北大柔道部ログ

平尾・ポッターと15人の戦士

4年生になった平尾。
体は1年の時に比べるとかなり大きくなっていた。
学年が上がっても平尾のすることに変わりはなく、相変わらずの筋トレ君であった。来る日も来る日も筋トレをし、自分を磨く平尾であったがどうもオーバートレーニング気味のようだ。これではやり過ぎだ。
3年の時に未来の自分を見て、やる気を出したのはいいが、どうやら出し過ぎてしまったのだろう。

「最近MAXが伸びひんなぁ・・・」

そんな折、テインが新たなプロを開発してきた。

「平尾、また新しのができたぞ!」

「ありがとう、テイン。前回はピンクやったが今回はオレンジ色や!」

ゴクゴクっ

「オレンジの味やけど・・・僕はあんまり好きじゃないわ」

「そうかぁ・・・残念だな。次はおいしいものを作るよう頑張るよ」

「なぁ、テイン。最近僕のMAXが伸びひんのや・・・どないしたらええ?」

「ん~、平尾は頑張り過ぎなんじゃないのかな?休むことも練習の内だよ。ね?クレア」

「そうね、毎日同じ部位ばかりやってもダメだそうよ。前の日筋トレした部位とは別のところを次の日やるようにした方がいいわ。超回復を待ってからまた同じ部位を筋トレするの。そうだ、平尾、たまには息抜きでもしましょう!近々、この近くで七大校対抗試合があるらしいのよ。確か競技は柔道だったかしら?平尾好きだったでしょう?」


平尾は柔道が好きだった。貧弱だった彼としては、小さなものが大きなものを投げることがカッコよく、憧れていた競技であった。最近は筋トレに夢中で柔道への興味は頭の片隅へと追いやられていたが、クレアの発言で興味が呼び起こされたのだった。「力万能説」を唱えている今は、以前とは違うところに興味を見出していたが。

「おもしろそうや!行こう」

こうして平尾たちは試合を見に行くことにした。



試合当日

いよいよ試合が始まる。

「なんやこれは!僕が知っている団体戦とちゃう!」

両校が並び礼をして試合会場に入っていく。しかし、5対5でもなければ7対7でもない。15対15の抜き戦の試合だった。
試合が始まるとさらに平尾は驚くことになる。

「僕の知っている柔道とちゃう!」

そこには寝技で試合を繰り広げる選手たちの姿があった。いくら寝技をやっていても「待て」がかからない。自分からは攻めず守りだけの選手もいる。一本以外勝ちとは認められないシビアさもあった。

白のチームの強い選手が何人か抜いた。
赤のチームから次の選手が出てきた。
白の選手にとられそうになるが必死で守る。すごい表情だ。苦しそうである。何度も何度も攻撃を仕掛けられるが、あきらめない。そして守り切った。「絶対守り切る」そういった信念が初めて観る平尾にも伝わってきていた。
赤チームからは凄まじい拍手が送られた。

次の選手たちが試合場に入っていく。
白にリードされている赤としてはここで一人でも抜いておきたいところだ。
白の選手は守った。赤の選手は攻める。なかなかとれない。
必死で攻める赤。ついに白を抑え込むことができた。
必死で暴れる白の選手を抑え込む。そこには物凄い力が加わっているのだろう。顔が真っ赤になり、その形相は凄まじかった。まるで赤鬼のようだ。「絶対逃がすものか」という意気込みがひしひしと伝わる。

絞められても、関節をとられてもギブアップしない選手がいた。どんなに疲れてもあきらめない選手がいた。声がかれるまで応援する選手がいた。仲間のために、チームのために命をかけるそんな選手たちの試合。

平尾は虜になっていた。

優勝したチームは大きな優勝カップをもらい、それにお酒をついでみなで飲み喜びを分かち合っていた。

「すごい!すごい!こんな試合があるんや!こんなに熱い試合があるんや!僕もこんなことがしたい!」

平尾に筋トレ以外に新たな道が見えた瞬間だった。
こうしてまた平尾は筋トレの日々へと戻っていった。

「柔道やるいうてもやっぱり、力は必要や!」

試合を見た後から平尾の筋トレメニューには、寝技の動きを繰り返す"ムーブ"という練習が加わった。

いつしかあの大舞台で活躍することを夢見ながら、平尾は筋トレをし、また一年が過ぎて行った。




注)この物語はフィクションです。


平尾・ポッターと新たな仲間

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