HUQ's Blog

HUQの日記

custom ue 11 pro (2)

2008年12月28日 07時59分16秒 | オーディオ

 今年の冬は昇格試験の勉強をせにゃならん、ってなわけで佐賀の実家へ帰省中。

 のぞみのチケットが取れず、ひかりで延々6時間弱の旅。

 残り少ない電池を大事に使いつつ、custom ue 11 pro のインプレなぞ。

 

 12月初旬、予定より1週間ほど早く、製品到着しました。

 いわゆる "SHURE 挿し" で使います。

 耳の後ろに回り込む部分には、ue のコンシューマ向けカナル同様の細い針金が入っています。

 銀の縒り線には1本ずつ薄いシースルーの被覆がかけてあり、非常に柔らかく曲がります。それなりに強度はありそうですが、あまりに柔らかいので縺れたときはそっと指先でつまむようにして解します。線を引っ張ってイヤホンジャックから引っこ抜く、なんて暴挙は考えられないような柔らかさです。(^^;

 この柔らかさは、タッチノイズの低減にも寄与しています。タッチノイズに関しては、ケーブルの硬い Etymotic Research ER-4S, ue triple.fi 10pro, SHURE E5c などと比べると非常に静かです。ケーブル硬化前の SHURE E500 より静かだと思います。

 ケーブルのL/R 分岐箇所は、ちょうど SHURE E5c のそれを小さくしたような感じ。少々左右に引っ張られても、裂けてしまうことは無さそうです。

 

 カスタムアートはこんな感じの仕上がりに。

 アートファイル送付時に「左右とも、背景の青色は画像上の塗装色ではなく、本体色の青色を使ってください。」と指定したのですが、なぜか塗られてしまいました。ま、そんなに違和感は無かったため、深く追求はしませんでしたが。カスタムアートの具合指定は、むしろ ExtremeWave を通さず、ue にメールで直接交渉したほうが正確に意図が伝わるかも。

2009.01.07記

その後この Blog で現物のカスタムアートの状況を確認された ExtremeWave 社から「再制作のリクエスト可能です」との連絡がありました。

カスタムシェルに関する初期不具合保証期間をギリギリ過ぎているものの、ExtremeWave 社からシェル制作会社への連絡は私の指定通りになっているそうなので、若干交渉に時間がかかる可能性はあるものの、再制作できる、とのことでした。

カスタムアートの不具合に関しても、ExtremeWave 社の保証はしっかりしているようです。

 

 装着感に関しては、さすがはカスタムシェル。ピッタリと耳道に納まり、体を動かしてもポジションがずれることはありません。

 ue のカスタムシェルはハードシェルなので、シリコンのように耳道に密着するタイプではありません。ですから外界の音を完全に遮断することはありませんが、形状を耳道に合わせてあるため、実用上十分な遮音性を得られます。ER-4S の3段キノコと同程度の遮音性です。コンビニのレジでは外さないと、店員の声が聞き取れません。遮音能力は26dBです。(ER-4S は 25dB)

 それでいて、SHURE E500 に黒弾丸のイヤーフォームを付けた場合の耳あたりよりもっと、ずっと軽い着け心地です。耳道内に圧迫を感じることはありません。先端が中耳の曲がり端まで届くので最初はちょっとコワいですが、数時間装着しっ放しにしていても、外耳・内耳が痛くなることはありません。

 

 さて、肝心の音質です。

 「custom ue 11 pro は、モニタ調サウンドの custom ue 10 pro と比べ、低域が爆音。まるで ue super.fi 5pro に対する ue super.fi 5EB みたい」ってインプレを目にしていたので、Shure E500 の「上品な中高音」が一番耳にシックリくる私としては、耳型採取から製品到着までの間、内心「ハズしたんじゃなかろーか…やっぱ custom ue 10 pro にしといたがよかったかなぁ…」と戦々恐々としておりました。

 で、手元に届いて3週間ほどエージングした現在、音に関して感じること。

  • クラシックやポップスでは、至って自然。ことさらに低音を強調した曲(メタルとかクラブとか)以外で低音が出張ってくることは無い
  • 低音を強調した曲では、まるでスピーカから音圧を感じるかのように、耳から胸にかけて揺さぶられる感じがある
  • 低音を強く感じる場合も、ミニコンポで低音ブーストしたような「中低音を無理矢理ブーストしました」感は無い。決して「タイトな低音」ではないと思うが、輪郭がボケてビートが感じられなかったり、中高音の邪魔をしたり、といった質の悪い低音ではない。イイ感じにエージングが進んだ、音域バランスの良いバスレフ型スピーカ風
  • この上質な低音が、ピアノの低音やベースの弦楽器を、隠し味のように引き立てている
  • UEならではの、どこまでも澄んだ高音は健在
  • 音の分離も良好。ER-4S と同等以上の分解能で、もっと音楽的な潤いを持たせた感じ
  • ue triple.fi 10 pro で不満だった、「ボーカルが奥に引っ込む感じ」は皆無。低音が響く曲や高音がキラキラする曲でも、ボーカルはシッカリと張り合っている

 全体に「よく響く低音と、澄んだ高音」が特徴の UE らしい音作りですが、元々モニタ用のイヤホンということもあり、ue triple.fi 10 pro よりずっとフラットでクリアな響きです。コンシューマ向けと比べて、ボーカル域が聞き取りやすく、低音が強調される周波数帯が低い感じです。低音・中音・高音全域を正確にモニタしながらも、ベースラインを感じやすくしてあるような風味です。

 かなり能率が高いので、ホワイトノイズはそれなりに聞こえます。どうしてもホワイトノイズを消したければ、player 側の出力を上げ、間にPHAを挟んで音量を絞るのがベストです。幸い KENWOOD HD60GD9 はジャック出力を最大にしても音割れしないので、ボリュームを8割程度まで上げて PHA を間に挟むと良い具合です。iPod であればライン出力を使うのが王道でしょう。

 ポータビリティを犠牲にしたくなければ、高音域の低減に効果がある音響抵抗を音のノズルに挿入したりするのが有効だと思われます。ヘタな可変抵抗や安物アッテネータを間に挟むと、折角の高分解能がスポイルされます。

 着脱が手軽で、かつ音の分解能・ダイナミックレンジの低下を最小限に止めてくれるアッテネータに、Etymotic Research P→4S 変換アダプタ ER4P-24 があります。コレ、アウトドア派でホワイトノイズ嫌いの方にお勧め。本来は Etymotic Research の低インピーダンス版 カナル型イヤホン ER-4P を、同社スタンダード品 ER-4S と同じインピーダンスにするためのモノです。ただ、静かなところでよーく聴くと、ue 特有の高音のキラキラさがだいーぶ鈍ってるのがバレます。

 

 総じて、価格に違わずよくできたイヤホンです。繊細な表現が可能なバランスド・アマーチュアユニットを低音2,中音1,高音1の計4ドライブ投入し、1ドライブあたりの再生周波数帯が狭い、という弱点を力づくで解決しています。

 ただまぁ、半分の価格のヘッドホンの音と比べたらどうか?といえば、せいぜい良い勝負、って程度ではないかと。(^^; ポータビリティに優れた In-Ear-Monitor で、ここまで優れた装着感と音質を実現できている、と評価すべきです。

 低音は、音楽観賞用としてはおそらく1ドライブでも十分な再生能力があるのでしょう。そこに敢えてもう1ドライブ追加することで、この IEM でモニタしながら演奏している奏者が、音を出すタイミングを取りやすくなっているのではないでしょうか。

 音楽鑑賞用として使用した場合、あらゆる帯域の音をしっかりと感じることができます。その上でボリュームを下げて聴いたときも、他の帯域を邪魔することなく、迫力のある低音を感じることができます。

 聴力を損なわない小音量でも繊細さと迫力を同時に感じられる、という点で、リズムを体で感じたいがためにどうしてもボリュームが大きくなりがちな方には特にお勧めです。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ケーブルについて (ひろ)
2009-02-08 18:20:40
ケーブルは交換可能のようですが、triple 10 proようの交換ケーブルやnullケーブルも使えるのでしょうか?
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残念ながら… (HUQ)
2009-02-08 23:40:20
ケーブルは交換可能ですが、Triple.fi や Super.fi シリーズのものとは互換性がありません。

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Unknown (yuki)
2009-10-30 22:58:42
すいません(汗)
価格が価格なので、いざ買う段階となると踏ん切りがつかず、
ES3Xや須山435という選択肢もあるとなると(汗)
さすがに20万円はでかいです(笑)

本当に最後の質問なのですが、
音場の広さについて、UE11はUE的な広大な音場を持っているのだと思いますが、UE11の音場の前後の広さ(顔の前の広さ)はE500よりも広いでしょうか?
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Unknown (HUQ)
2009-10-30 23:40:05
435はボーカルの癖を好きになれるかどうか、みたいですね。そういう言い方をするなら、UE11proは何でもリズムで聴かせてしまおうとするキャラクターを好きになれるかどうか、だと思います。
ES3Xについては、色んな方のレビューを拝見しても、いまいちノリが分かりません。(^^;

今ならJH13って方向もあるようですよ?w
UEがLogitechに買収されて、売った本人が別会社として始めたシリーズのようですが…「適正な」低音でよりモニター的、だとか。ExtremeWaveでも取り扱い予定ですが、扱えるのはもう少し先になるそうで。

ちなみに現状では、アートワークに関する注文を入れるとかなりの高率でトラぶるってるようです…w

UE11の音場ですが、コンサートホールでのオーケストラの演奏を聴くと、それなりにホールの臨場感は得られます。E500と比べて劣るということはありません。しかし、どちらかというと(UEがそうであるように)豊潤な残響音で聴かせる、という性格ではなく、直接音のビートと繊細な音の分離で勝負する性格だと思います。
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