「おや、今回の語り手は僕で宜しいのですね?」
「そうよ古泉君! そう決まったからね、行くわよ!!」
「やれやれ。 んじゃあハルヒ・古泉、気をつけてな」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――彼女の名は涼宮ハルヒ。 ご存知の方も多いと思いますがSOS団団長。
その彼女も北高を卒業し上京。 念願のキャンパス・ライフを送っています。
今日は久し振りに実家に帰る日? いいえ、彼に会える日でもあるのです。
(待ってなさい、キョン!)
京都駅を出発した新幹線は桂川を渡り、天王山を右手に眺め
(楽しかった高校生活、それに比べて今のあたしは……)
新幹線の車庫が見えて来た頃、案内放送と共に減速。 周囲の建物も高層建築物が目立つ様になった頃
『新大阪~新大阪です』
「着いたわ!」
はやる気持ちを抑えて階段を降りる彼女、その先には彼女の到着を今かと待ちわびる彼の姿が――
「キョーン!!」
「ハルヒーっ!!」
再会と共に、人目を憚らず抱き合う2人
「会いたかった……淋しかった――」
「俺もだ。 高校の頃、いつも一緒に居たせいか少しでも離れてしまうと、俺は……」
「……ばか」
『この2人が幸せなのは楽しい高校生活があったから。 我々が皆さんの楽しい高校生活を手助け致します。 「生徒社会を応援する世界造りの為の奉仕団体」SOS団』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「か、カットですぅ」
「撮影終了」
「いやぁ、皆様お疲れ様でした」
「ちょっとキョン、何回NG出せば気が済むの!?」
「仕方無いだろハルヒ、『恋人らしく』って無理だっつ~の!」
「何言ってんの! 全く……半日も無駄にして」
やれやれ、お二人にも困ったものです。
今日は文化祭でSOS団の宣伝の為に流す『プロモーション・ビデオ』の撮影で新大阪駅のコンコースに来ています。
朝比奈みくるが今年で卒業、と言う事で新団員募集の為のプロモーション・ビデオを製作する事を涼宮ハルヒが提案、僕が「脚本、その他全てを一任させて下さい」と申し出た所、許可を頂き……
「おや、まだ続いてますね」
「……痴話喧嘩」
「長すぎますぅ~、キョン君も涼宮さんも」
一体、何時まで言い合いしているのでしょうか。 確かに朝9時から撮影を開始して、気が付けば夕方5時。
NG連発とは言え、この2人のラブシーンを何回も見せつけられますと――
「こ、古泉君。 これは演技よ、演技!」
「そうだ古泉。 大体この台本書いたの、お前だろ?」
お2人共、顔が赤いのは夕焼けのせい、だけですかね?
まあNGシーンはコンコースの中だけでしたので、何回も新幹線に乗車した訳ではありませんが
「さて、そろそろ帰りましょうか」
「そうね古泉君、お腹も空いたし」
「夕食はカレーを所望する」
「美味しいカレー専門店、知ってますよ」
「お、朝比奈さんのオススメですか」
「……鼻の下、伸ばしてるんじゃ無いわよキョン。 言っとくけど、あんたの奢りだからね!」
「マジか!?」
「あったり前でしょ! ここまで遅くなったのは――」
……また始まってしまいましたね。 でも、楽しそうなこの2人を見てると自然と笑みがこぼれてしまう僕が居る訳で――
おや? 彼が近づいて来ました。
「……古泉」
あなたから顔を近づけて来るとは珍しい事もあるものですね。
「何でしょう?」
「さっきのプロモ、完成したら俺の分をダビングしてくれ。 他の皆、特にハルヒには内緒でな」
「っふ、了解しました」
おや、あちらでも内緒話ですか
「……有希」
「何?」
「さっきのプロモ、完成したら皆には内緒でダビングしてね。 特にキョンには絶対に内緒だからね!」
「……承知した」
「古泉君」
「何でしょう、朝比奈さん」
「2人共、何時になったら素直になるんでしょうか?」
「さあ、僕には判りかねますね」
「天然バカップル」
長門さん、手厳しいですね。
梅田でカレーを食べた後、僕達は北口駅へ戻ります。 休日とは言え、帰宅時間帯ですので特急電車の車内もそれなりに混雑しています。
「古泉一樹」
「何でしょう、長門さん」
「彼等はカレー屋を出てから周囲が混雑していて逸れては困ると言う理由で手を繋いでいる。 自動改札を通過する為に手を離した12秒間を除き、ずっと」
「ふえぇ~、あまりに自然で気が付きませんでしたぁ~」
「ちなみに、彼等はこの行為に対して無自覚」
わざわざ新幹線を使ってプロモーション・ビデオを撮影する意味があったのだろうか。 そして台本も……
「じゃあ今日は解散! 皆お疲れ様。 古泉君、編集宜しくね。 あ、キョン! 今から反省会よ、ウチに来なさい!」
やれやれ、全く何時になったら二人とも素直になるのでしょうか? 困ったものです。
『PV』 ~Fin~
「そうよ古泉君! そう決まったからね、行くわよ!!」
「やれやれ。 んじゃあハルヒ・古泉、気をつけてな」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
――彼女の名は涼宮ハルヒ。 ご存知の方も多いと思いますがSOS団団長。
その彼女も北高を卒業し上京。 念願のキャンパス・ライフを送っています。
今日は久し振りに実家に帰る日? いいえ、彼に会える日でもあるのです。
(待ってなさい、キョン!)
京都駅を出発した新幹線は桂川を渡り、天王山を右手に眺め
(楽しかった高校生活、それに比べて今のあたしは……)
新幹線の車庫が見えて来た頃、案内放送と共に減速。 周囲の建物も高層建築物が目立つ様になった頃
『新大阪~新大阪です』
「着いたわ!」
はやる気持ちを抑えて階段を降りる彼女、その先には彼女の到着を今かと待ちわびる彼の姿が――
「キョーン!!」
「ハルヒーっ!!」
再会と共に、人目を憚らず抱き合う2人
「会いたかった……淋しかった――」
「俺もだ。 高校の頃、いつも一緒に居たせいか少しでも離れてしまうと、俺は……」
「……ばか」
『この2人が幸せなのは楽しい高校生活があったから。 我々が皆さんの楽しい高校生活を手助け致します。 「生徒社会を応援する世界造りの為の奉仕団体」SOS団』
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「か、カットですぅ」
「撮影終了」
「いやぁ、皆様お疲れ様でした」
「ちょっとキョン、何回NG出せば気が済むの!?」
「仕方無いだろハルヒ、『恋人らしく』って無理だっつ~の!」
「何言ってんの! 全く……半日も無駄にして」
やれやれ、お二人にも困ったものです。
今日は文化祭でSOS団の宣伝の為に流す『プロモーション・ビデオ』の撮影で新大阪駅のコンコースに来ています。
朝比奈みくるが今年で卒業、と言う事で新団員募集の為のプロモーション・ビデオを製作する事を涼宮ハルヒが提案、僕が「脚本、その他全てを一任させて下さい」と申し出た所、許可を頂き……
「おや、まだ続いてますね」
「……痴話喧嘩」
「長すぎますぅ~、キョン君も涼宮さんも」
一体、何時まで言い合いしているのでしょうか。 確かに朝9時から撮影を開始して、気が付けば夕方5時。
NG連発とは言え、この2人のラブシーンを何回も見せつけられますと――
「こ、古泉君。 これは演技よ、演技!」
「そうだ古泉。 大体この台本書いたの、お前だろ?」
お2人共、顔が赤いのは夕焼けのせい、だけですかね?
まあNGシーンはコンコースの中だけでしたので、何回も新幹線に乗車した訳ではありませんが
「さて、そろそろ帰りましょうか」
「そうね古泉君、お腹も空いたし」
「夕食はカレーを所望する」
「美味しいカレー専門店、知ってますよ」
「お、朝比奈さんのオススメですか」
「……鼻の下、伸ばしてるんじゃ無いわよキョン。 言っとくけど、あんたの奢りだからね!」
「マジか!?」
「あったり前でしょ! ここまで遅くなったのは――」
……また始まってしまいましたね。 でも、楽しそうなこの2人を見てると自然と笑みがこぼれてしまう僕が居る訳で――
おや? 彼が近づいて来ました。
「……古泉」
あなたから顔を近づけて来るとは珍しい事もあるものですね。
「何でしょう?」
「さっきのプロモ、完成したら俺の分をダビングしてくれ。 他の皆、特にハルヒには内緒でな」
「っふ、了解しました」
おや、あちらでも内緒話ですか
「……有希」
「何?」
「さっきのプロモ、完成したら皆には内緒でダビングしてね。 特にキョンには絶対に内緒だからね!」
「……承知した」
「古泉君」
「何でしょう、朝比奈さん」
「2人共、何時になったら素直になるんでしょうか?」
「さあ、僕には判りかねますね」
「天然バカップル」
長門さん、手厳しいですね。
梅田でカレーを食べた後、僕達は北口駅へ戻ります。 休日とは言え、帰宅時間帯ですので特急電車の車内もそれなりに混雑しています。
「古泉一樹」
「何でしょう、長門さん」
「彼等はカレー屋を出てから周囲が混雑していて逸れては困ると言う理由で手を繋いでいる。 自動改札を通過する為に手を離した12秒間を除き、ずっと」
「ふえぇ~、あまりに自然で気が付きませんでしたぁ~」
「ちなみに、彼等はこの行為に対して無自覚」
わざわざ新幹線を使ってプロモーション・ビデオを撮影する意味があったのだろうか。 そして台本も……
「じゃあ今日は解散! 皆お疲れ様。 古泉君、編集宜しくね。 あ、キョン! 今から反省会よ、ウチに来なさい!」
やれやれ、全く何時になったら二人とも素直になるのでしょうか? 困ったものです。
『PV』 ~Fin~
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