お休み前のBLOG。

息抜きの海外旅行にも行けず、特急ひたちで東京と浜通りを行き来する平凡な日々を描くブログです。

深夜特急

2014-11-24 | いろいろ
 先日、飛行機の徒然にと、20年ぶりぐらいに買った「深夜特急」。元々の第1便「黄金宮殿」に相当する2冊の文庫本だ。正直なところ、この2冊を読めば十分ナノではないかと思っている。ヨーロッパ編に相当する第3便「飛光よ、飛光よ」は、刊行が前2便から6年も空いてしまったこともあり、かなり間延びしてしまった感が否めない。
 ロンドンまでバスで行ってやろうという大それた計画のもとに日本を旅立った沢木氏の新鮮な驚きと観察眼、のめり込み方は最初の1冊(文庫本では2冊)に凝縮されている。だからこそ引き込まれてしまうのだ。

 その第1便の最後、「私」がたどり着いたこと。

 彼らと共に、ああでもないこうでもないと理由を考えている時、私は突然、それとは全く無関係の、馬鹿ばかしいほど単純なあることに気がついた。
<そうだ、シンガポールは香港ではなかったのだ……>


 香港で、マカオで、刺激的な日々を過ごしてきた「私」。その刺激が忘れられず、それを引きずって旅を続けていた「私」。

 しかし、私がシンガポールにもう一つの香港を求めていたとすれば、たとえそれがどれほど魅力的な街であったとしても本物以上のものを見出せるはずがなかった。シンガポールばかりではない。タイやマレーシアのどんな街にいても、無意識のうちに香港を探し求めていた。そして、違う、違うと思っていたのだ。

 そういった「幻」を求めてしまうことはよくある。特に旅に出て、まだ慣れない土地で、アンテナが敏感になっているときの印象をずっと引きずるものだ。それが後々アンテナを鈍らせてしまう。
 あの人はこんな人だ。でも本当は毎日変わっている。それを型にはめて見てしまってはいないか。そういうことなんだ。商売柄、型にはまらない物の見方を心がけていたつもりだが、自分もそうなっていたのかも知れない。

 歳を取っても、読書はするものだな、



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。