――永遠なんて何処にも無い。 在るのは『今日』と言う現在だけ……
「SOS団を解散します!!」
ハルヒが瞳の奥を軽く滲ませながら、強い口調で高らかに宣言した
高校二年・三月初め
表向きは来年度の古泉の転校・長門のフィンランド留学・そして朝比奈さんの大学進学による事で、SOS団の五人が揃う事が無くなるから。 によっての解散原因だが、当然ながら事実は違う。
古泉は『機関』解散により、元居た故郷に帰還。 長門は情報統合思念体の消滅によって情報連結が解除される。
無論、俺も悪足掻きをしようと考えた。 が、所詮は何のチカラも無い一般人たる俺に出来る事は無く、只その事実を粛々と受けるしか無かった。
そして朝比奈さんは未来に帰る。 つまるところ
「涼宮さんの力が完全に消滅し、未来が確定しました」
まるで今までの出来事は全て祭りの様であり、残された俺は虚しくも過去の出来事として心の奥にしまうしか無かった。
ハルヒと共に。
そう、朝比奈さんの卒業式前日。 帰宅する道すがら、俺はハルヒに告白されたのだった。
SOS団が団員その一しか残らなかった寂しさか。 と思えば、さにあらず
「……ずっと、好きだったの」
と、こんな台詞を柔和な口調で言いながら、上目遣いでもされた日には
「だが断る!」
とか
「Noだ!」
と言う選択肢を選ぶアホは居ないと断言出来るね。 俺の答え? 勿論
「俺もだ」
え、「俺『も』だ」って事は以前からハルヒの事が好きだったって意味に聞こえるって? 言わせるなよ、恥ずかしい。
初見で
「どえらい美人がそこに居た」
と言ったのが誰かと考えれば、黙ってても解る事だろ? そう言う事だ。
でも、ハルヒが願えば朝比奈さんは未来へ帰る事も無く、長門も消滅せず普通の文学少女として存在し、少なくとも古泉は転校せず北高に残る。 と思ってた俺にとって、一抹の寂しさを感じたのは否定しないでおこう。
兎に角、ハルヒと二人。 この先、未来へ進んで行く。
北高から見渡した、眼下に広がる市街地と、その上空に広がる澄み切った青空が何時もより輝いて見えた。 そんな日だった。
「キョン、一緒に帰るわよ!」
「お、おう」
SOS団解散式、と言うか北高を離れる三人に対する送別会とも言うべきか。 文芸部室でのパーティが終わり、後片付けも済んだ所で、何時ものハイトーン・ボイスでハルヒが誘って来たので、それに従い帰路に着くべく下駄箱へ向かう。
そして我が下足入れに手を伸ばせば
「ん?」
「どうしたの? キョン」
「あ、いや。 何でも無い」
此処で素直に答えればハルヒの好奇心を刺激する事は間違い無い。 と瞬時に悟った俺は、全ては俺の勘違いと言う事で済ませる、とまぁ至極無難且つ当然の選択をする。
「あ、そう」
と特に気に留める事も無くハルヒは、それ以上問いもせず早々に靴を履き替え、校舎を出て行った。
そして俺は態とノンビリ上靴を脱いで、再び下駄箱へ手を伸ばしハルヒの姿が見えなくなったのを確認した後、違和感の元を取り除いた。
其処にあったのは可愛らしい便箋と、見覚えのある上品な文字列だった。 そう言えば、彼女の正式な所属先は書道部だったっけ。 と今更ながら思い出した。
『涼宮さんを送り届けたら 祝川沿いの公園に来て下さい みくる』
一読した後、丁寧に折りたたみ制服の上着に手紙をしまう。 と同時に下足を履き、小走りで校門に待っていたハルヒと合流する。
しかし一体何の用だ? 朝比奈さん。 いや、このパターンは朝比奈さん(大)か? この期に及んで面倒事があると思えないが、疑念を持たずに居られなかった。
「今年の桜は早く咲きそうね」
「そうか? まだまだ寒いぞ」
などと何時もと変わらぬトーンでハルヒと会話のキャッチボールを繰り広げれば
「じゃあね、キョン! また明日ね」
「おう、ハルヒ。 気を付けて帰れよ」
光陽園駅までの道程は、あっと言う間の出来事に感じた。 ハルヒと二人きりでの下校は、苦痛だったハイキングコースも気の所為か短く感じられるから不思議なものだ。 しかも明日からは登校も一緒だ。 果たしてハルヒとの待ち合わせ時刻に間に合う様に支度出来るだろうか。 少なくとも初日から遅刻、いや、ハルヒを待たせる様な事はしたくないから気をつけねば。
おっと、此処でノンビリしてる場合じゃなかったな。 さりとて今、足早に動けば祝川公園に向かう所をハルヒに見つかってしまう。
「母親に言いつけられた用事がある」
そう偽ってハルヒからの今後の誘いを断った手前、当のハルヒに行動がバレては不味いからな。 そんな理由で、一直線に祝川公園に向かうコースを取らず、少し遠回りとなる道を選択し自転車を進める。
公園横の空き地に自転車を停め、未だ桜の蕾も姿を現さない川沿いの並木道を歩く事、暫し
「あ、キョン君。 待ってましたよ」
「待たせて済みません、朝比奈さ……」
予想通り朝比奈さんが此処に居た。 が、待てよ? 確かに見た目からして朝比奈さんだが、朝比奈さんの様で居て朝比奈さんでは無い気が俺にはした。
いや、違う。
朝比奈さん(大)に呼ばれたと思い込んで来てみたら、見慣れた北高のセーラー服に身を包んだ朝比奈さんが居た。 が、しかし、どう見てもこの人物は朝比奈さん(小)では無い、と俺には瞬時に判断出来た。 これは一体どう言う事だ?
「うふふっ、気付いちゃった?」
「はい、何となくですが」
そう、北高指定のセーラー服に身を包んで登場したのは何と、朝比奈さん(大)だったのだ。
……これ、何て言うコスチューム・プレイ?
「久し振りに着てみたけど、懐かしいなぁ。 少しキツいけど」
そうでしょう、そうでしょう。 口には出しませんが、特に豊かな胸の膨らみとかなんて、制服の裾が持ち上がる程に凶悪なツインボムと化してますよ。 更に持ち上げられた裾から先程からチラチラと見えるクビレとか、臍部とか。 トドメにスカートの短さが強調される様なヒップラインとか……正直、たまりません。 と言うより目線のやり場に困るのですが。
「そ、そうですか?」
「もう、ちゃんと見て言ってますか!?」
「は、はい」
とは言うものの、当然直視出来る筈も無く、しどろもどろに返答するより他は無かった。
「それより朝比奈さん」
「はい」
「此処に呼び出した。 と言う事は又、何かハルヒ絡みで事件でも?」
そう言い終えた刹那
「うおっ」
「キャっ」
六甲颪が颯爽と、祝川の流れを追い越す様に、並木道を突き抜けて行った。 すると同時に
「おっ!」
「えっ?」
朝比奈さんのスカートが風を受けて膨らみ、淡く綺麗な太腿を――あれ?
「あ、朝比奈さん?」
「み、見ちゃいました?」
「……は、はい」
まさか、いや、まさかと思うが
「ふふふふっ。 下、履いてないの」
「ちょっ」
ちょっと、朝比奈さん(大)! 皆まで言わないで!! 女の子が軽々しく口にするんじゃありません。 いや、もう『女の子』では無く『女性』と言うべきか? そうじゃなくて
「な、何で」 下着を履いてないんですか。
「だって、そう言う指示なんだもん」
嬉々として答える朝比奈さんに向かって、もう俺は直視する事は出来なかった。 そう言う指示って未来からの指令なら何でも断らずに受けるんですかっ。 全く、やれやれだ。
「そんな訳で」
「はい?」
どんな訳なんだ、一体。
「目を閉じて、手を出して……」
やっと本題か。 全く、今度は過去・未来のどちらに行くんだ? そして今回の目的は何なんだ。 と思考の片隅で想像しながら指示に従う。
しかし、目を閉じ手を差し伸べても、中々朝比奈さんの手は握れない。 これは何か別の事があるのか? そう考えた矢先
「んんっ!?」
俺の唇に何か触れた。 そう、俺の二枚の唇と重なる様に、人間の皮膚であろう軽く生暖かい感触があった。
こ、これはもしかして……
しかし改めて考察してみるが、唇にしては堅い感触な気がした。
残念な事に、今まで他人の唇が己の唇に触れた出来事と言えばハルヒとの『あの一件』のみであるが、そのハルヒの唇の感触たるや、とても柔らかく例えるならマシュマロ以上の柔軟性か。 と言うべき感触だった。 が、朝比奈さん(大)の唇は違うのか? 皮質からして軽い硬さを感じ、更に少し骨っぽさすら認識させる物だった。 うむ、これが大人の唇なのか? と脳内で思考を漂わせていると
「ん、どうしたのキョン君。 顔が赤いよ?」
あれ、唇が触れて居る筈なのに何故はっきりと言葉が発する事が出来るのですか朝比奈さん。 と思いながら恐る恐る瞼を少しづつ開いてみると
「ふふっ、ドキドキしちゃった?」
顔から少し離れた所にあった朝比奈さんの顔に、悪戯っぽい笑みが浮かんでいるのが確認出来た。
くそったれ、騙された!! この俺のドキドキを返せ!!
「あはははっ、ゴメンね。 つい悪戯したくなっちゃって」
「もう、何やってるんですかっ!」
唇に触れてた朝比奈さんの右手二本の指をつかみ、軽く乱暴に引き離す。
「今度こそ真面目にやるから、目を閉じて……」
俺の両手を今度は先に握り、朝比奈さんは艶のある唇を動かし、言った。
いかん、今の一件で朝比奈さんの唇が気になって仕方ない。 普段なら気にもしない朝比奈さんの唇に塗られたグロスの鮮やかな薄紅色が、閉じられた筈の瞼に焼きついて脳裏から消去出来ないではないか。
俺も何せ思春期真っ只中。 あの艶かしい唇の存在を易易と脳裏から奪い去るのは不可能だ。 されど、このまま考え込んでも先に進まない。 脳裏の思考を振り払う様に瞼を更に強く閉じる。
今度は同じ悪戯をされぬ様、朝比奈さんの両手を少し強めに握りしめた。 が
「んんっ」
またしても唇に何かが触れた。 今度は何だ?
少し湿り気を感じる柔らかい感触が俺の二枚の唇に当たる。 しかも暖かい吐息と思われる風圧を人中に感じながら。 そして閉じた瞼からも解る暗がりが視界全体に覆うのも網膜で確認出来た。 全てを確認する為、指示に背いて目を開こうとした瞬間
「うっ」
何度も感じた時間移動の嫌な感触が全身を支配した。
「……君、起きて。 キョン君、ねぇ起きて」
「ん、あぁ、んんっ」
甘く囁く朝比奈さんの声に反応し、俺は徐々に寝転がっている身体を動かし始める。
以前はうらやまけしからん朝比奈さん(小)の膝枕での目覚め、なんて事もあったが今回は(残念ながら)違う様だ。 背中全体から伝わるのは何か柔らかい物に包まれる感触で、試しに手足を軽く動かすと、着ている北高指定のブレザー越しに、布地同士が擦れ合う音がした。
思い出したかの様に、ゆっくりと瞼を開けると
「あ、目が覚めたみたいね」
と上から覗き込む朝比奈さん(大)の顔が手に届く距離にあった。
所で、上から覗き込むならば通常、朝比奈さんの顔の横から長い栗色の髪が俺の顔面に向けて垂れ下がって来る筈なのだが
「ん、どうしたの?」
「あ、いや。 何でもありません」
と、完全に開いた目を動かし、視点をハッキリさせるべく至近距離にある朝比奈さんの顔から、ゆっくりと視線を移動させた時
「んなっ!?」
「え、どうしたのキョン君?」
え、どうしたの? じゃないですよ朝比奈さん!!
「あ、ポニーテールにしてみたんだけど。 似合ってるかなぁ?」
はい、とてもとても良くお似合いですよ。 道理で上から見下ろしても髪が垂れ下がって来なかった訳ですね。 と冷静な心理状況なら言えただろうが、とてもじゃないが冗談でもそう言える状況では無い。 慌てて朝比奈さんから視線を逸らしつつ
「な、何て格好してるんですかっ!」
「え? だって、お風呂から出たばかりなんだもん」
あぁ、そうですか。 それならバスタオル一枚で包まれた姿で居るのは当然ですよね。 特に胸元なんて隠そうとするのに抵抗するが如く、自己主張の余りハミ出しそうになってますし……じゃなくって
「こ、此処は何処ですか? 何で俺は此処に居るんですか!?」
かなり取り乱してるのが自分でも理解出来る程の激しい動きで身体を起こし、改めて周囲を見渡す。
つい今しがたまで自分の身を委ねていたのは、マイルームにあるそれの二倍以上はあろうかと言う横幅のあるベッド。 その枕元には多種多様のボタンの付いたコントロール・パネルと思わしき物。 間接照明により柔らかく照らされた室内には、これまた我が家にある物より二回りは大きいであろう液晶テレビがあり、逆に家庭用より一回り小型の冷蔵庫が部屋の片隅に置かれていた。 作者不詳の絵画が飾られた見慣れぬ部屋、此処は明らかに朝比奈さんの私室では無く
「此処はラブホテルよ」
俺の思考を読むが如く、朝比奈さんは恥ずかし気も無くアッサリと、俺の耳元で優しく吐息を吹きかけながら言い放った。
「え?」
「だ・か・ら、ラブホテルよ」
「そうじゃなくて」
「キョン君が聞きたいのは『此処が何処』じゃなくて『何故、此処に連れて来られたか』だよね」
解ってるじゃないですか朝比奈さん。 で、そもそも今は過去ですか? それとも未来ですか?
あ、もし未来に来たならば、折角なので俺の将来の姿を見てみたいですね。
――幸せな未来だったら、の話ですが。
「詳しい理由は今、話せないけど。 過去か未来のどちらかと言われると、過去ね」
何だ残念。 そもそも朝比奈さんのTPDDで現代より未来に行った事は無いから、どうせ今回も規定事項の為の時間移動だろうね。
「あの、朝比奈さん」
「何ですか」
「朝比奈さんとラブホテルに居る事が規定事項と何か関係があるのですか?」
その至極当然な俺の問いに対して朝比奈さんは
「そうね、規定事項と言えばそれまでなんだけど……」
と何時もの愛らしい笑顔で言ったかと思えば
「えいっ!」
「うわっ!?」
突然、朝比奈さんは俺の両肩を力強く両手で押した。 当然、不意を突かれた形になるので俺はチカラなく再びベッドへ仰向けになった。 が、先程と異なるのは
「…………」
「…………」
俺の上に朝比奈さん(大)が覆いかぶさり、続いて互いの唇が触れたと言う事だった。 余りに突拍子も無く発生したイベントに対し心の準備なんぞ出来ている筈も無く、此処は目を閉じた方がマナーとしては良いだろうとか、それより唇に感じるこの柔らかさは先程、TPDDで時間移動する前に感じたモノと一緒だとか、この鼻腔を仄かに刺激するシャンプーなのかボディソープの香りは良いなとか、あれやこれや脳内で思考の渦がハリケーンの如く巡り巡ってクラクラしそうだ。
お陰で上に居る朝比奈さんを拒否すべく手を伸ばす事も、逆に受け入れるべく手を回す事も出来ず暫くした後、朝比奈さんの唇が離れるまでの間、切り倒された丸太の如く、只、黙して横たわるのみだった。
「あら、動じないのね。 もしかしてキスとか、慣れてたり?」
する訳無いでしょ。 人間、不意を突かれると何も出来ないのが道理だと思わないんですか。
「あ、でも」
そう言いながら朝比奈さんは上半身を起こし、俺に対して馬乗りの姿勢に変えて
「此処は違うみたいね」
嬉しそうに笑みを浮かべなら、少しキツめの制服のズボンの下でパンパンに膨れ上がった俺の愚息に、あてがった自分の下半身を軽く前後にこすりつける。
幾ら制服のズボン越しとは言え、タオル一枚イコール何も履いてないであろう朝比奈さんの下半身に密着してると言う事実は、今まで散々受けた刺激とも相まって、愚息を更に硬直させるに充分過ぎる理由だ。 それにしても
「何で朝比奈さんは、俺に、こんな事を」
「知りたい?」
「はい」
そりゃ当然でしょう。 幾ら朝比奈さん(大)とは言え、いきなり理由も無く俺に対してこんな破廉恥な事をするとは思えないし……いや、嬉しいか嬉しくないかと問われたらそれは嬉しいに決まってる。 が、こちらにも心の準備と言うものがあるし、そもそも俺は今、ハルヒと――
「好きだから、に決まってるでしょ!!」
やおら顔を強ばらせ、聞き分けの無い子供を叱るかの如く、朝比奈さんは怒鳴り始めた。
「好きだけど、キョン君は涼宮さんと結ばれるのが規定事項だから我慢してガマンして……でも、せめて身近な存在でありたいと思ったから『みくるちゃん』って呼んで欲しいと頼んだ。 けど、貴方は一度もそうは呼んでくれず、色々と二人きりになる機会があっても規定事項がらみの事ばかり! だから、だから」
怒気が徐々に薄れ始めると、入れ替わる様に哀愁を漂わせる表情に変化させた朝比奈さんは
「せめて、涼宮さんより先に」
身を包んでいたバスタオルを勢いよく剥ぎ取り、ベッド横の床へ叩きつけた。
「キョン君の童貞を戴くわ!!」
今までバスタオルで圧迫されてた胸部の膨らみが勢いよく弾け、その下には胸部と反比例するかの様に括れたウエスト。 更に下半身に視線を移せば髪の毛と同じ栗色に染まる陰毛が薄く生え揃う陰部が……
俺の愚息ことジョン・スミスもズボンの呪縛を早く解け! とばかりに自己主張を繰り広げている。 確かにハルヒに魅力を感じ付き合って居る(とは言え、実際にはまだ一日も経過して居ない)のだが、流石に目前でこんなあられもない、正に一糸纒わぬナイスバディが披露される場面に出くわせば、どんな堅物でもイチコロだろう。
ましてや思春期真っ盛りの男子高校生にとって、寧ろ強すぎる刺激を与える代物だ。 これに反応しない男性は医師の診断を速やかに受けるべきだと断言するね。
何時の間にか柔和な表情に戻った朝比奈さんは
「うふふっ、苦しそうね。 今、楽にしてあげる」
と、微妙に怪しげなトーンの声で言いながら、俺のズボンのベルトを緩め始める。
続いて馬乗りの体勢から腰を軽く浮かせ、左手を俺の下腹部に優しく置いたまま、右手をズボンのジッパーに伸ばした。
まるで遊びたい盛りの仔犬が小屋から出たがるのを制するかの如く、ゆっくり、ゆっくりと半ば焦らす様にジッパーを開ける。 終いには愚息の盛り上がるチカラのみで全開に出来そうな程だったが、結局朝比奈さんが全て下ろし続いてズボンのホックを外す。
「ふふふっ、凄いね。 キョン君のおちんちん」
呪縛から完全に解き放たれ、いきり立つ我が分身を愛おしむかの様に見つめながら朝比奈さん(大)は、そっと呟いた。
――しれっと「おちんちん」なんて卑猥な単語を言わないで下さい。 もし『朝比奈みくるファンクラブ』が実在したならば、会員の殆どは卒倒すること必至ですよ。
右手でトランクス越しに愚息を撫で始めつつ、俺を跨ぐ体勢から改まり広げた両足の間に屈み、更に左手は睾丸を包む様に添え
ペロっ
「うっ」
トランクス越しにではあるが、俺の愚息に舌を這わせた。
「あ、朝比奈さんっ」
「ふふふふっ、気持ち良いでしょ?」
えぇ、そりゃ勿論です。 童貞にとって、寧ろ刺激的です。 じゃなくって
「き、汚いですよ」
シャワーも浴びてないですし
「じゃあ、綺麗にしてあげる」
そう言いながら朝比奈さん(大)は舐めるのを止め、両手で俺のトランクスをゆっくり脱がせ始めた。
「え、ちょ、ちょっと!?」
しかも、いきり立つ愚息にトランクスのゴムが当たらない様に左手でゴムの部分を持ち上げながら優しく脱がせた事に対し、もしかして朝比奈さん(大)は、男の下着を脱がせ慣れてるのか? と、ふと思ったのは此処だけの秘密だ。 男性の事を良く知らない女性なら、そこまで気を回す事なく一気に下着を脱がせても不思議では無いからな。
こうして俺の下半身を全てさらけ出させておいて
「かったーい。 あ、凄い。 ビクンビクン波打ってる!」
楽しそうにジョン・スミスを半ば玩具にしてるかの様に、右手の指先で触り始めた。
「もの凄く熱くなってる」
そりゃ血流が激しくなってる故に、等と言う事は解ってるが妙齢の女性、しかも少なからず好意を寄せてた人間に触れられてると言う事実もまた、興奮材料になってるのは確かだ。
幸いな事に未だ射精に達する程の快楽を得て居ないから当分の間、勃起は持続すると思われるので、早々とまぐわいたい。 そう思ったのは今までの経過を見れば致し方ないだろう。 そんな俺の心境の変化を察したのか
「したくなっちゃった?」
「……はい」
「うん、正直で宜しい」
何時ぞやの信念は何処へやら、ハルヒの事はすっかり脳内からデリートされ俺は今、目前にある快楽と言う名の花園へ向かう列車に飛び乗る寸前だ。 が
「でもね」
「何ですか」
「お・あ・ず・け・よ」
そんな殺生な! 此処までボルテージを上げておいて、生殺しだ!!
と本気で叫びたい所だったが必死の思いで抑え、何とか冷静を保とうとする。
「あ、未だ綺麗にして無いからですか?」
「そうよ」
朝比奈さんは愚息から手を離し、何故か胸元を俺の股間に近づける。 続いて右手を再び陰茎に伸ばし軽く掴み、左手をたわわな乳房に添えて、胸の谷間に愚息を包み込んだ。
確かに普通なら『挟む』と言う表現が当て嵌るだろう。 しかし余りに豊満な朝比奈さん(大)のバスト故、完全に陰茎が飲み込まれてしまったので『包む』と言う表現がピッタリと思う。
これが
「パイズリ、行くわよ」
いや、だから朝比奈さん。 一々言わないで下さい、はしたないですよ。
しかし柔らかいなぁ、朝比奈さんの胸。 羨ましいぞジョン・スミスめ! 手で触れる前に朝比奈さんのバストに触れやがって、この!
所で柔らかい上に適度に心地よい程の温かさを持ったバストと言うのは愚息を通して解るのだが、いかがわしい18歳未満閲覧禁止の媒体で閲覧した、同様の行為を受ける男優の反応をする程には快楽を得ないな。 と思うのが本音だった。
え、アダルトビデオは18歳未満閲覧禁止の筈だから高校二年生のお前が閲覧するのは法を犯すだろ。 って?
逆に問うが、18歳未満でアダルトビデオ見た事無い男子が我が国に居ないと言えるのか。
(その2へ続く)
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