急に降り出した雨、気だるい休日、午後の喫茶店。
頬杖ついて眺めている、窓の外の濡れた路面。
テーブルの上には、気の抜けたクリーム・ソーダ。
人生と言う名のレース、勝敗と言う物が在るとすれば私は負けたのでしょうね。 『恋愛』と言うジャンルにおいて。
気付いていた恋心、精神病と片付けて逃げていた。 そして、失ってから理解する。 何もかも遅かった、と。
失った三年間を取り戻したくて、キミと同じ大学を選んだ。 彼女も同じ選択をする事を知っていても。
……現実には、取り戻すどころか、単なる確認になってしまったね。 知っていたよ、キミと彼女がお似合いのカップルだと言う事に。
最後に一度、足掻いてみたかっただけ。 仮面を完全に外す前に――
キミと彼女の間に『私』が入る隙は無かったね
そして邪な感情を抱いて居た自分に蹴りをつけて……。
「恋がしたかった」訳じゃ無い。 単純に「キミが好き」だった。
でも、キミが選んだのは彼女。 それならば……
クリーム・ソーダの向かいには、飲み干されたコーヒーのカップ。 キミと私の分のドリンク代。
そして、「直接渡したかった」と言われ、置かれた一枚の葉書。 『私の想い』に対する、キミの返答。 なのよね。
「ふふっ、私はキミに何も伝えて無いのに」
当日は盛大に祝福するわ。 『親友』として、キミのハレの日を……
「キョン、彼女とお幸せにね」
<Passing Rain> ~Fin~
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