(その2より)
<Nocturne~ノクチュルヌ~>
……またやって来たぜ灰色空間。 理由は知らんが勘弁してくれ、ハルヒよ。
舞台は、またしても北高。 そして此処はSOS団の部室内である。
「ハルヒはどこだ」
「ここよ」 うおっ、探すまでも無かったな。
「それより、また何よ。 この薄気味悪い夢の中は」
「ほうハルヒよ、これは夢だと自覚あるのか?」
「あったり前じゃない、こんな灰色に染まった景色のドコが現実なのよ」 良かったな古泉。 一応お前の言う通り常識はあるらしいぞ、こいつ。
まあ、こんな空間を発生させてる時点で常識の範疇を超えてるがな、既に。
「しっかし、前にも同じ様な夢を見たんだけど、何であんたと2人なのかしら」
「さあな、不満なのか」
「……別に」
しかしながら、この空間は『世界再構築』の舞台だっけ。 古泉言う所の『アダムとイブ』になりかねない訳なんだ――って、何でハルヒに選ばれたのがこの俺なんだろうな。 全く理解出来んな。
「ねえ、キョン」
「何だ、ハルヒ」
「あんた、涼子の事、どう思ってるの?」
「夢の中の人物に聞いても仕方無いんじゃあないのか」 何で急に涼子なんだ? 理解に苦しむ。
「確かにそうよね。 でも一応聞いとくわ、答えは?」
「正直解らん。 向こうは好意を持ってくれてるみたいだが、俺の気持ちは……」
「ぷっ」
「何が可笑しい」
「だって、あんた真剣に答えてるんだもん、笑っちゃうわ。 ますます現実のキョンに見えて来るわね」
「ほっとけ」 それなら仕返ししてやりますか。
「ならハルヒは、俺の事どう思ってるんだ?」
「ほぇ?」 間抜け面、って言ってやりたくなる顔だぞ。 北高5大美女(俺調べ)の内の1人のする顔じゃ無いぞ。
「そ、そう言うあんたは、あたしの事を……」
「質問を質問で返すな」
「むぅ」 アヒル口でむくれてるな。 これはこれで何か可愛いな――おいおい俺よ、誰の事が可愛いって? 血迷ったか!?
「あたしは、あんたの事が、す、す……あ~っ。 もう、夢の中の相手に言えないなんて。 あたしって案外とヘタレね」
「ほう、SOS団団長・涼宮ハルヒ様ともあろうお方が、何を迷ってらっしゃるので?」
「う、う、うっさいキョン! 大体何よ、人の夢に勝手に入って来て。 夢の中位、あたしの思う通りになりなさいよ!」
無理言うな。 勝手に巻き込んでおいて、酷い言い草だな。
「俺は自分の意思で此処に居る訳では無いのだがな」
「それもそうよね、じゃあ――」 そう言って俺に近づいて来たハルヒは
ギュッ 抱きついて来た
「あ、あのハルヒ? どうした急に」
「わ、悪い? 抱きついてんのよ」 そりゃ見れば解りますってば。
「せめて夢の中位、素直で居させてよ。 キョン」
「そうか……悪かったな、ハルヒ」
「ねえ、キョン」
「何だ?」
「あんた、好きな人、居る?」
「返答に困るが、気になる奴なら……居る。 かな」
「そう。 あたしも居るわ」
胸の奥がズキリと痛む、何故だ。 しかし、コイツの好きな奴って
「あんたよ、キョン」
そうか、俺か――って、ええっ? お、俺!?
「夢の中だから言えるんだけど、SOS団を作るきっかけを与えてくれて、あたしの我が儘聞いてくれて、普段ぶっきらぼうなクセに時折見せてくれる優しさが……ううん、キョンの全部が大好きなの!」
え、あ、あの涼宮ハルヒが!? そうだ、これは夢だ。 フロイト先生大爆笑の夢なんだ! そうだ、そうに決まってる!!
……長門、この空間から戻って来たらワルサーP38を俺の所へ持って来てくれ。 当然、実弾入りでな。
「あんたの好きな人って、涼子?」
「な、何故そうなる」
「だって転校してった時の冷静さや、戻って来てからの仲の良さを見てると……しかも最近、あんたも『涼子』って呼んでるし。」
「あれは向こうが呼んでくれって」
「あと、これはあたしの勝手な憶測なんだけど――あんたって、みくるちゃんや有希には普段から優しくしてるけど、あたしや涼子には厳しいのよね。 でも、時折優しい表情してくれる。 もしかしてキョンって『ツンデレ』なのかな……って」
「何言ってるんだ。 しかも何だ? 『ツンデレ』って」
「――相変わらず鈍いのね。 夢の中も、か。 まあ、その方があんたらしいわ」
さて、そろそろこの空間から抜け出したい所なのだが、やはり脱出方法は
「キョン!」
「は、ハイっ!」
「何を驚いてるのよ、まあ良いわ。 実はね、以前同じ様な夢を見たの。 あの時は……あんた『ポニーテール萌え』とか言って、あたしにキスして来たのよ!」
はい、しっかり覚えていますよ。 忘れるものかよ、俺の『ファーストキス』なんだからな。
「だから、今回は……あたしからさせなさい! あと、夢の中じゃ無く、現実でも素直になってよね」
「解ったよ」
でも、この台詞を真に受けて、現実世界で素直になったとしたら、それはそれでマズいのだがな。 それ以前に俺は普段から素直なつもりだ――って思ってる傍から抱きしめる力が強くなって顔が近づいて来た
チュッ
……ええ、確かに悪い気はしませんよ。 良くも悪くも『涼宮ハルヒ』から好意を受け、更にキスまでされて。 しかしだな、その何と言うか――
ズドン!
ベッドから落ちた。 長門、例のブツは枕元に……無いか、やっぱ。
うお~っ、こっ恥ずかしい! フロイト先生、そしてユング先生。 お2方は俺に恨みでもお持ちで? お墓参りでもして成仏……って、仏教徒じゃないですよね。
<Answer>
ガチャ
俺の部屋の扉が開く。 おい妹よ、入る時はノックしろとあれ程。 って、こんな夜中に? トイレに起きた帰りに寝ぼけて入って来たか。 それとも寝ぼけて居るのは俺の方か? 答えはどれも違った。
「キョン君、久し振り。 そして、おかえりなさい。 今回も無事で何よりです」
と、特盛――じゃ無かった、朝比奈さん(大)!?
「あ、朝比奈さん(大)、何でこk「声が大きいわよ」」 そう言えば夜中の3時だった。
「それより、そろそろ古泉君から電話があるわ」
まさかと思うが、それを言う為だけn『ピロロロロ……』 ええい、古泉の奴!
『おはようございます』
「おう、用件は何だ? こんな夜中に」
『失礼致しました、非常識な時間であるのは承知しておりますが「この時間なら起きてる」と今、貴方の隣にいるであろう方から言われたのですが』
「朝比奈さん、か」
『はい、どちらにしろ時間が時間ですので手短に用件を済ませたいと思います。 昨日の涼宮さんの誕生パーティー以降、閉鎖空間が発生しまして……それらは我々の方で対処できる規模の物だったのですが。 日付が変わった頃、急に我々では対応出来ない閉鎖空間が発生しました』
「前回はそれでも、お前は入れたじゃないか」 紅玉になってな
『今回は更に強力で。 長門さんや朝倉さんもお手上げで、貴方に全てを委ねるしか無かったのです』
「そうか」
『本当に貴方には感謝しております』
「いや、礼は要らん。 俺としては別に世界を救ったとか言う自覚は無いしな……所で古泉」
『何でしょう?』
「何でハルヒに選ばれたのが俺なんだ?」
『鏡、見ました?』
「相変わらずの間抜け面が映ってたが」
『それでは今度は自分の胸に手を当てて考えて下さい! 夜分にどうも失礼しました!』
「おう」 何か最後は怒ってたのは気のせいか? 電話が切れた。 自分の胸、か。 朝比奈さんみたいに特盛じゃあ――
「そう言う意味じゃありません!!」
うおっ、朝比奈さん(大)!? そこに居たんだっけ、忘れてました。 ごめんなさい。
「全くもう、キョン君!」
「は、はいっ!」
何故か朝比奈さん(大)、強気だな。 以前の朝比奈さん(小)と言い。 ゴッ○ゥーザ様の成分でも混ざったのだろうか?
「中の人は関係ありません!」 うわ、モノローグが漏れてたか!? それとも朝比奈さん(大)は超能力まで身につけているのか?
「そんな事より、わたしが此処に居る理由はキョン君の後押しをする為です」
「はい?」
「涼宮さんが閉鎖空間を発生させた理由が解りますか」
いくら俺が鈍いと言っても、さっきのハルヒの発言から考えれば、何となくではあるが解る気がするが
「ハルヒが涼子にライバル心を燃やした結果、でしょうか」
「正解。 キョン君を巡って、ね♪ だからキョン君は涼宮さんと朝倉さんに答えてあげないといけないの。 あの2人の、それぞれの気持ちに対しての返事を」
「……そうですね」
「答え、出ましたか」
「正直、まだです。 でも朝比奈さん(大)が後押しして下さるのでしたら、答えは出そうです」
「――2人が羨ましいな」
「え、どうしましたか、朝比奈さん(大)?」
「ううん、何でも無いわ」
「所で朝比奈さん(大)、俺が選んだ結果は未来にとって間違って無かったのでしょうか?」
「はい、だからキョン君の素直な気持ちを伝えて下さい。 キョン君の選択は『既定事項』です」
「ありがとうございます、朝比奈さん(大)」
「こちらこそゴメンなさい、こんな夜中に」 いえいえ、朝比奈さんが来て下さるのでしたら、何時だろうと構いませんよ……部屋の掃除、普段からしておけば良かった。
「じゃあね」
扉の方へ向かって歩き出した朝比奈さん(大)だったが
「あ、忘れ物しちゃった」 TPDDですか? 忘れたら帰れませんよ、と思った次の瞬間――
チュッ え!?
「お・ま・じ・な・い♪」
「あ、あ、朝比n「シーッ、声が大きいよキョン君、そんな口には~」
以下、禁則事項だ。 黙秘権を行使する。 え、『大人の階段』は登ってないぞ、残念ながら。
帰り際に「どうだったかしら、『大人のキス』は」と言って満足そうに朝比奈さん(大)が帰って行ったのは気のせいだろう、多分。
え、全部言ってる? まあ、あれだ、俺の口の潤滑油が規定量を超えていたせいなんだろうよ。
――色んな意味で二度寝出来なかった、眠い!
朝、何時もの時間に涼子はやって来た
カチャ ノックしろよな
「おう、おはよう」
「あら、起きてたの? 珍しいわね。 おはよう、キョン君♪」 制服+エプロン+ポニテの破壊力抜群の格好の涼子は、俺の近くまでやって来た
「昨晩はお疲れ様。 私や長門さんが何も出来なかったのに、あなたは一人で解決してくれた。 ありがとね」
「礼はいらん。 別に誰かの為にやった訳じゃ無い」
「あれから眠れなかった?」
「ああ」
「そっか、ゴメンね『起きてたの、珍しい』って言って」
「別に構わんぞ。 気にしてないし、実際その通りなんだからな」
――朝比奈さん(大)が帰ってから、涼子が来るまで、俺は考え事をしていた。
『ハルヒと涼子・どちらを選ぶか』
二人とも、こんな凡人代表な俺を好きと言ってくれている。 この一ヶ月、朝食や弁当を作ってくれて。
それに対して俺は何もしてなかった。 しかし、何時までも2人を待たせる訳には行かない。
「涼子」
「え、何?」
「少し時間あるか」
「5分位なら。 まだ朝食の支度、少し残ってるし」
「そうか、スマンな。 涼子、そろそろ俺の気持ちをハッキリさせておきたい。 俺は――」
……俺の回答を聞いた涼子は少し驚いた様な表情を浮かべていた。
「そっか、それがキョン君の気持ちね、解ったわ。 所で涼宮さんには何時、言うの?」
「今日、登校したら直ぐに、かな。 出来れば早めの方が良いだろ」
「そうね……さあ、朝ごはんの支度の続きをしなきゃ! 先に下に行ってるね♪」
AAランク+の笑顔になった涼子は、そう言い残して階段を降りて行った。
何時もの様にハイキングコースを登り登校、そして教室に入る。 既にハルヒは自分の席に居た。
「ようハルヒ。 おはよう」
「おはよう涼宮さん」
「――おはよ。 涼子、キョン」
「今日は金曜日なのに、どうしたの?」
そう言えば今日は『2人で当番』の日だったっけ、忘れてたぞ。
「あ、ごめん。 昨日の夜、ちょっと悪夢を見てね。 それから眠れなくって」 アレのせい、か。
「なあ、ハルヒ」
「な、何?」
「話したい事があるんだが、少し来てくれないか?」
「え?」 少し戸惑うハルヒ
「いいけど、涼子は?」
「私は良いわ、気にしないで」
屋上に向かう階段を登った先。 そう、ここは
「ハルヒに『新しい部活を作る』と言われて」
「ここにキョンを連れて来たわね」
「なあ、ハルヒ」
「何よ改まって、HRまであんまり時間無いんだから」
「解ってるって。 ハルヒ、そろそろ俺の気持ちをハッキリさせておきたい。 俺は――」
……俺の回答を聞いたハルヒは少し驚いた様な表情を浮かべていた。
「キョン、それが答え?」
「ああ」
「涼子には?」
「もう伝えてある」
「そう、解ったわ……さあ、HR始まるわ。 教室に戻るわよ、キョン!」
100wの笑顔になったハルヒは、俺より先に階段を降りて行った。
(その4へ続く)
<Nocturne~ノクチュルヌ~>
……またやって来たぜ灰色空間。 理由は知らんが勘弁してくれ、ハルヒよ。
舞台は、またしても北高。 そして此処はSOS団の部室内である。
「ハルヒはどこだ」
「ここよ」 うおっ、探すまでも無かったな。
「それより、また何よ。 この薄気味悪い夢の中は」
「ほうハルヒよ、これは夢だと自覚あるのか?」
「あったり前じゃない、こんな灰色に染まった景色のドコが現実なのよ」 良かったな古泉。 一応お前の言う通り常識はあるらしいぞ、こいつ。
まあ、こんな空間を発生させてる時点で常識の範疇を超えてるがな、既に。
「しっかし、前にも同じ様な夢を見たんだけど、何であんたと2人なのかしら」
「さあな、不満なのか」
「……別に」
しかしながら、この空間は『世界再構築』の舞台だっけ。 古泉言う所の『アダムとイブ』になりかねない訳なんだ――って、何でハルヒに選ばれたのがこの俺なんだろうな。 全く理解出来んな。
「ねえ、キョン」
「何だ、ハルヒ」
「あんた、涼子の事、どう思ってるの?」
「夢の中の人物に聞いても仕方無いんじゃあないのか」 何で急に涼子なんだ? 理解に苦しむ。
「確かにそうよね。 でも一応聞いとくわ、答えは?」
「正直解らん。 向こうは好意を持ってくれてるみたいだが、俺の気持ちは……」
「ぷっ」
「何が可笑しい」
「だって、あんた真剣に答えてるんだもん、笑っちゃうわ。 ますます現実のキョンに見えて来るわね」
「ほっとけ」 それなら仕返ししてやりますか。
「ならハルヒは、俺の事どう思ってるんだ?」
「ほぇ?」 間抜け面、って言ってやりたくなる顔だぞ。 北高5大美女(俺調べ)の内の1人のする顔じゃ無いぞ。
「そ、そう言うあんたは、あたしの事を……」
「質問を質問で返すな」
「むぅ」 アヒル口でむくれてるな。 これはこれで何か可愛いな――おいおい俺よ、誰の事が可愛いって? 血迷ったか!?
「あたしは、あんたの事が、す、す……あ~っ。 もう、夢の中の相手に言えないなんて。 あたしって案外とヘタレね」
「ほう、SOS団団長・涼宮ハルヒ様ともあろうお方が、何を迷ってらっしゃるので?」
「う、う、うっさいキョン! 大体何よ、人の夢に勝手に入って来て。 夢の中位、あたしの思う通りになりなさいよ!」
無理言うな。 勝手に巻き込んでおいて、酷い言い草だな。
「俺は自分の意思で此処に居る訳では無いのだがな」
「それもそうよね、じゃあ――」 そう言って俺に近づいて来たハルヒは
ギュッ 抱きついて来た
「あ、あのハルヒ? どうした急に」
「わ、悪い? 抱きついてんのよ」 そりゃ見れば解りますってば。
「せめて夢の中位、素直で居させてよ。 キョン」
「そうか……悪かったな、ハルヒ」
「ねえ、キョン」
「何だ?」
「あんた、好きな人、居る?」
「返答に困るが、気になる奴なら……居る。 かな」
「そう。 あたしも居るわ」
胸の奥がズキリと痛む、何故だ。 しかし、コイツの好きな奴って
「あんたよ、キョン」
そうか、俺か――って、ええっ? お、俺!?
「夢の中だから言えるんだけど、SOS団を作るきっかけを与えてくれて、あたしの我が儘聞いてくれて、普段ぶっきらぼうなクセに時折見せてくれる優しさが……ううん、キョンの全部が大好きなの!」
え、あ、あの涼宮ハルヒが!? そうだ、これは夢だ。 フロイト先生大爆笑の夢なんだ! そうだ、そうに決まってる!!
……長門、この空間から戻って来たらワルサーP38を俺の所へ持って来てくれ。 当然、実弾入りでな。
「あんたの好きな人って、涼子?」
「な、何故そうなる」
「だって転校してった時の冷静さや、戻って来てからの仲の良さを見てると……しかも最近、あんたも『涼子』って呼んでるし。」
「あれは向こうが呼んでくれって」
「あと、これはあたしの勝手な憶測なんだけど――あんたって、みくるちゃんや有希には普段から優しくしてるけど、あたしや涼子には厳しいのよね。 でも、時折優しい表情してくれる。 もしかしてキョンって『ツンデレ』なのかな……って」
「何言ってるんだ。 しかも何だ? 『ツンデレ』って」
「――相変わらず鈍いのね。 夢の中も、か。 まあ、その方があんたらしいわ」
さて、そろそろこの空間から抜け出したい所なのだが、やはり脱出方法は
「キョン!」
「は、ハイっ!」
「何を驚いてるのよ、まあ良いわ。 実はね、以前同じ様な夢を見たの。 あの時は……あんた『ポニーテール萌え』とか言って、あたしにキスして来たのよ!」
はい、しっかり覚えていますよ。 忘れるものかよ、俺の『ファーストキス』なんだからな。
「だから、今回は……あたしからさせなさい! あと、夢の中じゃ無く、現実でも素直になってよね」
「解ったよ」
でも、この台詞を真に受けて、現実世界で素直になったとしたら、それはそれでマズいのだがな。 それ以前に俺は普段から素直なつもりだ――って思ってる傍から抱きしめる力が強くなって顔が近づいて来た
チュッ
……ええ、確かに悪い気はしませんよ。 良くも悪くも『涼宮ハルヒ』から好意を受け、更にキスまでされて。 しかしだな、その何と言うか――
ズドン!
ベッドから落ちた。 長門、例のブツは枕元に……無いか、やっぱ。
うお~っ、こっ恥ずかしい! フロイト先生、そしてユング先生。 お2方は俺に恨みでもお持ちで? お墓参りでもして成仏……って、仏教徒じゃないですよね。
<Answer>
ガチャ
俺の部屋の扉が開く。 おい妹よ、入る時はノックしろとあれ程。 って、こんな夜中に? トイレに起きた帰りに寝ぼけて入って来たか。 それとも寝ぼけて居るのは俺の方か? 答えはどれも違った。
「キョン君、久し振り。 そして、おかえりなさい。 今回も無事で何よりです」
と、特盛――じゃ無かった、朝比奈さん(大)!?
「あ、朝比奈さん(大)、何でこk「声が大きいわよ」」 そう言えば夜中の3時だった。
「それより、そろそろ古泉君から電話があるわ」
まさかと思うが、それを言う為だけn『ピロロロロ……』 ええい、古泉の奴!
『おはようございます』
「おう、用件は何だ? こんな夜中に」
『失礼致しました、非常識な時間であるのは承知しておりますが「この時間なら起きてる」と今、貴方の隣にいるであろう方から言われたのですが』
「朝比奈さん、か」
『はい、どちらにしろ時間が時間ですので手短に用件を済ませたいと思います。 昨日の涼宮さんの誕生パーティー以降、閉鎖空間が発生しまして……それらは我々の方で対処できる規模の物だったのですが。 日付が変わった頃、急に我々では対応出来ない閉鎖空間が発生しました』
「前回はそれでも、お前は入れたじゃないか」 紅玉になってな
『今回は更に強力で。 長門さんや朝倉さんもお手上げで、貴方に全てを委ねるしか無かったのです』
「そうか」
『本当に貴方には感謝しております』
「いや、礼は要らん。 俺としては別に世界を救ったとか言う自覚は無いしな……所で古泉」
『何でしょう?』
「何でハルヒに選ばれたのが俺なんだ?」
『鏡、見ました?』
「相変わらずの間抜け面が映ってたが」
『それでは今度は自分の胸に手を当てて考えて下さい! 夜分にどうも失礼しました!』
「おう」 何か最後は怒ってたのは気のせいか? 電話が切れた。 自分の胸、か。 朝比奈さんみたいに特盛じゃあ――
「そう言う意味じゃありません!!」
うおっ、朝比奈さん(大)!? そこに居たんだっけ、忘れてました。 ごめんなさい。
「全くもう、キョン君!」
「は、はいっ!」
何故か朝比奈さん(大)、強気だな。 以前の朝比奈さん(小)と言い。 ゴッ○ゥーザ様の成分でも混ざったのだろうか?
「中の人は関係ありません!」 うわ、モノローグが漏れてたか!? それとも朝比奈さん(大)は超能力まで身につけているのか?
「そんな事より、わたしが此処に居る理由はキョン君の後押しをする為です」
「はい?」
「涼宮さんが閉鎖空間を発生させた理由が解りますか」
いくら俺が鈍いと言っても、さっきのハルヒの発言から考えれば、何となくではあるが解る気がするが
「ハルヒが涼子にライバル心を燃やした結果、でしょうか」
「正解。 キョン君を巡って、ね♪ だからキョン君は涼宮さんと朝倉さんに答えてあげないといけないの。 あの2人の、それぞれの気持ちに対しての返事を」
「……そうですね」
「答え、出ましたか」
「正直、まだです。 でも朝比奈さん(大)が後押しして下さるのでしたら、答えは出そうです」
「――2人が羨ましいな」
「え、どうしましたか、朝比奈さん(大)?」
「ううん、何でも無いわ」
「所で朝比奈さん(大)、俺が選んだ結果は未来にとって間違って無かったのでしょうか?」
「はい、だからキョン君の素直な気持ちを伝えて下さい。 キョン君の選択は『既定事項』です」
「ありがとうございます、朝比奈さん(大)」
「こちらこそゴメンなさい、こんな夜中に」 いえいえ、朝比奈さんが来て下さるのでしたら、何時だろうと構いませんよ……部屋の掃除、普段からしておけば良かった。
「じゃあね」
扉の方へ向かって歩き出した朝比奈さん(大)だったが
「あ、忘れ物しちゃった」 TPDDですか? 忘れたら帰れませんよ、と思った次の瞬間――
チュッ え!?
「お・ま・じ・な・い♪」
「あ、あ、朝比n「シーッ、声が大きいよキョン君、そんな口には~」
以下、禁則事項だ。 黙秘権を行使する。 え、『大人の階段』は登ってないぞ、残念ながら。
帰り際に「どうだったかしら、『大人のキス』は」と言って満足そうに朝比奈さん(大)が帰って行ったのは気のせいだろう、多分。
え、全部言ってる? まあ、あれだ、俺の口の潤滑油が規定量を超えていたせいなんだろうよ。
――色んな意味で二度寝出来なかった、眠い!
朝、何時もの時間に涼子はやって来た
カチャ ノックしろよな
「おう、おはよう」
「あら、起きてたの? 珍しいわね。 おはよう、キョン君♪」 制服+エプロン+ポニテの破壊力抜群の格好の涼子は、俺の近くまでやって来た
「昨晩はお疲れ様。 私や長門さんが何も出来なかったのに、あなたは一人で解決してくれた。 ありがとね」
「礼はいらん。 別に誰かの為にやった訳じゃ無い」
「あれから眠れなかった?」
「ああ」
「そっか、ゴメンね『起きてたの、珍しい』って言って」
「別に構わんぞ。 気にしてないし、実際その通りなんだからな」
――朝比奈さん(大)が帰ってから、涼子が来るまで、俺は考え事をしていた。
『ハルヒと涼子・どちらを選ぶか』
二人とも、こんな凡人代表な俺を好きと言ってくれている。 この一ヶ月、朝食や弁当を作ってくれて。
それに対して俺は何もしてなかった。 しかし、何時までも2人を待たせる訳には行かない。
「涼子」
「え、何?」
「少し時間あるか」
「5分位なら。 まだ朝食の支度、少し残ってるし」
「そうか、スマンな。 涼子、そろそろ俺の気持ちをハッキリさせておきたい。 俺は――」
……俺の回答を聞いた涼子は少し驚いた様な表情を浮かべていた。
「そっか、それがキョン君の気持ちね、解ったわ。 所で涼宮さんには何時、言うの?」
「今日、登校したら直ぐに、かな。 出来れば早めの方が良いだろ」
「そうね……さあ、朝ごはんの支度の続きをしなきゃ! 先に下に行ってるね♪」
AAランク+の笑顔になった涼子は、そう言い残して階段を降りて行った。
何時もの様にハイキングコースを登り登校、そして教室に入る。 既にハルヒは自分の席に居た。
「ようハルヒ。 おはよう」
「おはよう涼宮さん」
「――おはよ。 涼子、キョン」
「今日は金曜日なのに、どうしたの?」
そう言えば今日は『2人で当番』の日だったっけ、忘れてたぞ。
「あ、ごめん。 昨日の夜、ちょっと悪夢を見てね。 それから眠れなくって」 アレのせい、か。
「なあ、ハルヒ」
「な、何?」
「話したい事があるんだが、少し来てくれないか?」
「え?」 少し戸惑うハルヒ
「いいけど、涼子は?」
「私は良いわ、気にしないで」
屋上に向かう階段を登った先。 そう、ここは
「ハルヒに『新しい部活を作る』と言われて」
「ここにキョンを連れて来たわね」
「なあ、ハルヒ」
「何よ改まって、HRまであんまり時間無いんだから」
「解ってるって。 ハルヒ、そろそろ俺の気持ちをハッキリさせておきたい。 俺は――」
……俺の回答を聞いたハルヒは少し驚いた様な表情を浮かべていた。
「キョン、それが答え?」
「ああ」
「涼子には?」
「もう伝えてある」
「そう、解ったわ……さあ、HR始まるわ。 教室に戻るわよ、キョン!」
100wの笑顔になったハルヒは、俺より先に階段を降りて行った。
(その4へ続く)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます