「急になんだ?別にそこまでのことは、ないかな。」
看守と、ある死刑囚が会話を始める。看守は牢に背を向け立っている。
「あぁそうだろうな。そう見える。しかしな、人間とはつまるところ、欲望にのみ支配されているのではないか?そう思うのだよ。」
「…。どういうことだ?」
「わからないか?じゃあ君は子供の頃、横のこいつより足が速かったらなんて、考えたことはないか?」
「いまいち掴みどころのない話だな。それはないけど、似たようなことはあるよ。休み時間にやってた野球で、おれはいつも下位打線。クリーンナップの奴らみたいに豪快に打ってみたかったなぁ。こういうことだろ?」
「そうだ。ガキ同士の他愛もない、どんぐりの背比べだな。人間の成長過程で抱く比較的低レベルな欲望だ。しかしこれも立派な欲望。少し水準を上げよう。初めて女と付き合ったのはいつだ?」
「17のとき。高校の同じクラスだったな。」
「そいつとはどうなった?」
「フられたよ。俺は刑務官の職について、彼女は東京の大学へ。半年も経たないくらいだったかな。」
「そうか。要らんことを聞いてしまったな、つまり何が言いたいかって、恋愛も欲望なのだよ。独占欲、性欲、承認欲…。」
「確かにそうだな。」
「じゃあ大人になった今、どんな欲を抱いている?」
「欲ねぇ。順調に昇進して給料アップして。結婚もやっぱりしたいな。今付き合って3年の彼女がいるんだ。あとはー。そんなにないかな。普通に友達がいて、家族が健康で、そこそこ楽しく長生きできれば悔いなく死ねるんじゃないかな。」
「なるほど。模範解答だ。そう、人々は大人になって身の丈を知ってゆき、欲望は“収束”してゆく。話を拡張しよう。そんな、ある程度一様な“欲望“を共有している大衆は、生活の大きな変革を望まない。摩擦力のようなものだよ。常に大きな変化を妨げる力。例えば、スマホ。最近では便利さから広く普及しているが、ほんの7、8年前にはまだ、ガラケー派も多くいただろう。彼らは君も持ち合わせる、”現状維持欲“に邪魔されて一歩踏み出せずにいたんだよ。それらもやがて、周囲にスマホを使う者が増えて世の中の価値観がシフトするとともに、一人、また一人と背中を押されていったんだ。この変化の背景にも、君も持ち合わせる”周囲との同調欲“が大きく関わっている。そう、優れた同級生と同じように草野球で豪快にホームランを打ちたい、といったようにね。」
「意味はわかるが、それがどうした?」
「この摩擦力が、権力者にとっても都合がいいんだ。出過ぎた真似をする人間が少ない方が統治しやすいに決まっていよう。また、“現状維持欲”と“同調欲”は少し世論を煽れば国民を右傾化させる原動力となる。右傾化すれば戦争の火種が生まれ、戦争が起これば権力者たちは潤う。制御しやすく、また必要な時には戦争もさせられる。人間の欲が生み出す“摩擦力”。このエネルギーよって権力者たちはいつの時代も持たざる者から搾取し欲望を満たしてきたのさ。この国の極端な、出る杭を打つ教育の背景にはこういう理由があると考えるのは、過剰かねぇ。私にはどうも、わざと愚かな国民を量産しているようにしか見えないのだが。」
「なるほどな。そう考えると確かに、人間の社会を回しているのは欲かもな。欲などではない、善意で動いている!という人の多くも所詮、そういった自分像を作りたいという自己顕示欲だったり、善人であることによって得られる恩恵を求めてるだけに過ぎないからな。」
話に夢中になっている間に、開かないはずの牢の扉が開く。看守が振り返るよりも先に、腰から銃が奪われる。
「そう、この世が欲望で支配されていること、わかってくれたようだね。じゃあもう一つ教えてあげよう。先程は権力者と国民を例に挙げたが一般化すれば、欲望を満たす者と満たさせるために犠牲となる者という構造がみえてくる。この時間この部屋にいるのはお前と私だけ。もうわかっているとは思うが、お前は今から私の欲望を満たす義務がある。それが欲望に支配されているこの世界のあるべき姿だからね。」
「なにが望みだ?外へ出たいのか?」
丸腰の男が震えた声で問う。
「初めに私はこう尋ねた。身を滅ぼすほどの欲望を抱いたことはあるか、と。お前はさっき、ないと答えたが、今はあるはずだ。ただ、生きたいと。その欲望を、搾取するだけ。当たり前のことが起きるだけだよ。愚かな一般大衆は口をそろえて、大した欲はないと粋がる割に、死を強く意識すると醜い生存意欲を露わにする。その醜さがなんとも人間らしく、愛おしいんだ。命乞いする者、失禁する者、発狂する者、あぁそうだ。失神したやつもいたな。なにもかもが退屈なこの世界で唯一、私の気を紛らしてくれるものだった。待ち受ける死刑も、無間地獄のような監獄生活も、私の感情にはなんの影響ももたらさない。信じる神も譲れない信条もなく、あるのは倦怠感だけなのさ。ははは。今のお前のその表情、たまらないな。今のこの一瞬、命を失うことを猛烈に拒むお前の姿にのみ色がついて見える。なぜ今ここでお前が死ななきゃいけないのか、わからないだろ。お前は運命を信じるか?こうして絶対者の手にかかり短い人生を哀れに終えることを、神が望んだと思うか?まぁ、お前がどう考えようと、運命だろうとそうでなかろうと、私にはどうでもよいことなのだが。」
清水です。またクソ文を書いてしまいました。やめられません。駄目だとわかっていても、クソ文しか書けません。今回は、以前風邪で熱のある時に頭の中をぐるぐるしていた意味のない思索を、適当な設定で適当な人間に代弁させました。内容にも意味はありません。
クソ文を書きながら、中村文則という作家の影響を強く感じました。文章力が、とか大それたことではありません。考えている内容が、影響受けすぎです。これもよいことではありません。
中村文則、「教団X」とか「掏摸(スリ)」とかオモロイです。上のクソ文みたいな思考内容が、オモロイストーリーに乗せて語られます。
次回もクソ文しか書けませんが、困ったことに僕は書くのが好きです。明らかにつまらないのが僕の記事です。暇な人だけ見てくれればいいと思います。Stay Tuned!です。ちなみに唯一誇れることとして、ブログのお尻に絶対ついてる部の紹介定型文。しばらく内容、言い回しが定まりませんでしたが、ある時から大筋が定まりました。僕が書きました。多方面に気を払った、文句のつけられにくい文章ができたと思います。しかし、面白くはありません。書くのは好きなのに。面白いものが書けません。
〜柔道部紹介〜
北海道大学を含む旧七帝大柔道部では寝技に重点を置いた柔道をしています(立ち技もばっちり活かせます!)。
週6日活動しており、出稽古も大歓迎です!ぜひご参加ください。
もちろん未経験でも大歓迎!大学から未経験で始めた人もたくさんいます。
新入部員、マネージャー志望どちらも大募集しています!
是非一度、道場に来てみてください!
練習日程の詳細はブログの今週の予定の記事(毎週日曜更新)、Facebookをご参照ください。 Instagramも始めました!!
練習場所:北大札幌キャンパス北18条門すぐ武道場2階西側
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くるみ
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man staying tuned
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な
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み
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Unknown
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ダークマター
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