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ソチの町と 「サカルトヴェロ国(ジョージア国)」「オスマン国」「ロシア国」

2015-03-26 | オリンピック
 
2014年のオリンピック開催地ソチ
ロシアの左下。黒海右上の 海辺の町。




6-15世紀のソチ( ソチ)は
右から拡大してきた サカルトヴェロ国
( sakartvelo =グルジア国(ロシア語)=ジョージア国(英語))の影響下にあり...

15-19世紀のソチ( ソチ)は
下から拡大してきた オスマン国( オスマーン 1299 - 1922)の影響下にあったのだそうです。

今日のソチ(сочи ソチ)は
上から拡大してきた ロシア国(россия ロスシヤ)の町になっています



では問題です。

こちらの記事によると

「ubykh」という部族の主要部族のひとつである

「soatshe」という部族の住む町辺りが

今日のソチ(sochi = soatshe)なのだそうですが、

彼らは 1864年頃迄に ソチから姿を消したのだそうです...

何故 何処に 消えたと 書かれているでしょう...?





解答例

(何故)北の ロシア国の拡大の煽りで → (何処に)南の オスマン国に移動




共同体は 様々なせめぎあいの中で

生成・拡大・消滅していきますが...

ソチの住民の例は、武力抵抗と 移動先への同化の例...

オスマン国に移動した「ubykh」は、地域に同化していき...

「ubykh語」は 廃れてしまったのだそうです...



---


以下 詳細解説


1.歴史地図:ロシア国の拡大

ソチ上方 キエフの拡大... #ウクライナ
13世紀 モンゴルによる キエフの破壊...



ソチ上方 モスクワの拡大...



16-18世紀 モスクワの シベリアへの拡大...
19世紀 モスクワの ソチのある黒海沿岸への 拡大...






ロシア国とオスマン国に注目しながら、19世紀頃を見てみると... 



南のオスマン国(青色)と 北のロシア国(黄土色)の 境界領域であった 19世紀初めのソチ周辺

(オスマン国(青色)の 右上に接する白い部分↓ 黒海右上 の 海辺の町が ソチ)




 ロシア国の拡大への武力抵抗 抵抗するもの同士の同族意識醸成

  →ロシア国の勝利。「ubykh」等の オスマン領への避難

   (黒海対岸のアナトリア半島への南下↓ 更に南下して 地中海東岸の シリア地域 等々へも)





2.ソチ周辺で話された ubykh語の 記録

 ソチ周辺で話された ubykh語の 記録者 として知られる 
 フランスの学者 georges dumezil (ジョルジュ・デュメジル 1898 - 1986)と
 オスマン領に移住したubykhの子孫 tevfik esenç (テヴフィク・エセンチ 1904 - 1992)

 二人の音声記録は 数冊の本に書き起こされ
 ネット上でも見ることができますが
 (cf.デュメジルのubykh関係書 : 1931, 1957, 1959, 1962, 1965, 1975)、

 次の頁で 音声記録そのものを 実際に聞くことができます
   トップ頁 音声頁
   ubykh語の80程ある子音の発音が確認できます
   最後の7ファイルは物語のファイル。
   その内4つはubykh語音声の書き起こしも見ることができます

 二人の資料を 主要資料として編まれた ubykh語の辞書の例
 『dictionnaire de la langue oubykh (oubykh=ubykh語の辞書)』(hans vogt 1963)
  例えば 180頁 id1672 は「海」の項目。「海面」「黒海」「白海 = エーゲ海」等々...

 tevfik esenç(テヴフィク・エセンチ 1904 - 1992)の お墓には こう書かれているそうです
 「彼は いわゆるubykh語を話せる 最後の人であった」



3.ソチ周辺の話題

:上の動画を見ると ソチがロシアの拡大の煽りを受けたのと同じ時期に
 「クリミア(セヴァストーポリ市のある半島)」と
 「グルジア国(ジョージア国)=サカルトヴェロ国」も ロシアの拡大の煽りを受けていることがわかります



 ソチの左側の セヴァストーポリ市のある半島が、クリミア半島
 :最近では ウクライナからの独立と ロシアへの編入(2014年3月)が 話題となりました

 ソチの右側が、「サカルトヴェロ国(カルトリ語による自国名「カルトリ人の国」)」
 :最近では 日本での呼び名が 「グルジア国(ロシア語読み)」から
  「ジョージア国(英語読み)」(2015年4月-)に
なったことが 話題となりました


   (*)サカルトヴェロ国と ソチ

    サカルトヴェロ国(=グルジア国=ジョージア国:カルトリ語等々が話される)は、
    国内に「南オセチア地域(ペルシア語系のオセチア語等々が話される)」
    「アブハジア地域(ソチのubykh語と同系のアブハズ語等々が話される)」の
    独立問題を抱えています。 cf.例えば アブハジア地域のミングレルである元力士 黒海
                 アブハジア紛争の煽りで
                 サカルトヴェロ国の首都トビリシへの移動を余儀なくされています。

    6-15世紀には ソチ地域も サカルトヴェロ国の影響下にありました。

    サカルトヴェロ国等で話されるカルトリ語では、
    地域名「ソチ()」は 「樅(もみ)の木()」を指す語でもあります
     (左から右に読み 発音は sochi ソチ cf.カルトリ語の文字と音価)

    こちらの資料には、地名「ソチ」の語源は、
    カルトリ語の「樅(もみ)の木」の可能性がある と書かれています



// 関連記事 ソチ冬季五輪2014 ロシア語地名の読み方

// 関連記事 ソチ市の右上方 モンゴル族の多い町エリスタ市(仏教国カルムイク共和国)



 

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