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アテネオリンピック2004開会式 蛇を持った女性は? (おまけ:梁塵秘抄、男性歌手や巫女の歌舞)

2007-02-25 | オリンピック
さて問題です。
アテネオリンピック開会式 (映像はこちら)
「clypsedra」冒頭の女性(上の写真右 22:40- )の出典は?




解答例:紀元前1600年頃のクレタ島クノッソス宮殿の人形・・・
手に採る 採物は蛇・・・(上の写真左)。

上の写真中央もクノッソス宮殿の壁画から。

この頃の文明はクレタの伝説上の王ミノスにちなんで
「ミノス文明(ミノア文明・クレタ文明)」等々と呼ばれるようです。

衛星写真で、
ギリシア(左)と小アジア(右)を繋いでいる下方の大きな島がクレタ島。


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おまけ:12世紀の「今様」名曲集である
梁塵秘抄』に見る、男性歌手や巫女の歌舞・・・



■『梁塵秘抄口伝集巻第一』の残された断片(全文)
(岩波新全集版校訂本(底本「綾小路家本」)より・・・
 「綾小路家本」は裏紙に書き写されている写本の例・・・
 岩波版校訂本では底本の平仮名の多くが漢字に直されています。
 3枚の裏紙の最後の1枚に次のように書かれています。)


梁塵秘抄口伝集巻第一

古より今に至るまで、習ひ伝へたる謡有り。
これを「神楽(かぐら)」「催馬楽(さいばら)」「風俗(ふぞく)」といふ。

神楽は天照御神の、天の岩戸を押し開かせ給ひける代に始まり、

(*)手に採る 採物は笹 (国宝 真福寺本 古事記原文
33ページの最後の2行。小竹を佐佐(ササ)と読ませる。)

催馬楽は、大蔵の省の国々の貢物納めける民の口遊におこれり。
是れうち有る事にはあらず。
時の政良くも悪しくもある事をなん、褒め貶りける。
催馬楽は、公私の雅正しき管弦の
琴の音 琵琶の緒 笛の音に付けて、我が国の調べともなせり。
皆これ天地を動かし、荒ぶる神を和め、国を治め、民を恵む歌立てとす。

風俗は調楽の内参り、賀茂詣などに此を用ゐらる。
また臨時客にも古くは謡ひけり。近くは絶えて謡はざるか。

此外に習ひ伝へたる謡有り。「今様(いまやう)」といふ。
神歌、物様、田歌にいたるまで、習ひ多くしてその部広し。

用明天皇の御時、難波の宿館に、
土師の連(底本「はしのむらき」)といふ者有りき。
声妙なる謡の上手にてありける。
夜、家にて謡を謡ひけるに、屋の上に付けて謡ふ者有り。
怪しみて謡ひ止めば、音もせず。又謡へば、又付けて謡ふに、
驚きて、出でて見るに、逃ぐる者あり。
追ひて行きて見ければ、住吉の浦に走り出でて、
水に入て失せにけり。
此は、「螢惑星(けいこくせい)」の此歌を賞でて、
化して坐しけるとなん。
聖徳太子の伝に見えたり。今様と申事の起り・・・

(写本はここまで・・・)

(**)聖徳太子の伝
男性歌手土師連のデュエットの相手は・・・
『聖徳太子伝暦』(10世紀頃編纂?)の
9歳の聖徳太子によると螢惑星(火星)・・・・・・
(以下は差当り「東大寺図書館蔵 文明十六年(1484)本」から翻刻)
九年 庚子 夏六月
有人奏曰
「有土師連八島 唱歌絶世
 夜有人来 相和争歌 音声非常 八島異之
 追尋至住吉浜 天暁入海者」
太子侍側 奏曰「是螢惑星也」
天皇大驚 問之「何謂」
太子答曰
「天有五星 主五行 象五色也
 歳星色青 主東 木也
 螢惑色赤 主南 火也
 此星降化 為人 遊童子間
 好作謡歌 歌未然事 蓋是星歟」
天皇大喜


ずっと後世(18世紀頃?)の
『斉諧俗談』の「星、人に変ず」では、
「毎夜、・・・八島とともに歌を唄て遊ぶ」螢惑星の話に、
次の話が付け加えられています。

土師連八島と今様(いまやう)とが明確に結び付けられ、
土師連八島のデュエットの相手は
自ら名乗って「夏火星(螢惑星)です」とうたいます・・・

また一説に、
八島は、其こゑ大にして、
能いまやう(今様)をうたふ。
螢惑星かの歌を感じて、相ともに唱ふ。

「わが宿の甍にすめる声はたそ
 慥(たしか)に名乗れ 四方の草とも」 八島

「天の原 南にすめる夏火星 豊里に問へ 四方の草とも」 星

夏火星とは螢惑星なり。豊里とは聖徳太子の別号なり。

『宋史』に云、
永安二年、稚子ども大勢むらがり遊ぶ事あり。
其中に一人の小児たちまち来て云、
「我は人に非。螢惑星なり」と、
云終りて飛びあがるといふ。

「神楽」の起源と「岩戸開き」の接続に負けないスケールで・・・
新興歌謡「今様」の「起り」と「火星」とを接続・・・
火星も一緒に歌うスター「土師連八島」・・・

火星の歌声というのはいったい・・・・・・



■『梁塵秘抄 巻第二』の巫女・男巫の歌舞・・・
現状巻第二の唯一の写本といわれる和田本から翻刻・・・
(上が翻刻、下が漢字化された新全集版本文)

324
すすはさやふる 藤太みこ めよりかみにそ すす
はふる、ゆらゆらとふりあけて、めよりしもにて
すすふれば、けたいなりとて ゆゆし かみはら
たちたまふ

鈴はさや振る藤太巫女、
目より上にぞ鈴は振る、ゆらゆらと振り上げて、
目より下にて鈴振れば、懈怠なりとて、忌ゆし、神腹立ち給ふ。


330
よくよく めてたく まうものは、かうなき こならは
くるまの とうとかや、やちくま ひきまひ てくくつ
はなのそのには てう ことり。

よくよくめでたく舞うものは、巫 小楢葉 車の筒とかや、
八千独楽 膽舞 手傀儡、花の園には 蝶 小鳥。


331
をかしく まふものは、かうなき こならは くるま
の とうとかや、平等院なるみつくるま、はやせばまい
いつる いほうしり、 かたつふり

をかしく舞ふものは、巫 小楢葉 車の筒とかや、
平等院なる水車、囃せば舞い出づる 蟷螂 蝸牛。


556
あつまには 女はなきか おとこみこ さればや か
みの おとこにはつく

東には女は無きか男巫、さればや神の男には憑く

559
神ならは ゆららさららとをりたまへ いかなるかみか
ものはちはする

神ならば ゆららさららと 降り給へ、如何なる神か 物恥はする。

560
このみこは やうかるみこよ、かたひらに しりを
たにかかいて ゆゆしう つきうたる、これをみたまへ

此の巫女は 様がる巫女よ、
汗袗に 後をだに 編がはで、忌ゆしう 憑き語る、此を見給へ。





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