(その1より)
「何の為にゴムを使うの?」
「いや、そりゃ避妊の為だろ」
常識的に考えれば、そうだろうよ。 いや待て、もしかして朝倉はゴムの事を輪ゴムとか、避妊具以外の事柄を連想しているのではないか? そのように俺が思考した刹那
「要らないわよ」
「何故だ?」
「だって、わたし妊娠しないもの」
「なんだって!?」
「この身体はあくまで端末なんだし、不必要な機能は有して無いもの。 あ、それとも何? 赤ちゃんが欲しいの? それだったら……」
いや、要らん。 ノーサンキューだ。
この年齢で子持ちなんて現実的な問題として生活出来ないぞ。 ましてや朝倉との子供が出来たとしてハルヒ、いやSOS団の全員、それ以前に我が両親にどの面下げて報告すれば良いのか。 まぁ我が妹は何も考えず
「あかちゃん、いいなぁ」
とか言って純粋に喜びそうだが……そんな事になったら妹よ、お前は中学入学前にして『叔母さん』になるんだぞ。
などと、この夜何度目か数える気にも無くなった無駄な思考を繰り広げ、改めて落ち着きを取り戻した俺の耳元で、朝倉は柔和に甘く囁いた。
「だから、中で出しても良いわよ」
よもや童貞卒業に際して、全男性が憧れるであろう台詞が聞けるとは思わなかった。 これで何の躊躇いも無く朝倉の秘部に俺の分身を挿入する事が出来る。
もう前戯や愛撫なんて、どうでも良い。 兎に角、一刻でも早く挿入したい!
……そう言えば「早く眠りたい」なんて建前、何処か遠くへ行ってしまったな。
今まで狭いベッドの上で隣り合って居た朝倉の上に覆いかぶさる態勢に変え、俺は朝倉の目を見つめながら何故か(何故かは自分自身でも解らないが)、躊躇いながら言った。
「入れて、良いか?」
「……うん、来て」
その時の朝倉の表情は、今まで見た作り物の笑顔では無く、始めて見せる自然で柔和な笑顔だった気がした。
何故そんな顔をしたのか、若しくは俺がそう感じたのか理解出来ないが、何れにせよこいつは未知の出来事に恐怖しないのだろうか。 尤も「有機生命体の感情が理解出来ない」と言ってる時点で、それを求めるのも無駄って事だろう。
まぁ良いさ。 それよりも先程から待ちくたびれてる愚息を何とかする方が先だ。
徐に覆いかぶさる布団を左手で払いのけ、ベッドの下へ落とす。 すると一糸纒わぬ朝倉の姿がさらけ出された。 俺は上半身を起こすと同時に朝倉の両足を広げ、己の下半身をその間に移動させた。
既に明かりの無い自室にあっても目が慣れて来た俺の網膜にも、くっきり映し出される朝倉の上半身――
「…………」
今まで見つめあって居た互の瞳から距離が遠ざかる程、視界に入って来る滑らかな肩のライン、二つの膨らみ、スレンダーな腹部。 うーむ
「綺麗だ」
「え?」
「あ。 いや、何でも無い」
何を俺は愚直にキザったらしい台詞を漏らしてるんだ? そんな台詞が似合うのは古泉とかイケメンであって、断じて俺が飛ばして良い台詞では無い。
「ふふっ、ありがと」
「え!?」
「さっきは自信ある、なんて言っちゃったけど。 改めて貴方に言われると、嬉しいな」
何だよコイツ、嬉しいなんて言葉を口にして。 有機生命体の感情が理解出来ないんじゃなかったのか。
少しはにかんでる様に見える朝倉の表情を眺めて居ると
「どうしたの?」
「何がだ」
「不思議そうな顔しちゃって」
「え、あぁ……いや、何でも無い」
「隠し事、もう無しにしない?」
「ん?」
確かにそうだよな。 身体は文字通り隠す物も何も無いが、言いかけた事を途中で止める事まで無いよな。 もう。
「朝倉。 有機生命体の感情が解らないって言ってたよな」
「うん、そうよ」
「その割に『嬉しい』って思うんだな。 って思って」
「えっ」
おや、明らかに今「言われたから気付いた」って顔してるぞ。 朝倉。
長門も出会った頃と比較して、かなり人間らしくなったと思って居たが、元々社交性があるプログラムを持った朝倉も、自身の変化に気付かないだけで、実は人間に近づいてるじゃないのか?
「あっ。 えーっと、あの……」
「いや、朝倉。 無理に答えなくて良いぞ」
すると先程までの驚愕の表情を一変。 再び柔和な笑顔を取り戻し
「ふふっ、ありがと。 貴方って優しいのね」
「そうか?」
「そして立場、逆になっちゃったね」
「何のだ?」
「……隠し事」
「言い辛い事と隠し事は違うだろ」
「う、うん。 そうだよね」
おや、元クラス委員長を諭すとは。 俺も少しは出世したか? なんてね。
そして自然に
「ん……」
「……んっ」
再び顔を近づけ、軽く唇同士を触れ合わせた。
「いくぞ、朝倉」
両手で朝倉の太腿を広げ、己の下半身をその間に沈める。 次に右手を陰茎に添え、亀頭の根元を親指と人差し指で摘み朝倉の蜜壷へ充てがう様に持って行く。
さて上手く挿入出来るか。 緊張する一瞬だ。
無論、朝倉にとってもロスト・ヴァージンの筈であり、処女膜貫通は流石のヒューマノイド・インターフェースでも痛がるのか? と雑念を持ちながら、ゆっくり腰を沈める。
ズブっ
「ひあぅん」
おっ、こんな可愛らしい声を発する事が出来るんだ。 と言う感じの声を上げ、朝倉が挿入の瞬間に身を震わせた。 どうやら先程の雑念は杞憂に終わったみたいで何よりだ。
溢れ出る朝倉の愛液に先導されるかの如く、俺の愚息は予想よりスムーズに膣内に挿入されて行った。 すると
「あんっ。 ふぁあ、あ、熱いっ!」
いや、熱いって。 それは俺の台詞だぞ?
――人間の体温って、つまり俗に言う平熱って奴は病気に罹ったりしない限り摂氏37度程度では無いだろうか。
しかし今、俺の陰茎から感じ伝わる朝倉の膣内部の温度は、高熱を出してる患者のおでこの熱さなんて比では無い程に熱く感じられる。
更に陰茎をコーティングするかの様にからみつく愛液。 トドメに、その外側から攻める様に包みこんで来る肉襞。
この三要素による、刺激慣れしてないジョン・スミスへの攻撃は、俺の思考に「快楽」の二文字しか浮かばせなかった。
「うっ。 き、気持ち良いぞ朝倉っ」
完全に根元まで挿入された俺の陰茎。 このままでも充分気持ち良いのだが、更なる高みを目指せと脳が身体に指令を送る。
仕方なく一時的に腰を浮かせる事にした。
「はあぁん」
「うっ」
「き、気持ち良いの?」
「あぁ」
此処で「ノー」と嘘でも言える奴は居ないだろうよ。 と、襲い来る快楽の波に抗いながら返答する。
「そう言う朝倉は、どうなんだ」
「わ、解らない……解らない……けど」
恍惚な表情を浮かべ始めた朝倉は、かなり呼吸を乱しながら俺の腰に軽く手を回し、続けて言った
「や、やめないでぇ」
そう言われたからと言っても止める気など更々無いが、こんな風に哀願されると己の中に隠れて居た嗜虐心が這い出て来る気がする。
腰に回された手を、少しくすぐったく感じつつ、再び腰をゆっくり沈める。
「はあぁん」
そして朝倉の反応を見ながら、徐々に腰の動きを加速させる。
「あんっ、あんっ、あんっ」
……こんな朝倉の反応に気を取られて、すっかり失念してた事があった。 長門の言葉を借りるならば「うかつ」って奴だ。
朝倉が部屋に侵入した時点で気付けば何かしらの対策を取ったのであろうが、それがあまりに突然の出来事故、そこまで気が回らなかったのだ。
「声、でかいよ」
「あんっ、だっ、だってぇ自然に出ちゃうもの……ねぇ、これってエラーなの?」
いや、普通に考えればエラーとは違うし、自然に声が出るって事は感じてるって事だろ。
「こっ、これが気持ちいいって事?」
それは構わないが、猥声が部屋の外に漏れたら困る。
通常の会話なら携帯電話での通話って事で多少は誤魔化せるであろうが(こんな真夜中に非常識だ、と言う一般論は別にして)、さすがに喘ぎ声が家族に聞かれた日には弁明の余地は無いぞ。
「じゃあ、ふさいでぇ」
此処でボケをかますなら適当な布で朝倉の口を塞いでやる所だが、そんなムードは一片も無い上に、そもそもそんな事が通用する相手では無いって事位、こいつに何度も命の危機を迎える羽目に晒されてる自分自身が痛い程理解してる訳だしな。
今まで伸ばしてた腕をゆっくり曲げ……己の体重を朝倉に掛けまいと思って腕を伸ばしてたから、軽く腕も疲れて来たし――朝倉を上から覆い被さる様に抱きしめ
「んむっ」
「あむぅ」
顔を再び接近させた後、ディープ・キスをする。
しかし、これで一時的に声の漏れを防げるだろうが、このままずっとキスを続けるって訳には行かないだろう。
腰を動かすのを止めないまま、暫しディープ・キスを続けた後
「どうにかならないのか」
愚息は刺激に慣れ始めたのか、当初より射精感が遠のいたな。 と思いつつ唇同士が離れた瞬間、疑念を投げかけた。
「気になるぅ?」
方や未だ快楽の海に溺れてる様に見える朝倉は、腰に掛けてた手を俺の首の後ろに回しつつ、上目使いで答えを返して来た。
「大丈夫よ。 わたしが此処に来た時、遮蔽フィールドを展開しておいたから」
「そうなのか」
「……他のインターフェースに気付かれたく無いし」
「ん、何か言ったか?」
「え、ううん。 何も言って無いわよ」
何だよ、今まで無駄に気を使った分の体力と、思考を巡らせてた分の時間を返せ。
「うん、それ無理」
だろうよ。
「だって、キスしたかったんだもん……」
甘い理由をありがとよ。 全く、もっとストレートに言ってくれれば良い物を。
「あ、貴方の目覚ましが鳴ったら自動的に解除されるから、忘れないでね」
うむ、成程。 流石は長門が言う所の優秀なインターフェース。 抜かりないって事か。
所で何から何までリードされてばかりだが、そこでふと思った。
実はこいつ、性行為に慣れてるんじゃないか?
処女膜貫通の感触と言う物がどの様な物か解らないが、特に痛がる素振りも無ければ、破瓜の形跡も無い。 いや、俺は別に処女に対しての拘りがある訳では無いが、風紀を乱してはならぬ筈のクラス委員長(元、ではある)が、実は乱れてました、では笑い話にもならないぞ。
「なぁ、あ、朝倉」
今宵何度目かの下らない思考を繰り広げながらも、腰はずっと動いてる訳で、息が絶え絶えになるのは仕方あるまい。
「はあぁん、なっ、なぁに?」
「お前、はっ、初めてなんだよな」
「ああんっ、な、何が?」
「……こんな事」
ストレートに「セックス」と言う事が出来れば容易いが、此処は一応オブラートに包んで言うのが紳士ってもんだろう。
「こんな事って、なぁにぃ?」
オブラートが溶けなかったのか? こいつには通用しなかったらしい。
「――セックスだよ」
結局、言っちまったよ。 全く、見た目は同年代の女子なんだから軽々しく言える言葉では無いのだがね。
朝倉が相手とは言え、躊躇いって物があるんだよ。 こっちには。
「ふふっ、気になるの?」
「ん、ま、まぁな」
「ひ・み・つ」
んな、何だと!?
「うふふふ、冗談よ。 隠し事は無しだもんね」
唇の端を軽く吊り上げて笑う朝倉に一瞬「あぁ、小悪魔って言うのは、こんな感じか」とイメージしてしまった俺には罪は無いと思いたい。
「あれよ」
「あれ、とは?」
朝倉が指を差した先にあった物は、紛う事無き北高指定のカバンであった。
「どう見ても普通の通学カバンだよな」
「あの中に入ってる物は?」
そうだな、寝る前に準備しておいた教科書類に、体育の授業があるから体操服だろ。 弁当は朝、母親に支度して貰うから入れて無いし……
「――学校に持って来ちゃいけない物、入ってるでしょ」
ん~、何の事かな? フフフ。
「……『Everyday、ポニーテール』」
だぁーっ! 大ヒットしたアイドルグループの曲名をパロディにしたタイトルを言わんで宜しい!
あぁ、そうですよ。 DVDが入ってますよ。 18歳未満閲覧禁止の代物ですよ。 谷口の野郎に返す為にカバンに入れておいたからな。
「み、見たのか?」
「うん」
「い、何時の間に!?」
「別に機械で再生しなくてもデータを吸い上げる事くらい、何て事無いわよ」
マジか。
「購入後トータルの再生回数。 その内、貴方が再生した回数。 どのチャプターが一番多く再生されたかまで」
や、止めてくれ! そんな情報必要無いだろ? 全く、俺にはプライバシーって無いのか。 一体何処に訴えれば良いのか、誰か教えてくれ。 あ、でも訴えるとなると『18禁DVD』見てた事バレるから、結局泣き寝入るしか選択肢は無い訳か。 やれやれ。
「ふふっ。 貴方って、あんな感じの娘が好みなの?」
「あぁ、まあな」
「ふぅん。 てっきり『変な女』が好みだって思ってたけど」
断じて違う、と俺の名誉の為に否定しておく。
「誰から聞いた」
「国木田君」
それ以外に居ないだろうよ。 全く、去年の国木田との会話を聞かれてただけでなく覚えて居たとはな。
「それにね」
と、朝倉は突然両手を伸ばし、俺の肩をガシっと掴んだと思ったら、今まで柔和な笑顔であったのを真顔にさせて
「――俺、実はポニーテール萌えなんだ」
「!?」
「いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則的なまでに似合ってたぞ」
な、なっ、何故朝倉がこの台詞を知っているんだ!
確かにこれは今を遡る事約一年前の今頃、俺がハルヒと二人きりでトンデモ空間に閉じ込められた時、元の世界に戻りたかった俺が吐いた一世一代の名台詞……いや、この場合は『迷台詞』と言うべきか……だったよ。
「ふふっ、ビックリした?」
当然だろ。
「長門さんが情報統合思念体に送ったデータにあったのよ」
なんてこった、あの出来事は一部始終バッチリ記録済みってか。
「そんなにポニーテールが好きなの?」
「あぁ」
「じゃあ、してあげよっか」
「何をだ」
「……ポニーテール」
はい、是非お願いします。 とまぁ、それは即答もするさ。 断る理由が全く無いからな。
「じゃあ体勢変えるね」
今度はわたしが上になるから、と互の下半身は繋がったまま朝倉は上体を起こし、俺に跨る体勢になった。
所謂、騎乗位って奴だ。
「んんっ」
そして徐々に腰をグラインドさせながら
「あああんっ」
髪留めのバレッタを外した。
暗闇の中、朝倉の秘部から滴る愛液が怪しげに光る結合部に、俺のいきり立つ陰茎が飲み込まれるのを確認した後、視線を徐々に上へと向ける。
――程よく括れた腰、その上には腰の動きとシンクロして激しく揺れ動く形の良い胸部。 その胸にバレッタを外した後の乱れた髪が垂れ下がっている。
そんな無造作に揺れてる髪を左手で掻き上げつつ
「あんっ。 い、今から束ねるからぁ……」
視線を虚ろにさせ、口元を微妙にだらしなく半開きにし、すっかり快楽に溺れてる様に見える朝倉の表情が、視線の行く先にあった。
ちなみに冷静に分析してる様に見える俺のこのモノローグではあるが、実の所、息は乱れ射精を我慢するのに精一杯であったのは、逐一語る事ではあるまい。 よって割愛させていただく。
「束ねるって言っても、ゴムとか持ってるのか」
「んっ、ううんっ。 も、持って、ないけどぉ」
バレッタを握る右手を差し出し
「こっ、これをぉ、あんっ、じょ、情報操作でぇ、んんっ……」
いや、無理しなくて良いぞ朝倉。
「えっ。 な、何でぇ?」
「……此処まで乱れた朝倉が、もの凄くいやらしく見えてな」
事実、このままポニーテールにして貰うより、髪を乱したままの姿が妖艶に見えて、俺の性欲を更に掻き立ててるのは間違い無いからな。
「んんっ、もう。 ばかぁ」
髪を掻き上げてた左手を俺の腰へと降ろし、再び腰を振り始める朝倉。
俺もただ攻められてばかりでは居られない、と湧き上がる射精感を逸らす目的を兼ねて反撃に転じる事にした。
文字通り手持ち無沙汰にしてた両腕を上げ、激しく揺れる朝倉の乳房へと、ゆっくり伸ばして行く。 そして
「あんっ」
挿入前と同様、柔らかい乳房をこねる様に撫で回す。
「んっ、あんっ。 それ、良いのぉ」
しかし先程と同様、と言うのも芸が無い。 そんな訳でDVDで仕入れた知識を此処で発揮させるとしますか。
朝倉の豊かに実った果実から一旦、手を離す。 すると
「えっ?」
名残惜しそうに朝倉が表情を少し曇らせた、かの様に見えた。 心配するなよ急進派、これから今以上の快楽を与えてやるよ。 と言わんばかりに俺は両手のひらを乳房の先端に移動させ
キュっ
「ひゃうん」
驚いたか? そうだろうよ、神経が乳房より集中してると言われてる部位を攻めたものだからな。
それは何処だって?
乳首だよ。
「はああん。 な、なにこれぇ」
おっ、これは思ったよりも好反応だな。 身体全体を痙攣させ、心無しか愛液の分泌量も増えてる様だ。
初めは人差し指で軽く乳首を撫でる程度だったが
「んんっ、もっと。 もっとぉ……」
更なる刺激を与える為、人差し指と中指で乳首を摘み、親指で少し強く乳首を転がす様に責め立てる。
「だ、駄目ぇ! こ、これ以上はぁぁぁん」
「んんっ、ど、どうした朝倉ぁ」
いかん、こっちも朝倉の反応に見とれてる場合じゃ無い。 快楽の海に溺れてるのは朝倉だけじゃ無かったな。 朝倉が快楽に溺れる度合いが高くなる程、蜜壷が凝縮し俺の愚息が比例して刺激される訳で
「え、ERROR!? Black Out? White Out? ……解読不能! も、もう駄目ぇ!!」
「うっ、や、やばい朝倉っ!」
パンパン、と互いの肌がぶつかり合う音が加速する程に猥声が部屋中に響き渡る。 そして
「おかしくなっちゃうよぉ!!」
「もう我慢出来ん! イクぞっ」
陰茎から白濁した液体が一気に朝倉の膣内に溢れんばかりに放たれた挙句
「はぁぁぁぁん……」
「うっ……」
――二人同時に果ててしまった。
俺は射精感をギリギリまで我慢した反動か、もう身体を動かすどころか喋るのも億劫に感じる。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「ハァ、ハァ、ハァ」
方や朝倉も絶頂感を味わったのか、俺の胸元へ倒れ込んで、呼吸を荒げたまま身体を横たえて居る状態だ。
「はあっ、凄く、あ、熱いのぉ」
暫くした後、先に口を開いたのは朝倉だった。
「な、何がだ?」
「貴方のおちん○んと精液」
再びストレートな台詞が朝倉の口から出て来たが、慣れと言うのは恐ろしい。 数時間前と比較して俺が朝倉の台詞に対して抵抗が無くなってるのは良い事なのだろうか。
尤も、完全に朝倉が復活して万が一、北高に戻った暁にクラスメイトの前で平然と卑猥な単語を口にしたとして、困るのは朝倉自身だと思うので自重する様に言った方が良いと感じるが。 さて、どうしたものか。
「そうか?」
「うん。 だって、もの凄く感じてエラーなのか何か良く解らないけど、ダウンしちゃったもの」
「あぁ、それは多分、イクって感覚だと思うぞ」
「……これが? それで『イク』って何?」
そこから説明の必要があるのかよ。
「絶頂って奴だ。 頭の中が真っ白になって、何も考える事が出来なくなるらしいぞ」
「ふうーん。 あ、あのDVDに出てた女の子もイクって言ってたわね」
だから、あのDVDの事は忘れてくれ。
「でも、何か怖いわね」
「何がだ」
おや、「死ぬのって怖い?」と言って死の概念が理解出来ない筈の朝倉が恐怖する程の事って何だ?
「情報連結解除された時には何も感じなかったけれど、肉体が完全なのにデータベースだけクラッシュするのって……ううん、データベースより『精神』と表現した方が相応しいのかしら。 ねぇ、これが死の概念?」
「いや、違うと思う」
確か女性は男性よりも性交により受ける快楽が大きく、それが行き着くと死に近い感覚になると何処かで見聞した記憶がある。 もしかして朝倉も、それに近い感覚を味わったのだろうか?
――今まで散々、朝倉に命の危機を味あわされた俺が、こんな形で反撃出来るとは思わなかったな。 勿論、朝倉の肉体に対して本当にダメージを与えた訳では無いのだが。
やっと動いた朝倉が少し腰を浮かせ、今まで繋がってた結合部分が離れると、精液と愛液の混合した粘り気のある液体が、蜜壷と陰茎が別れるのを惜しむかの如く最後に糸を引き、朝倉の秘部から流れ落ちて居るのが暗闇の中で見えた。
そのまま朝倉は俺の寝転んでいるベッドの右に、仰向けに並んで寝転んだ。
「そっかぁ。 でもね」
「何だ」
「ちょっと怖いけど、クセになっちゃいそう」
「何が?」
「……セックス」
あぁ、俺もだ。 と同意したいのは山々だが、本日登校する為に短時間でも睡眠を取らなければならない身分としては、此処で迂闊にYESと言えないのが少々残念な所だ。
恍惚な表情を浮かべる朝倉から視線を外し、ベッドの下に落とした掛け布団を取ろうと手を伸ばした刹那
「はうあっ」
誰だ、こんな間抜けな声を出したのは。
朝倉か? いや違う。 イメージに無い上に、こんな情けない声を出す訳が無い。 では誰か?
そう、俺だ。
では何故、こんな間抜けな声が出たのかって?
……不意を突かれたからに決まってるだろ。
(その3へ続く)
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