう」
か、顔が近い。 しかし顔を見るのも一年振り、いや、改変された世界で出会ってるから約五ヶ月振りか?
でも、この至近距離で朝倉の顔を見るってのは中々無かったな。
整った眉、くっきりした瞳、艶やかな唇……谷口評価AAランクプラスに異存を唱えるとするならば、もっと上の評価を下してやれ。 とクレームを入れたくなる程の美人である訳で、実際、殺されかける以前には、こいつに対する俺の評価はハルヒより上だったし――
「どうしたの?」
「ん、何がだ」
「今まで顔見せてくれなかったと思ったら、今度は穴が開く程見つめちゃって」
「うっ」
くそっ、痛い所突きやがる。 急に恥ずかしくなって来たぞ。 この恥ずかしさで己の股間だけでは無く身体全体が熱を帯びて来るのが嫌でも解る。
「見つめるのは顔だけで良いの?」
「どう言う意味だ」
「……少しは自信、あるんだけどな」
何故かはにかみながら、朝倉は被ってた布団をゆっくりと捲り始めた。 すると
「ちょ、ま、待て朝倉!」
瞬時に布団を元の位置に戻してやった。
「んもうっ!」
「『んもうっ!』じゃない!!」
観ちまったよ。 この真っ暗な部屋でも解る程に輝いて見えた二つの白い膨らみと、その頂きにある小さな可愛らしいピンク色の突起物の存在まで……その下は残念ながら見なかったが、親族以外の女性の裸体なんぞ直接肉眼で見たのは初めてだ。 落ち着け俺、そうだ素数を数えよう。 2、3、5――
「1は素数じゃないの?」
「1は基本的に含まないらしいぞ」
「ふ~ん。 で、何で素数を数えだしたの?」
「落ち着く為だ。 って、これじゃ落ち着かんわ! 大体、何で素っ裸なんだ。 朝倉!!」
「だって、今からえっちするのに邪魔でしょ? 服なんて」
オッケー解った。 だがな朝倉、服を脱がす楽しみや、服を着たままってのも有りなんだぞ。
「ふ~ん、そうなんだ。 色々とあるのね、有機生命体の嗜好って」
「あぁ、そうだぞ」
少しは勉強になったか? って
「違っが~う!!」
「んもうっ、何よさっきから」
「大体、いきなり布団の中に入って来たと思ったら全裸でいやがるし、少しは恥ずかしいと思わんのか」
「貴方だって、わたしをえっちする為に復活させた癖に。 素直じゃないわね」
あぁ、もう朝倉。 先程から、えっち、えっちって。 女の子が軽々しく言うもんじゃない。
「じゃあ、セックス?」
「……言い方の問題じゃないぞ」
しかも、もっとストレートな表現にしてどうする。
「朝倉は良いのか」
「何が?」
「俺が相手で」
「うん」
「ただ『したい』って思ってた奴が相手でもか」
「だって人間の深層心理に詳しく無いから。 それに『恋愛感情』ってのも未だ理解出来ないし……長門さんと違ってね」
「ん、最後の方が聞き取れなかったが」
「え、ううん。 何でも無いわ、気にしないで。 そんな事より……ね」
ひと呼吸置いた後、朝倉は俺を抱き寄せ、耳元で囁いた
「……して」
これでスイッチが入らない男は、どうかしてる。 この台詞によって、眠ったオスの本能に火が点いたも同然だ。
据え膳喰わぬは何とやら、と昔の人も言って居る。 あぁ、お父さん、お母さん、俺を男に生んでくれてありがとう。
あと谷口、お先に失礼させて貰うぞ。
今度は俺の方から朝倉を抱き寄せ
「んんっ」
「はむぅ」
顔を近づけ唇同士を接触させる……人生で二度目のキスだ。 しかも今度は
「あふぅ」
「んんっ」
舌を絡めたディープ・キスだ。 互いの粘膜の絡み合う音が脳内に到達し、こだまする。
うん、悪くない感覚だ。 いや、むしろ刺激されて欲情が加速する様だ。
「あん、あむぅ」
「うん、うむぅ」
抱き寄せた左腕はそのままに、本能の赴くまま右手を朝倉の胸元へと伸ばして行く。 すると
「あんっ」
うおっ。
『揺れる想いはマシュマロみたいに、ふ~わふわ』なんて何処かの高校のガールズバンドが歌ってた気がするが、今の俺なら『揺れる巨乳はマシュマロみたいに、ふ~わふわ』と中学生並みの歌詞改変をしてしまいそうな位の柔らかく、そして
「あはぁん」
低反発枕も裸足で逃げ出してしまいそうな弾力を手の平で感じた。 しかし、感度良さそうだな朝倉。
「うん。 だって、あんっ。 き、気持ちいいんだもん」
そのまま俺は、パン生地をこねる様に朝倉の胸を揉みしだく。
と、此処まで勢いと言うか成り行きで作業を進めたは良いが、さて、この先どうすれば良いのだろうか。
いかんせん経験した事の無い領域ゆえ、マニュアルを持ち合わせてない己としては、この先のコマの進め方を知らないのである。
まぁ初心者が陥り易い難関である『ブラジャーのホックの外し方が解らない』と言う関所は、朝倉が最初から全裸であったので無事にクリア出来たのであるが
「どうしたの?」
「ん、何だ」
「胸揉むの止めたと思ったら、考え事?」
「あ、いや別に」
「ふぅ~ん。 あ、もしかして他の女の子の事考えてた? 涼宮さんとか」
残念ながら答えはノーだ。 生憎こちらには、そんな余裕なんぞ無いのでな。
「所で貴方は、このままなの?」
「何がだ」
「脱がないの? パジャマ」
うむ、そうだな。 朝倉は全裸で俺はパジャマのまま、と言うのも変か。
「脱ぐぞ、待ってろ」
そして俺が上着の裾に腕を伸ばし、一気にたくし上げ脱ぎ終えたパジャマをベッドの下に放り投げた刹那
「えいっ」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@!?」
下半身、いや、股間に激痛が走り我が息子・ジョンスミスが声にならない悲鳴を上げた!
何故かって? 何時の間にか布団に潜りこんでた朝倉が、いきなりズボンと共に俺のパンツまで脱がせたからな。 ズボンとパンツのゴムが、踏ん反り返ってた愚息に引っかかって……そりゃあもう、この痛さは、あの改変された世界で朝倉に刺された痛みより酷いんじゃないか。 って思えた程さ。
そんな俺の異変に朝倉は気づいたらしく
「えっ、どうしたの? あ、もしかして痛かった?」
あぁ、痛かったさ。 お前ん所の親玉に「くそったれ」と伝えたくなる程にな。 全く、情報統合思念体って奴は、肝心な部分の情報伝達は欠落してるのかね。 男の子の大事な部分は結構デリケートなんだぞ。
「……ゴメンね」
「うっ」
朝倉の謝罪の後、俺を襲った感覚は先程とは正反対の物だった。
何があったのかって? 朝倉の手が、俺の大事な部分を優しく撫で始めたからだ。 勿論、布団の中の出来事故、肉眼では確認して無いが、感触だけで解るってもんだ。
朝倉の手の動き自体で特に快感が得られた訳では無い。 単純に快楽を追求するなら自分の手でシタ方が良い。 が、女性……しかも同級生に触って貰うって所がポイント高い。 何のポイントかは各々察して欲しい。
「あっ、動いた」
そりゃ動くさ。
血流は愚息の先端まで行き渡り、朝倉の手のひらが触れる度、陰茎が波打つ様に反応するのが面白いらしい。
まるでシャミセンが猫じゃらしで遊ぶかの様に、朝倉は楽しんで居るらしい。
暫く朝倉は、そんなジョンスミスと戯れて居た。 と思ったら、いきなり何の前触れも無く
チュっ
「うおっ!?」
キスされた。 誰が? 俺が。 誰に? 朝倉に。
今度は唇同士では無い。 朝倉が、俺の陰茎に……まるで小鳥が木の実をついばむ様な、優しいバード・キスで、根元から先端へと、徐々に――
俺の愚息が先程より更に衝動して居るのが解る。 まるで、それ以上の何かを求めるが如く。
「ふふっ、面白い」
こら朝倉、俺の身体で遊ぶな。 このまま弄ばれるのは面白い筈が無い。
そろそろ、こちらも何かしらの反撃をしようか。 と布団を捲ろうとした、その時
ぱくっ
「んなっ!?」
な、何が起こった?
人間、想像を超えた出来事が起こると一瞬、我を忘れると聞いた事があるが、まさに今がそんな状態なのであった。
何と朝倉が、俺の愚息を咥えたのである。 単純に一言で解りやすく言うと、フェラチオって奴だ。
――あぁ、人間の口膣の内部って、こんなに温かいんだ。 そして、凄く気持ちいい。 一体何なんだ、この包まれ感。 何物にも形容し難い。
「や、ヤバいっ!」
「ん、ふぁふぃふぁ?」
多分「何が?」って言ったのだと思うが、朝倉は陰茎を咥えたままなので、まともに返答出来る訳が無い。
いや、それ所では無いぞ。 慣れない過度な刺激の所為で、俺のジョンスミスは一気に臨界点に達しそうな勢いだ。
今まで手淫を何度もしているが、此処まで急激に射精感が来たのは初めてだ。
「うおっ。 で、出るっ!!」
「ん?」
朝倉が返答する前に、白濁した液体は、朝倉の口膣に放たれた。 あぁ、情けないぞジョンスミス。 咥えられただけで果ててしまうとは何事だ。
「んんっ」
朝倉にとっても、これはイレギュラーな出来事だったのだろう。 ビクッと躰が震えたのが解った。
しかし、朝倉は陰茎を咥えたまま放そうとはしなかった。
「……ゴクっ」
「!?」
喉の鳴る音が聴こえた。
何が起こった? 俺は何かを飲み込んでない。 口の中に何も入れてないし、唾も飲み込むほど溜まってないからな。 と言う事は……
朝倉だ。 朝倉が何かを飲み込んだんだ。 何をって? そりゃ答えは一つしか無いだろう
「あ、朝倉?」
つまりは俺のスペルマ、精液を飲み込んだんだ。 続いて
ペロッ
「うおおっ!」
口に含まれたままの俺のジョンスミスを舌先から包みこむ様に舐め始めた。 これは堪らない、何だこの包まれ感は。
「んん、んんっ」
口ごもった様な朝倉の念入りに作業を進める音が俺の身体全体を支配する。
だ、駄目だ。 この悦楽に抗える筈が無い。 まさに、されるがままだ。 しかも
『さわっ』
「うっ」
どちらの手か解らないが、陰嚢に手を添え軽くこねくり始めて来た。 一体何処で覚えて来たんだ、そんなテクニックを!
暫く口膣内で舐め回されてたジョンスミスだったが、何時の間にか
ズズッ、ズズッ
まるで根元から絞り取る様な上下に動く口の動きに責められて居た。 これは所謂ディープ・スロートって奴か。 実戦経験は無くとも、こちとら谷口やら他の連中に借りたDVD等で得た知識は豊富にあるからな。
――何の自慢にもなりゃしないがね。
しかし、このままではまた朝倉の口膣にスペルマをぶちまけて終わりだ。 流石にそれは避けたい。
「なぁ、あ、朝倉」
あまりの快感に俺の声も幾分途切れがちだ。
「ん、んっ。 なぁに?」
お、やっと此処で朝倉が陰茎から口を離してくれた。 しかし未だ両手で、まるで愛おしむかの様に優しく陰茎を撫で回してるので、俺が受ける快楽は止む事が無い。
「お、俺またイキそうだ」
「ふふっ、すっごい感じてるのね」
当たり前だ。
只でさえ他人から性的刺激を受けたことが無いと言うのに、この朝倉のテクニックときたら……そりゃイカなくてどうする、って程だぞ?
そして、このまま朝倉に責められっぱなしと言うのも男としてどうかと思うが、反撃しようにも、この快楽の海に溺れたままではどうしようもない。 ましてや攻勢に転じた所で、実戦経験も無ければテクニックも持ち合わせて無い。 まさに「打つ手なし」だ。
所で今更言うのも何だが、俺は睡眠がとりたかったのではなかったか?
しかも初期の目標である、欲求不満をスッキリさせると言うのは達成された訳で、建前を言うなら本日の登校に必要な体力を養う為、速やかに睡眠せねばならない筈だ。
しかしながら現状は未だに激しく自己主張をしている己の愚息に加え、目の前には全裸の朝倉。 これではもう、どうにも止まらない。 このまま最後まで行かねば、まさに「やらなくて後悔」する羽目になるであろう。 先人も言ってたではないか。 「今、出来る事は今やろう」と。
何と素晴らしい言葉ではないか。
が、此処で重大な事実に気がついた。
ゴムが無い。
よもや、こんな事態が来るとは想定して居なかったので常備していなかったのだ。
「何が起きるか解らないから持っとけ、男の嗜みだぞ」
何時ぞや谷口がアホ面下げつつ避妊具をふらつかせ言ってたが、国木田と共に素知らぬ顔でスルーしてた当時の自分が恨めしい。
「もう、また考え事?」
「ん。 あ、あぁすまん朝倉」
「もしかして涼宮さんが気になって、わたしとシタくなくなっちゃったとか?」
何故、此処でハルヒの名前が出るのか解らないが、当面の課題はもっと、こう、重大な事なんだぞ。
「ゴム、無いんだ」
「ごむ?」
まぁ、こいつも長門と同じヒューマノイド・インターフェースって奴なら
「ゴム出して」
「いいよ」
って感じで、無の状態から平然と避妊具を頼めば出してくれそうではあるが。
(その2へ続く)
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