個人事業はじめちゃいました!

悩める賃貸オーナーの呟きとちょっとだけ機械設計のブログ!

技術のお話し タイヤ編(4)

2020-08-01 03:59:02 | 暮らし
jms安城様
コメント頂き有難うございます。
愛知県安城市は車の城下町、乗り心地に関心の高いユーザー様が多いかと思います。
私如きの内容で恐縮しきりですが、少しでもお役に立つ内容であれば嬉しく思います。
昼食を取りながらでも一読してやって下さい。
多分、昼食が格段に美味しくなる?
いや、ならないよなー! ・・・

嬉しい話しの次は、残念なお話し?
先日、世界No1タイヤメーカーの研究所長などを歴任した方が、
かの国のNタイヤに副社長ポストを与えられ迎え入れられたそうな!
技術発展のために、日本人の頭脳が社会に貢献できるならば喜ばしいと思いますが、
その頭脳を日本の大学・大学院や研究所で発揮して、
日本人の次世代研究者・技術者を育てて欲しかったと思います。
人それぞれの事情もあるのは承知していますが、
日本の研究環境は右肩下がりで魅力が無かったのかもしれませんね!・・・
残念です。

自己の回想でもお話ししましたが、日本の企業は景気が悪化すると研究開発費まで縮小するが、
かの国の企業は、これと決めた物に的を絞り人材とお金をつぎ込むのが早いと思います。
日本の企業は計画から承認まで時間を要し、見切り発車するとジェット機開発の様に失敗する。
技術調査に外部人材と予算をつぎ込まない憑けが出てしまった様に思えます。
ボーイングの忠告を聞き入れていれば状況は変わっていたかも知れません。
但し、飛んでいたとしても今回の新型コロナで減産に追い込まれたと思いますが、
どちらが良かったのでしょうか?

政府主導の次世代通信開発会議、その後どうしたのでしょう?
何の音沙汰も無い様に思えますが?
Samsungは既に次世代通信技術の骨格をつい最近発表したと思うのですが?
やはり決断するスピードが速い、かの国の方が魅了なのかな・・・
残念です。

元ポンコツ技術者の勝手な思いの呟きでした。
ごめんなさい!

今回は、ユニフォーミティ測定機の機構部に付いてお話ししたいと思いますが、
その前に、タイヤ編(3)でステアリング振動に付いて少しお話ししましたが、
もう少し説明させて頂きます。

タイヤ・ホイールが起因しステアリング系に影響を及ぼす振動周波数は5~30Hz程で、
40Hz以上はタイヤノイズによるパネル等に影響する振動が多かったと記憶しています。
 *設備設計が主でしたので、設備開発のため文献等を調査した数値です。

振動周波数の単位はHz(ヘルツ)で、1秒間当たりの振動回数を表します。
 *高校の物理で習った記憶がありますね!  あれ?

例えは振動周波数が30Hzの場合、速度に換算すると何km/hになるか考えてみましょう。
タイヤ編(3)でお話しした①の式を思い出して下さい。

V (m/min) = π x D (mm) x N (r/min) / 1000 ・・・①

但し、速度 = V (m/min)
円周率 = π 円の周長 / 円直径 = 3.14159
円直径 = D (mm)
回転数 = N (r/min)
分母の1000は円直径(mm)の単位をメートル(m)に換算する

ここで、大風呂敷を敷いた説明をしちゃいます。
タイヤ・ホイールが1回転する度に加振力が1回作用し振動したと考えれば、
振動周波数 f (Hz) = 回転周波数 fo (Hz)と考える事ができます。

ならば、タイヤ・ホイールが1回転した時に回転周波数を1Hzとして、
回転周波数30Hzを回転速度N (r/min)に換算してみましょう。

fo (Hz) = N (r/min) / 60 より
 *1/60は分を秒に換算

N (r/min) = 60 x fo (Hz)
= 60 x 30 (Hz) =1800・・・②

タイヤ編(2)で使用したタイヤサイズ215/45R17の動的負荷半径304(mm)を使用します。

②を①に代入します。
V (m/min) = 2π x 304 (mm) x 1800 (r/min) /1000
= 3438.159 (m/min)

単位を(m/min)から(km/h)に換算します。
V (km/h) = 3438.159 (m/min) x 60/1000
    = 206.289 (km/h)
となります。

でもちょっと変ですね!
高速道路でも200km/h超えなんて一般車では容易に出せません 。

 *俺は出すよと言う方、死に急ぐ必要はありません。
  ご自身が神から与えられた寿命を全うして下さい。

  私自身もお客様との打ち合わせの帰りに、営業マンと二人で高速道路の本線を社有車で走行中、
  1台の商用車が本線に合流しようとする様子を30~40m後方から見ていました。
  合流ポイントに差し掛かる手前で、商用車のドライバーが携帯電話を操作し始めた瞬間、
  商用車は本線側に大きく曲がり始め、登り口の側壁に衝突し運転席側前部が大破、
  タイヤ・ホイールがバウンドしながら社有車へ向かって来ました。
  この状況だと助手席前部からドア付近に衝突すると思い、
  営業マンに大声で「ブレーキ」と叫ぶと同時に、右手で営業マンの左腕付近を叩きました。
  状況が判らない営業マンは驚き軽くブレーキを踏んでくれました。
  そのおかげで社有車の1m手前をバウンドしながら通過して本線の側壁に衝突しました。
  幸い社有車との接触もなく通過することができ安堵した経験があります。
  安全運転が如何に大切か身を以って知る事ができました。
  ほんの数秒の出来事でしたが、タイヤ・ホイールが向かって来た時の動きはスローモーション映像の様に見えました。
  怖かったー!
 すみません!  話しが横道に逸れてしまいました。 
 
では何故一般ユーザーから、タイヤ・ホイールが原因でステアリング系の振動が問題となるのでしょうか?
上記の計算により、回転周波数30Hzを速度に換算すると約206km/hと言う結果になりました。
タイヤ編(2)で説明した回転1次成分が振動原因とすると、一般ユーザーが出す速度にしては難しい様に思えます。

ならば、タイヤ・ホイールが1回転した時に2回振動したらどうでしょうか?
速度は半分の約103km/hと考える事ができます。
つまり、速度103km/h(回転周波数は15Hz)で30Hzの振動が発生したと言う事になります。
この速度なら、一般ユーザーでもステアリング系の振動が身近に発生すると考えられます。

では、この2回振動する原因は何でしょうか?
このタイヤ・ホイールは、タイヤ編(2)で説明したユニフォーミティによる回転2次成分が影響していると考えられます。
 *タイヤから見た回転2次成分の主な要因は、タイヤの骨格であるカーカス層を固定するベルトなどの繋ぎ合せ部分を、
  バランスの関係で2か所で重ね合わせた場合などが挙げられます。

また、車速によりアンバランス(回転1次数成分)と、ユニフォーミティの回転1次成分による振動とが合致すると、
更にステアリング振動が増加します。
アンバランスは質量的要素でありウェイト(錘)で修正出来ますが、ユニフォーミティは剛性による加振力で、
例えばRFV1次成分を抑えるためウェイトによる修正を行うと、位相にも寄りますがTFV1次成分やアンバランス質量が悪くなり、
基本的にウェイトによる修正は出来ません。
一般のユーザーの方が、質量アンバランスによる振動以外にも、ユニフォーミティによる加振に伴う振動の存在を知って頂ければ、
このブログも少しは社会に貢献できたかなと思います・・・???

今回は、ユニフォーミティ測定機の機構部に付いてです。
まず、ユニフォーミティ測定機を製造しているメーカーは意外に多く、国内大手では神戸製鋼所、国際計測器、
三菱重工機械システム、大和製衡、A&D等、他に計測システムのみを製造する企業も多く見受けられます。
また、米国MTS Systems Corporation がフラットベルト式タイヤ試験機として有名なところです。
機能としてはユニフォーミティ測定以外に、モーメント測定等の機能を有したタイヤ試験機として製造・販売されています。
これらは主に小径ドラムを持つ設備はインライン用、大径ドラムやフラットベルト式設備は研究開発用に多く使用されています。
カーショップでは、米国ハンター社製のバランサーにロードフォースが測定できる機能を有した小型設備を導入しています。
この設備は、タイヤ・ホイール組付メーカーでもインライン設備のトラブル時の代用機として導入されています。

基本的な構造は、タイヤ・ホイールを取り付けるスピンドル(回転軸)と、タイヤを加圧するドラムを有します。
力を測定するセンサーは剛性に優れたハードタイプが主流で、スピンドル側、又はドラム側に取り付けます。
ドラムはタイヤを加圧する為に、駆動にはサーボモータとボールねじによるスライド機能を有します。
これにより精度の高い加圧制御を行います。

タイヤ・ホイールの回転は、スピンドル側、又はドラム側に駆動モータを配置しますが、
センサーは出来る限り駆動モータからのノイズ対策の為に、非駆動側に取り付けます。
駆動モータは、三相モータにインバーターを組み合わせた制御が主流です。

タイヤ・ホイールをスピンドルに固定する為に、インライン設備ではクランプ機構をスピンドルに設けます。
クランプ機構は三つ爪式やコレット式が主流です。
又、ドラムで加圧した時にタイヤ・ホイールが浮き上がらない様に、ホイールのハブ穴付近を上部からクランプします。
この場合、スピンドルと上部クランプ軸との芯出しは重要になります。
タイヤ加圧により芯が狂うと測定値に誤差が生じます。
特に高速ユニフォーミティの場合は、上部クランプヘッドをスピンドル側に引き込み、
上部クランプ軸から切り離す機構を設けます。
ホイールハブ穴の面取りを利用して、スピンドルにクランプヘッドを引き込むクランプ機構もあります。
試験用設備では、ホイールの取付穴を利用して専用ナットで締め付けるタイプが主流です。

今回のお話はここまでとします。
次回は又、補足からのお話しの様な気がします。




コメント
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