奇妙な人捜し達人事件

　うぐぅ・・・!

そう、うめいてしまうぐらい奇妙な人が、奇矯な容姿生活職業その他諸々、とは限らない。

即ち、ヒトは見掛けに寄らないのだ。

安っぽく使われる言葉だが、安っぽく使われるまでに身近な真実であるとも言える。

フリーターでおたくでドーラー、などと言うと、何か1本の線でつながっている感じがする。

しかし、大学教授で露出趣味、オマケに今年で44歳!　というのはタコ足配線の如く人生がこんがらがっている。

大学教授が交際していた女性との猥褻な行為を記録したCD-ROMを売り飛ばして、お手てが後ろに回ったとか。

成蹊大学経済学部が何程のものか知れないが、高松和明大先生はやけにダイレクトな経済活動を採用したものである。

ズバリ、カネに困ったら体を売るべし!

人間、最後に売れるのは体だけ。

故に、最古の職業は兵隊と売春婦だとか。

しかし、仮にも最高学府の指導者がコギャル並の発想でいいのか？

そこで時代はIT革命。

CD-ROMを作り、焼き、ホームページで購入者を募り、インターネットで販売する、ときた。

何てモダンな。

と言っても、道具立てが今風なだけで、やってるコトはシンプル極まりない。

シンプルな程、中間マージンなンぞが発生しないから、経費を除けば丸儲け。

販売理論はむしろ単純な方が巧く行くのかも知れない。

その上、あらゆる商売上の経費において1番大きくなるもの、即ち人件費のカットは常に経営者のアタマを悩ませるが、教授は悩まなかった。

だって自分で出てるンだもの。

女のコの写真もしくは映像を売って一儲け、ッてなアコギな話は、アコギなりに人の予想の範疇に在る。

しかし、自分も出演する、というのは尋常じゃない。

教授なのに。

44歳なのに。

別に、その良識や見識は問わない。

寡聞にして、そーゆーモノを持ってるという話を聞かない。

問題はその余りに分かり易い販売戦略とは思わないか。

作ってすぐ売る。

コミケで同人誌売るみたいな産直態勢。

大学の経済学教授、と名乗られたらいやが上にも期待してしまう。

さぞや見事な戦術と采配を、と熱い視線を注いでしまう。

それがフタを開けてみたら、秘策どころかいきなり「突撃ィィィィーー!」の力押し。

「三国志IX」なら二度と出番が無いところだ。

机上の空論そのまンま。

戦争映画でさんざん偉そうなコト言っといて無残に失敗し、歴戦の軍曹クリント・イーストウッドにパンチ食らわされるタイプだ。

やはり、動機が、

「女性の生活費を多くしてやりたかった」

と、いうしみッたれたものだったところにも戦術をいじましくさせる一因がありはしなかったか。

天下獲りを狙う位の野望に裏打ちされた広範な視野があるべきだっただろうに。

それで天下国家の経済戦を説いていたとは片腹痛い。

てゆーか、囲うなら囲うでお手当て位、充分払えよ。

軍師や王が最前線で剣を振り回して戦うのは、好ましくはない。

大局を見失う恐れがあるからだ。

それなのに、教授ッたら自ら全面に出ちゃうだなンて。

ああ、大軍師たる器ではなかったか。

戦術と趣味を計りにかけたら、趣味が重たいその思考。

人それを倒錯と言う。

手作り猥褻画像販売人よ、シャバに戻ったらぜひ「ギレンさまのお野望」やって戦術理論を見直し給え。