北大柔道部ログ

平尾・ポッターと未来の僕

筋トレしかしていなかった平尾もすでに3年生になった。
3年になっても自分の筋肉を鍛えることにに対する意欲は衰えることはなく、むしろ増す一方であった。何しろ力万能説を唱え、筋肉が大きくなるにつれ、魔法を使わなくとも力で何とかなることが増えてきたからだ。
来る日も来る日も筋トレをする平尾。
その姿は筋トレに魅せられ、"筋トレをする"ということに囚らわれたかのようだった。
いつしかそんな囚われている平尾は、「筋トレルームの囚人」と呼ばれるようになった。

平尾はクレア、テインからもらった薬を1年の時から一日も欠かさず飲んでいた。
日に4回は摂取するほどであった。
しかし、平尾はこの頃どうにも体調が芳しくなく、そして体の色が黒くなったような気がしていた。
まさかとは思ったが、薬のことについてクレアとテインに聞くことにした。


「テイン、クレア。まさかとは思うんやけど君たちがくれる薬に副作用とかはあらへんよな?」

「僕の薬にはそんなのはないはずだよ?もともと体に摂取しなきゃいけないものが原料だからね。最初に作った時は、平尾に足りなそうな栄養を考えて栄養とってもらえば魔法にもいいかなと思ったけど、どうやら筋力アップにつながることがわかったのさ」

「私の薬ももともと体の中にあるものが原料なんだ。瞬発力をあげる効果があるから、魔法唱えるときに杖を動かすのにいいかなと思ったの。調べたところ、この薬の原料は体に取り込まれると最終的に肝臓で処理されて、尿として排出されるの。だから、あまり摂り過ぎると肝臓によくないわ。だから目標とする日を決めてそれに合わせるように計画的に摂るのがいいの。ごめんなさい、わかった時にすぐ伝えるべきだったわ。私の薬のせいね・・・ごめんなさい」

「クレア、そんなに謝らなくてもええ、これからは気をつけて摂るわ。それにこの薬のおかげで、華奢だったあの体がここまで成長できたんやから。それにしてもクレアの薬は制約とかいろいろあって珍しいな。珍しい、せやからこの薬は"チン"と名づけよぉや」

こうしてクレアの作る薬は「チン」と呼ばれることになった。
平尾の体調不良の原因もわかり、以後平尾はチンの使用方法を気をつけるようにした。


テインは新たな薬を開発を試みていた。今までは粉があまり溶けず飲みづらそうであった。だから、もっと飲みやすいものを!という目標の元作っていた。

そうして研究を重ね、ついに完成した。

「平尾、新しい薬が完成したよ!今度のは水に溶けやすくて飲みやすいはずだ!試してみてくれ」

「ありがとう、早速試してみるわ」

すぐにシェイカーに水と薬を入れた。するとどうだろう。今まではなかなか溶けずダマダマがたくさんあって飲みづらかったのが、あっという間に溶けてしまった。

「すごいやないか!みるみる溶ける」

ゴクゴクゴクッ

「うまいっ!今回のはアセロラ味や!
もう君の薬作りはプロの領域や!せやから、この薬は"プロ"と名付けよう」

こうしてテインの作る薬は「プロ」と呼ばれるようになった。


チンとプロを使用し、平尾の筋トレの日々は続いていた。
だが、やる気にはやはり波というものがあるわけで、やる気が日に日に減ってきていた。やる気がどん底まで落ちたある日、筋トレルームに本が落ちていることに気がついた。

「なんや、この本は?」

おもむろにその本を拾う平尾

「こ、こ、これはなんや!」

驚く平尾。
その本の表紙に載っていたのはなんと平尾!・・・・にそっくりの人物。
その本はどうやらボディービルの本で表紙の人は驚くほどのムキムキヤロウであった。

「これはきっと未来の僕や!かっこええやないか!僕はこうなるんや!頑張らなあかん!最近怠けていた僕にやる気を出せと、未来の僕からの贈り物や!」

とんだ勘違いである。
だが、またやる気をだした平尾は今まで以上に筋トレに励んだ。
励んで励んでそしてまた一年が過ぎて行った。




注)この物語はフィクションです。
しかし、作中に登場する"平尾似のボディービルダーが表紙の本"は柔道部の部室に実在します。気になる方は柔道部部室へ。


平尾・ポッターと15人の戦士を読む

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コメント一覧

ハタケ
才能に溢れすぎてるw
いいぞ,もっとやれwww
Unknown
なんじゃこりゃwww
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